あおぞら銀行では2018年10月、新たに「サイバーセキュリティ対策室」を設置しました。この背景には、サイバーセキュリティ強化への社会的な要請があったと、ITコントロール部 サイバーセキュリティ対策室室長 山口貴歳氏は語ります。
「これを機に、単なるセキュリティ強化だけではなく、業務統制の観点から標準化されたシステムを構築する必要がありました。クリプト便の導入も、『ファイル転送の仕組み』を強化・刷新する取り組みと位置付けられています」。
同行ではこれまでファイル転送に関して2つの大きな課題がありました。1つは暗号化の問題です。以前から行外宛メールの添付ファイルを自動的に暗号化ZIPにするシステムが導入されていましたが、海外など相手によってはZIP形式では受け取れません。そこでWebサイトを介してすべてのファイルをTLS暗号化通信でセキュアに転送する仕組みが必須だと考えたとITコントロール部 サイバーセキュリティ対策室 部長代理 増田元治氏は振り返ります。
「もう1つの課題は大容量ファイルを安全に送る仕組みです。これまではシステム障害等のログ調査依頼といった場合にファイルを媒体にコピーして受け渡していましたが、効率が悪く、紛失のリスクもある。これを安全に行うためのサービス導入が急務でした」。