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決算個社IT・インターネット2026年09月25日

【トランス・コスモス株式会社(証券コード:9715)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収も営業利益8.0%減、成長投資が先行

【トランス・コスモス株式会社(証券コード:9715)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収も営業利益8.0%減、成長投資が先行

トランス・コスモス株式会社(証券コード:9715)は、BPOサービスとCXサービスを軸に企業の業務変革を支援する企業グループです。子会社78社および関連会社20社で構成され、国内に加えて韓国・中華圏・東南アジアなどに拠点を展開しています。コンタクトセンター運営やバックオフィス業務の受託、デジタルマーケティング支援などをワンストップで提供する点が特徴です。

2027年3月期第1四半期の売上高は1,011億63百万円で、前年同期比+7.1%の増収となりました。一方、営業利益は33億86百万円(同-8.0%)、経常利益は36億61百万円(同-17.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は28億47百万円(同-16.3%)でした。増収を確保しながら、成長投資の実施と大型グローバル案件の縮小が利益を押し下げる形で今期がスタートしています。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【トランス・コスモス(証券コード:9715)徹底解説】2026年3月期 通期──売上3939億円・AI活用CX/BPOで営業利益14%増

1. 今期スタートを取り巻く市場環境

同社は当第1四半期の国内経済について、雇用情勢・所得環境の改善を背景に個人消費や設備投資が底堅く推移したと説明しています。一方で、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇や物価上昇の継続も指摘しています。海外経済の減速懸念もあり、先行きは依然として不透明な状況にあるとの見方です。

BPO・CX領域の需要環境については、二つの要因が挙げられています。ひとつは進展するAI技術活用への対応、もうひとつは長引く専門人材の不足への対応です。業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大につながるサービスへの需要が拡大しているとされています。

この構図は、外部委託の位置づけが変わりつつあることを示していると考えられます。単純な人手の代替ではなく、AIを組み込んだ業務設計そのものを外部に委ねる動きが広がっているためです。委託先には運用力に加えて、技術選定や業務再設計の知見が求められる局面と見られます。

2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
トランス・コスモス株式会社 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)

当第1四半期の売上高は1,011億63百万円となり、前年同期の944億39百万円から67億24百万円増加しました。増収率は+7.1%です。売上原価は824億44百万円へ増加し、売上総利益は187億18百万円となりました。販売費及び一般管理費は153億31百万円で、前年同期の144億60百万円から増加しています。

この結果、営業利益は33億86百万円となり、前年同期の36億83百万円から2億97百万円減少しました。減益率は-8.0%です。経常利益は36億61百万円(同-17.0%)で、前年同期に計上していた持分法による投資利益が投資損失に転じたことなどが影響しています。

親会社株主に帰属する四半期純利益は28億47百万円(同-16.3%)でした。特別利益として受取補償金8億75百万円を計上した一方、法人税等合計が13億21百万円へ増加しています。財政状態は、第1四半期末の総資産が2,190億52百万円となり、前期末から48億12百万円減少しました。借入金の返済に伴う現金及び預金の減少が主な要因です。純資産は1,371億85百万円、自己資本比率は57.6%となっています。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で目を引くのは、増収と減益が同時に起きている点です。売上高は+7.1%と伸びた一方、営業利益は-8.0%、経常利益は-17.0%と利益の落ち込みが大きくなりました。会社は要因として、成長投資の実施と大型グローバル案件の縮小を挙げています。

この構造は、セグメント別の数値により明確に表れています。国内の単体サービスは増収増益を確保しましたが、海外関係会社のセグメント利益は5億33百万円と前年同期比44.4%減少しました。国内で稼いだ改善分が、海外の減益で相殺された形と考えられます。

もうひとつのポイントは、通期予想が据え置かれたことです。2027年3月期の連結業績予想は、2026年4月30日公表値から変更されていません。売上高4,100億円(前期比+4.1%)、営業利益168億円(同+1.5%)、経常利益178億円(同-6.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益135億円(同+3.2%)という計画が維持されています。

4. 今期の重点領域と収益構造

同社の報告セグメントは、単体サービス・国内関係会社・海外関係会社の3区分です。当第1四半期の単体サービスは売上高649億44百万円(前年同期比+4.3%)、セグメント利益20億65百万円(同+12.8%)となりました。稼働率の上昇と価格交渉の進展により収益性が改善したと説明されています。

国内関係会社は売上高124億24百万円(同+18.5%)と大きく伸びましたが、セグメント利益は7億89百万円(同-11.3%)と減益でした。BPO事業子会社の受託範囲拡大が増収に寄与した一方、一部上場子会社の収益性低下が利益を押し下げています。海外関係会社は売上高274億47百万円(同+9.8%)、セグメント利益5億33百万円(同-44.4%)でした。

