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決算個社IT・インターネット2026年05月21日

【MRT株式会社(証券コード:6034)徹底解説】医療人材紹介と医療DXをつなぐプラットフォーム企業

【MRT株式会社(証券コード:6034)徹底解説】医療人材紹介と医療DXをつなぐプラットフォーム企業

MRT株式会社は、医療人材サービスを軸に、医療機関、行政機関、関係団体、製薬メーカーなどをつなぐ医療情報プラットフォームを展開する企業です。2025年12月期は、売上収益41億91百万円、営業利益95百万円となり、前期の営業赤字から黒字転換しました。

いま同社を取り上げる理由は、医師の働き方改革の定着、電子カルテ情報共有サービスの運用開始、地域医療構想の見直しなど、医療業界が人材確保とDXを同時に求められる局面に入っているためです。この記事では、MRT株式会社の市場環境、業績推移、事業構造、直近決算のポイントを整理し、医療現場の業務課題とIT導入の接点まで一気通貫で読み解きます。IT・業務視点で見れば、MRT株式会社は医療現場の人手不足を補うだけでなく、医療DXの実装基盤としての役割も期待される企業です。

1. 市場背景と業界構造

MRT株式会社が属するのは、医療人材紹介と医療DX支援が交差する領域です。ここでは単なる人材仲介ではなく、医療制度、地域医療政策、行政連携、デジタル化が密接に結びついています。

市場の前提として、日本の医療費はすでに40兆円を超えており、2040年度には約66兆円に達すると見込まれています。2025年に本格的な超高齢化社会へ入る中で、社会保障制度の持続可能性が大きな課題になっています。そのため、医療費適正化、医療提供体制の再編、地域包括ケアシステムの再整備、予防・健康増進の強化、業務効率化が同時に求められています。

加えて、2024年4月施行の医師の働き方改革が定着期に入りました。医療機関は人材確保だけでなく、勤務設計や業務分担の見直しも迫られています。さらに、2025年度からは電子カルテ情報共有サービスの運用開始や、マイナ保険証利用率に応じた診療報酬上の優遇措置が始まり、医療DXが急速に進展しています。2025年2月に閣議決定された医療法等改正案を受けて、「新しい地域医療構想」の策定も進んでいます。

この業界のプレイヤーは、一般的に大きく見ると医療機関、行政、製薬メーカー、人材紹介会社、医療IT事業者に分かれます。その中でMRT株式会社は、医療人材サービスを基盤にしながら、行政や地域医療体制づくり、医療DXサービスの展開にも関わる立ち位置です。単純な人材会社でも、純粋な医療SaaS企業でもなく、その中間にあるプラットフォーム型の企業と見るのが実態に近いでしょう。

この業界で「IT化・データ化・自動化」が影響しているのは、主に3つありそうです。ひとつは医療人材の需給マッチング、ふたつ目は診療や健康相談を含む患者接点のデジタル化、三つ目は電子カルテ共有や行政連携など医療情報基盤の整備です。MRT株式会社はこの変化の“受ける側”というより、“推進する側”の位置にあります。

2.  過去数年の業績推移

2025年12月期の売上収益は41億91百万円で、前期比0.6%増でした。2024年12月期は41億65百万円で前期比23.0%減だったため、大きな回復ではないものの、売上の底打ち感は出ています。利益面では変化がより大きく、2025年12月期の営業利益は95百万円で、前期の119百万円の赤字から黒字転換しました。税引前利益も108百万円で前期の332百万円の赤字から黒字化し、親会社の所有者に帰属する当期利益も55百万円で前期の309百万円の赤字から黒字転換しています。

利益率も改善しています。売上収益営業利益率は前期のマイナス2.9%から2.3%へ、親会社所有者帰属持分当期利益率はマイナス6.8%から1.2%へ、資産合計税引前利益率もマイナス5.0%から1.6%へ改善しました。収益性はまだ高いとはいえませんが、赤字局面から脱したことには意味があります。

売上の中身を見ると、医療人材サービスが30億61百万円で前期比1.2%増、その他が11億30百万円で前期比0.9%減です。つまり、主力の医療人材サービスが全体の大半を占めながら、そこがわずかに伸びたことで全体売上も微増となった構図です。

IT視点で見ると、従来の人材紹介だけでは収益の変動を受けやすいため、医療DX関連サービスやアプリ開発、地域連携基盤など、より標準化・再利用しやすい収益源を持てるかが今後のポイントになる可能性があります。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も重要なのは、黒字転換そのものよりも、黒字転換の背景が「医療人材の供給」と「医療DXの社会実装」の両方にまたがっていることです。

会社側は、行政機関や関係団体と連携しながら、医療人材の確保と医療DXの社会実装を推進したことを強調しています。国内では、常勤・アルバイト紹介サービスの強化に加え、広島県福山市、和歌山県、徳島県など自治体との連携を進めています。これは単発の紹介事業というより、地域医療体制づくりの一部に入り込んでいることを意味します。徳島県で展開したコメディカル人材向けの「医療版ワーケーション」も、医療人材不足への対応と地域医療支援の中間にある取り組みです。

また、予防・健康増進分野では、日本PTA全国協議会の専用アプリ「COCOPiTA」にオンライン診療・健康相談サービスを導入しました。製薬メーカーとの連携による医師向けデジタルコンテンツの共同展開も始まっています。つまり、医療機関向けだけでなく、生活者接点や製薬企業向け情報流通まで事業領域を広げています。

