IT点呼システムとは何か・導入が求められる背景
IT点呼システムは、運転者の体調や酒気帯びの有無をデジタル機器で確認し、記録を自動で保存できる仕組みです。ここでは基本的な機能と、導入が広がっている背景を確認していきます。
IT点呼システムの仕組みとアルコールチェックとの関係
IT点呼システムは、カメラやアルコール検知器と連動し、運転者の顔色や受け答え、酒気帯びの有無を点呼記録簿に自動で記録する仕組みです。従来の対面点呼や電話点呼と異なり、離れた場所にいる運行管理者でも運転者の状態を画面越しに確認できる点が特徴です。
2023年12月の道路交通法改正により、白ナンバー車を使用する事業者にもアルコールチェックの記録・保存が義務付けられました。点呼記録は原則1年間の保存が求められるため、手作業の台帳管理では確認漏れが起こりやすく、IT点呼システムで自動記録する企業が増えています。
国土交通省が示す点呼のデジタル化の流れ
国土交通省はドライバー不足や運行管理者の負担軽減を背景に、対面点呼を原則としつつも一定の要件を満たした場合に遠隔点呼や自動点呼を認める制度を整備してきました。この流れを受けて、貨物・旅客を問わずIT点呼システムの導入を検討する事業者が拡大しています。
制度上の要件を満たさずに運用すると、監査で指摘を受けるおそれがあります。導入を検討する際は、自社の営業所形態がどの制度区分に該当するかを確認したうえで、対応するシステムを選ぶことがポイントです。国の制度改正情報は定期的に更新されるため、最新情報の確認も欠かせません。
IT点呼システムの導入条件で確認すべき基本要件
IT点呼システムを選ぶ前に、自社の車両規模や運用形態がどのような条件を満たす必要があるかを整理しておくと、導入後のミスマッチを防げます。
対象車両・営業所の規模による導入条件の違い
IT点呼システムは、営業所の車両台数や拠点数によって必要な機能が異なります。小規模な営業所であれば基本的な点呼記録機能だけで十分な場合もありますが、複数拠点を抱える事業者では、拠点をまたいで記録を一元管理できる体制が求められます。
また、深夜早朝の運行が多い事業者は、運行管理者が営業所に常駐していない時間帯の点呼をどう実施するかも導入条件の一つです。遠隔点呼や自動点呼に対応した機器構成を選ぶことで、人員配置の制約を受けにくい運用が可能になります。自社の稼働時間帯と照らし合わせて、必要な機能を絞り込むことが重要です。加えて、新規営業所の開設や車両台数の増減が見込まれる場合は、契約プランの拡張・縮小がしやすいかどうかも確認しておくと、将来的な運用変更に対応しやすくなります。
遠隔点呼・自動点呼の要件と国土交通省への届出
遠隔点呼を実施するには、国土交通省が定める実施要領に沿ったカメラ・通信環境・なりすまし防止措置などの要件を満たす必要があります。対応するシステムを導入するだけでなく、事前に運輸支局への届出や報告が求められる点にも注意が必要です。
自動点呼についても対象範囲が段階的に拡大されており、機器の認定状況や運用ルールが更新される場合があります。導入時にはメーカーが最新の制度改正に対応しているかを確認し、必要書類の準備を事業者側でも進めておくと、円滑に運用を開始できます。
既存の運行管理システムとの連携条件
すでに運行管理システムや勤怠管理システムを利用している事業者では、IT点呼システムとのデータ連携が可能かどうかも導入条件として確認すべき点です。点呼記録と運行実績を別々に管理すると、二重入力の手間や集計ミスにつながります。
連携方法にはファイル出力による取り込みと、システム同士を直接つなぐ方式があります。将来的に管理システムを拡張する予定がある場合は、連携範囲や対応可否を事前に確認しておくと、システム変更時の手戻りを抑えられます。導入前の要件整理が後の運用負担を左右するため、情報システム部門を交えて検討を進めることをおすすめします。あわせて、連携時のデータ形式や更新頻度についても確認しておくと、運用開始後のトラブルを防ぎやすくなります。
セキュリティ要件が厳しい企業でも安心して使える選定基準
ドライバーの個人情報や点呼記録を扱うIT点呼システムでは、セキュリティ面の確認も導入条件の重要な一部です。ここでは確認しておきたい基準を紹介します。
ISMS認証や第三者認証の有無を確認する
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、企業が情報資産を適切に管理する体制を持っているかを示す第三者認証の一つです。個人情報を扱うIT点呼システムを選ぶ際は、提供事業者がISMSなどの認証を取得しているかを確認すると、社内のセキュリティ基準との整合性を判断しやすくなります。
認証の有無だけでなく、データの保管場所や暗号化方式、アクセス権限の設定範囲についても資料や問い合わせで確認しておくことが望ましいです。特に複数拠点で運用する場合は、拠点ごとの権限管理が細かく設定できるかどうかも比較のポイントです。