収益モデルの観点では、国内は稼働率と単価の改善が利益に直結する構造であることが読み取れます。反面、海外は大型案件の有無で利益が大きく振れやすい状況です。グループ全体の利益の安定度を高めるには、海外での案件ポートフォリオの分散が課題になると考えられます。

5. 業界の注目ポイント

AIを前提としたコンタクトセンターの再設計

同社は韓国のコンタクトセンターサービスにおいて、顧客相談対応の全プロセスをAIに基づく4段階に体系化した「AICC(AI Contact Center)サービスモデル」を導入しました。AIによる単純な問い合わせ対応、オペレーター支援、相談内容の要約・整理、モニタリングおよびVOC分析を連携させる仕組みです。あわせて400席規模の新拠点「CXスクエア マゴク」を開設しています。

この動きは、コンタクトセンターの価値基準が席数から設計力へ移りつつあることを示していると考えられます。問い合わせの一次対応がAIに置き換わる分、残る人手の役割は難易度の高い応対と改善提案に集中します。同社は中国でもAI活用型カスタマーサービスの取り組みが評価され、業界表彰を受けたと開示しています。

BPOの対象領域がバックオフィス全体へ拡大

国内BPO事業では、サプライチェーンの需給調整・計画業務を支援する「trans-scManager」の提供を開始しました。これまで受注領域や出荷・物流コスト分析を対象としてきたサービスの適用範囲を、計画業務へ広げた形です。また「BPOセンター仙台駅イースト」を開設し、人事、経理、調達/購買、セールス支援などの業務に対応しています。

拠点を新設して機能を集約する動きは、委託する側の発想の変化とも重なります。個別業務の切り出しではなく、部門横断のバックオフィス機能をまとめて委ねる需要が増えているためです。委託先にとっては受託金額が大きくなる一方、業務設計や品質管理の責任範囲も広がると見られます。

金融・SNSコマースなど有資格・専門領域への展開

国内CX事業では、金融サービス仲介業の登録を完了し、預金・貸付・証券領域における有資格業務の支援を開始しました。デジタル接点の設計からバックオフィス業務までを一体で支援する体制を整えた形です。自社CXプラットフォーム「trans-DX for Support」の導入企業も151社へ拡大しています。

加えて、TikTok Shopに特化した運用ノウハウを持つ株式会社CREOKとの戦略的協業を開始しました。SNSコマース領域でのショート動画・ライブ配信の支援を強化する狙いとされています。免許や専門ノウハウを要する領域は参入障壁が高く、単価を維持しやすい分野と考えられます。

6. ITトレンド編集部の考察

前期の2026年3月期は売上高3,938億66百万円(前期比+4.8%)、営業利益165億58百万円(同+14.4%)と増収増益で着地しました。今期の第1四半期は増収を保ちながら営業利益が減益に転じており、利益のトレンドは前期から反転しています。ただし、その中身は事業の失速というより投資と案件構成の変化によるものと見られます。

進捗率で見ると、売上高は通期予想に対して約24.7%と目安どおりのペースです。一方で営業利益の進捗は約20.2%、四半期純利益は約21.1%にとどまっています。利益は下期偏重の計画である可能性もありますが、第2四半期以降に改善の兆しが出るかが最初の確認点になります。

注目したいのは、海外関係会社の利益回復と国内の収益性改善が両立するかという点です。単体サービスはセグメント利益+12.8%と改善が進んでおり、価格交渉と稼働率の管理が機能していると考えられます。AI活用による生産性向上が人件費の上昇をどこまで吸収できるかが、通期の利益着地を左右すると見ています。

7. まとめ

  • 2027年3月期第1四半期:売上高1,011億63百万円(前年同期比+7.1%)、営業利益33億86百万円(同-8.0%)、経常利益36億61百万円(同-17.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益28億47百万円(同-16.3%)
  • セグメント別は単体サービスが売上649億44百万円(同+4.3%)・利益20億65百万円(同+12.8%)と改善、海外関係会社は利益5億33百万円(同-44.4%)と大型グローバル案件の縮小が影響
  • 国内関係会社は売上124億24百万円(同+18.5%)と伸びる一方、利益は7億89百万円(同-11.3%)
  • 第1四半期末の総資産2,190億52百万円、純資産1,371億85百万円、自己資本比率57.6%
  • 「trans-DX for Support」導入151社、韓国でAICCモデル導入と400席規模の新拠点開設、金融サービス仲介業の登録完了
  • 2027年3月期通期予想(据え置き):売上高4,100億円(前期比+4.1%)、営業利益168億円(同+1.5%)、経常利益178億円(同-6.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益135億円(同+3.2%)、配当予想は年145円

ITトレンド編集部

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