海外では、ベトナムのLea Bio社との資本業務提携やHoan Myグループとの連携により、「MRT HUB」を本格始動させました。登録医師数、医療機関数、求人件数は着実に拡大しているとされますが、具体数値は開示されていません。とはいえ、国内で作ってきた人材・DXプラットフォームを海外へ横展開する意図は明確です。

IT視点で整理すると、今回の決算は「人材紹介会社が、医療業務インフラ会社へ寄ってきている」動きとして読めそうです。アプリ「Door.」を含む新サービス開発費用も見込んでおり、医療現場の業務、患者接点、地域連携をデジタルで支える方向へ広がっています。

4. 事業構造と収益モデルの解説

MRT株式会社は単一セグメントで、「医療情報プラットフォームの提供事業」を展開しています。ただし実態としては、大きく「医療人材サービス」と「その他」に分かれます。2025年12月期の売上収益は、医療人材サービスが30億61百万円、その他が11億30百万円でした。売上の約7割強を医療人材サービスが占めており、今なお主力です。

医療人材サービスの収益モデルは、医師紹介サービスにおいて想定単価に医師紹介件数を乗じて売上収益を見込むモデルです。つまり、現時点では件数連動型、フロー型の性質が強い事業です。一方で、その他にはオンライン診療・健康相談、医療DX支援、製薬メーカー向けデジタルコンテンツ、海外プラットフォームなどが含まれていると読めます。この構造の意味は明確です。医療人材紹介は需要が強い一方、供給制約や制度影響を受けやすく、拡張性にも限界があります。そこで、医療DXやアプリ、プラットフォームに広げることで、単発案件だけでなく、継続的なサービス提供へ寄せていく余地があります。IT視点で見れば、MRT株式会社の事業は医療機関の「採用業務」「勤務調整」「地域連携」「患者向け相談窓口」「製薬向け情報配信」といった複数の業務プロセスに接続しています。医療現場は制度・人手・情報管理の制約が強いため、業務単位ではなく、現場全体の運営基盤としてITを組み込めるかが重要になります。MRT株式会社はそこに踏み込みつつある企業です。

5. 業界の注目ポイント

ポイント1医療人材不足そのものが事業機会であると同時に、医療機関の経営リスクでもある

生産年齢人口の減少、医療人材の地域偏在、診療科偏在は、医療提供体制を直撃します。この課題は人材紹介だけでは解決しきれませんが、需給マッチングの高度化や地域連携の仕組み化はIT導入で改善可能です。

ポイント2医療DXが制度対応から実運用の段階に移っている

電子カルテ情報共有サービス、マイナ保険証活用、地域医療構想の見直しなど、制度はすでに動き始めています。この論点はIT導入で直接改善可能です。重要なのは、単にシステムを入れることではなく、現場業務と制度要件をつなげる運用設計と考えます。

ポイント3医療のデジタル化が院内業務だけでなく、自治体、予防、製薬、患者接点まで広がっている

MRT株式会社のCOCOPiTA導入や製薬メーカー連携は、その広がりを示しています。この論点もIT導入で改善可能です。特に、オンライン相談や情報配信のような非対面接点は、医療費適正化や予防強化とも接続します。

6. ITトレンド編集部の考察

MRT株式会社は、医師紹介会社としてだけ見ると、足元の利益水準はまだ限定的です。営業利益95百万円、営業利益率2.3%という数字からも、収益力は高水準とは言えません。ただし、医療DXと人材プラットフォームを組み合わせる方向へ事業を広げている点に、この会社の読みどころがあります。

同社が向いているのは、医師やコメディカル人材の確保だけでなく、地域医療の再編、健康相談、予防施策、医療関連情報流通などを一体で考えたい自治体・医療機関・関連企業と考えます。特に、行政連携や地域医療体制づくりに関わる場面では、単純なSaaSベンダーよりも、医療人材という実務面に足場を持つ企業のほうが入り込みやすい場面があります。

IT投資余地は十分にあります。アプリ「Door.」を含む新サービス開発費用を見込んでおり、ベトナムではMRT HUBを本格始動させています。今後の焦点は、医療人材紹介というフロー収益を、どこまで医療DX基盤や継続利用型サービスへ変換できるかです。ここが進めば、利益率や事業の再現性も変わってきます。

比較検討の観点では、MRT株式会社は純粋な医療SaaS企業とも、大手人材紹介会社とも異なります。医療現場の人材課題に深く接続しながら、その周辺のデジタル化まで広げていくタイプです。導入検討者にとっては、「採用支援だけを求めるのか」「地域連携やDXまで含めて考えるのか」で評価が分かれる企業だと言えます。

7. まとめ

MRT株式会社を一言で言えば、医療人材確保を起点に、医療DXの実装領域へ広がるプラットフォーム企業といえるのではないでしょうか。

2025年12月期は売上収益41億91百万円で前期比0.6%増、営業利益95百万円で前期赤字から黒字転換しました。主力の医療人材サービスが売上の中心である一方、自治体連携、オンライン診療・健康相談、製薬連携、海外プラットフォーム「MRT HUB」など、周辺領域への広がりが見えています。

市場ポジションとしては、医療費増大、医師の働き方改革、地域医療構想見直し、電子カルテ情報共有といった制度・社会課題の交点に立つ企業です。IT/業務観点で評価すると、MRT株式会社の価値は単なる人材紹介にとどまりません。人手不足と制度対応に追われる医療現場で、採用、業務効率化、患者接点、地域連携をつなぐデジタル基盤へ進化できるかどうかが、今後の企業価値を左右するポイントになります。

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