API連携でデータ活用範囲を広げる
API(システム同士がデータをやり取りするための仕組み)連携に対応したIT点呼システムであれば、既存の基幹システムや労務管理システムと点呼データを自動で連携できます。API連携が必須の企業では、対応の有無だけでなく連携できるデータ項目の範囲まで確認することが大切です。
API連携を活用すると、点呼記録と勤怠データを突き合わせて労務管理の精度を高めたり、車両管理システムと組み合わせて運行状況を一括で把握したりできます。連携仕様が公開されているか、導入時に開発支援を受けられるかも事前に確認しておくと安心です。自社にシステム開発の担当者がいない場合は、連携設定を代行してもらえるかどうかもあわせて確認しておくと導入がスムーズです。
カスタマイズ性で自社の点呼フローに合わせる
点呼の実施手順や確認項目は事業者によって異なるため、標準機能だけでなく、自社の点呼フローに合わせて画面や入力項目を調整できるかも選定の基準になります。特に貨物と旅客の両方を扱う事業者では、業態ごとに異なる確認項目を設定できる柔軟性が求められます。
カスタマイズの範囲はシステムによって差があり、簡単な項目追加のみ対応するものから、業務フロー全体を作り込めるものまでさまざまなタイプがあります。導入前にデモやトライアルを利用し、実際の点呼業務に沿った操作感を確認しておくことをおすすめします。
外国人ドライバーや遠隔点呼制度に対応する運用面の導入条件
近年は外国人ドライバーの採用や遠隔点呼制度の活用が進んでおり、これらに対応できるかどうかも導入条件として確認しておきたい観点です。
多言語対応で外国人ドライバーの安全運行を支える
外国人ドライバーを雇用している事業者では、点呼画面や音声案内が多言語に対応しているかどうかが重要な導入条件になります。日本語のみの表示では、点呼時のやり取りが正しく伝わらず、確認漏れやトラブルにつながるおそれがあります。
多言語対応の範囲はシステムによって差があり、対応言語数や、体調確認の質問項目まで翻訳されているかは製品ごとに異なります。導入前には自社で雇用しているドライバーの母国語に対応しているかを個別に確認し、実際の画面表示を見せてもらうと安心です。
遠隔点呼制度に対応したシステム要件を満たす
国土交通省の遠隔点呼制度に対応するには、カメラの解像度や通信の安定性、なりすまし防止のための生体認証機能など、制度で定められた技術要件を満たすシステムを選ぶ必要があります。要件を満たさない機器では、そもそも制度の対象として認められない場合があります。
導入時には、提供事業者が制度改正に応じてシステムを更新しているか、要件変更時のサポート体制が整っているかも確認しておくとよいです。制度は今後も見直しが続く可能性があるため、長期的に運用できる体制を持つ事業者を選ぶことがポイントです。
導入条件をふまえたIT点呼システムの製品例
ここまで紹介した遠隔点呼制度への対応や複数拠点管理、カスタマイズ性といった導入条件をふまえ、確認しておきたい製品を紹介します。
Cagou IT点呼
- 自動・遠隔・IT・電話・対面とすべての点呼に対応
- すべての点呼を年額30,000円からの低価格で利用可能
- アプリのガイドに沿って操作するだけで、点呼を実施可能
株式会社コアが提供する「Cagou IT点呼」は、対面点呼・電話点呼・IT(遠隔)点呼・業務前後の自動点呼まで、1つのライセンスで幅広い点呼形式に対応するシステムです。点呼業務を点呼センターに集約できる遠隔点呼機能により、運行管理者が営業所外にいても点呼業務の標準化を進められます。顔認証ログインや免許証リーダー、バイタル機器との連携にも対応し、未実施時のアラート機能や複数拠点の一元管理機能も備えています。そのため、拠点数や車両規模の異なる複数営業所を抱える事業者でも運用しやすい点が特徴です。導入企業ごとのカスタマイズにも対応しています。
e点呼PRO (東海電子株式会社)
- IT・遠隔・対面・電話など複数の点呼方式に対応
- 点呼計画とアラート機能で点呼漏れ防止を支援
- 顔認証や記録データ管理により点呼情報を一元化
e点呼セルフ Type ロボケビー (東海電子株式会社)
- ロボットを活用した無人点呼に対応。
- アルコールチェックや点呼記録を一元管理。
- 対面不要で点呼業務の効率化を支援。
点呼+ (株式会社ナブアシスト)
- 多様な点呼方式をクラウドで一元管理。
- 顔認証やアルコール検知などの機能に対応。
- ロボット・PC・モバイルなど複数デバイスで運用可能。
まとめ
IT点呼システムの導入条件は、車両規模や営業所形態、遠隔点呼制度への対応状況など多岐にわたります。加えて、ISMSなどのセキュリティ認証やAPI連携、多言語対応、自社フローへのカスタマイズ性も選定を左右する重要な要素です。本記事で紹介したポイントを参考に、自社の運用に合ったIT点呼システムを比較検討してください。

