資料請求リスト
0
決算個社IT・インターネット2026年05月21日

【株式会社スタメン(証券コード:4019)徹底解説】TUNAGとFANTSで伸びるエンゲージメントSaaS

【株式会社スタメン(証券コード:4019)徹底解説】TUNAGとFANTSで伸びるエンゲージメントSaaS

株式会社スタメンは、従業員エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」と、オンラインコミュニティプラットフォーム「FANTS」を主力とするSaaS企業です。2025年12月期は、売上高38億17百万円(前期比41.8%増)、営業利益2億91百万円(同29.6%増)と、売上・利益ともに成長しました。

特に「TUNAG」はARRが30億円を突破し、利用企業数は1,344社まで拡大しています。また「FANTS」では、従来のレベニューシェア型からサブスクリプション型へ料金体系を移行し、収益基盤の安定化を進めました。

本記事では、人的資本経営やノンデスクワーカーDX、オンラインコミュニティ市場の拡大を背景に、株式会社スタメンの事業構造・決算内容・業界内での立ち位置を整理します。IT・業務視点では、同社サービスが「組織内コミュニケーション」「従業員エンゲージメント」「コミュニティ運営」の業務プロセスとどう接続するかを読み解きます。


1. 市場背景と業界構造

株式会社スタメンが属するのは、エンゲージメントプラットフォーム領域です。具体的には、企業向けの従業員エンゲージメント市場と、オンラインコミュニティ運営市場の2つにまたがっています。

市場背景として、テクノロジーの進化や働き方への価値観の変化が急速に進んでいます。企業では人的資本経営への関心が高まり、従業員の状態を把握し、組織のつながりや定着率を改善する取り組みが重視されています。

特に製造・物流・小売・介護など、現場で働く「ノンデスクワーカー」を多く抱える産業では、社内情報の伝達、教育、理念浸透、拠点間コミュニケーションといった課題が残りやすく、DX需要が拡大しています。「TUNAG」はこの領域に接点を持つサービスです。

一方、「FANTS」が関わるオンラインサロン市場も拡大しています。SNSの発達により、情報発信やコミュニティ運営は著名人だけでなく一般の個人やスクール事業者にも広がっています。これにより、オンラインコミュニティを継続的に運営・収益化するためのプラットフォーム需要が生まれています。

この業界で一般的にIT化・データ化・自動化が影響するのは、主に以下の業務です。

社内向けでは、従業員への情報発信、エンゲージメント施策、社内制度運用、現場とのコミュニケーションです。外部コミュニティ向けでは、会員管理、コンテンツ配信、課金管理、コミュニティ運営が該当します。株式会社スタメンはこれらの業務をクラウド化することで、デジタル化を推進する側の企業と考えられます。


2. 過去数年の業績推移

株式会社スタメンの売上は高い成長が続いています。2024年12月期の売上高は26億92百万円で前期比43.3%増、2025年12月期は38億17百万円で同41.8%増でした。2期連続で40%超の成長となっており、エンゲージメント領域の需要を取り込んでいることがわかります。

営業利益は2024年12月期が2億24百万円(前期比36.4%増)、2025年12月期が2億91百万円(同29.6%増)です。経常利益は2億98百万円(同32.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億8百万円(同51.6%増)でした。

一方で、売上高営業利益率は2024年12月期の8.3%から2025年12月期は7.6%へ低下しています。売上は大きく伸びていますが、成長投資や体制強化も並行しているため、利益率はやや下がった形です。

事業別では、「TUNAG」が堅調に成長し、ARRは30億円を突破しました。利用企業数は1,344社で、前期末から288社増加しています。「FANTS」では、運用コミュニティ数が566件となり、前期末から379件増加しました。

IT視点で見ると、同社の事業はSaaS型の収益モデルと相性が良い領域です。特にTUNAGのように、企業の日常的な組織運営に組み込まれるサービスは、継続利用を前提としたストック型収益になりやすい構造といえそうです。FANTSもサブスクリプション型へ移行しており、収益の安定化を図る段階に入っています。


3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で会社側が強調しているのは、TUNAGのARRが30億円を突破したことです。ARRは年間経常収益を意味し、SaaS企業にとって将来の売上基盤を測る重要な指標です。TUNAGの利用企業数は1,344社、平均MRRは202千円となっており、企業数と単価の両面で拡大しています。

もう一つの重要ポイントは、FANTSの料金体系変更です。従来はレベニューシェア型でしたが、サブスクリプション型へ移行し、継続利用を前提とした契約形態へ変更しました。これは、一時的な売上変動を抑え、安定した収益基盤を作るための構造変化といえます。

FANTSの運用コミュニティ数は566件、平均MRRは58千円です。コミュニティ数が大きく増えている一方、平均MRRは小幅な増加にとどまっており、今後は顧客層や利用深度の拡大が収益成長の論点になります。

2026年12月期については、売上高51億55百万円、営業利益4億円、経常利益4億6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2億66百万円を見込んでいます。また、大型展示会出展やプロモーション活動、外部パートナーを活用したプロダクト開発体制の強化など、成長投資を継続する計画です。

IT視点では、TUNAGは社内DX、FANTSはコミュニティ運営DXに該当します。いずれも「人と組織の関係性」をデジタルで可視化・運用するサービスであり、単なる情報共有ツールではなく、継続的な関係づくりを支える業務基盤と考えられそうです。


4. 事業構造と収益モデルの解説

株式会社スタメンの主力事業は、エンゲージメントプラットフォーム事業です。主なサービスは、従業員エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」、オンラインコミュニティプラットフォーム「FANTS」、クラウドセキュリティサービス「Watchy」です。

TUNAGは、企業内の情報共有、理念浸透、社内制度運用、従業員同士のコミュニケーションを支援するサービスです。特にノンデスクワーカーを多く抱える企業では、メールやグループウェアだけでは情報が届きにくく、現場従業員との接点づくりが課題になりやすいため、導入余地があります。

FANTSは、オンラインコミュニティ運営を支援するサービスです。会員管理、コンテンツ配信、課金、コミュニティ運営といった業務を支えるプラットフォームとして位置付けられます。料金体系をサブスクリプション型へ移行したことで、収益モデルはより継続課金型へ寄っています。

契約負債は296,669千円で、これは前受け的な契約収益の存在を示します。SaaS企業では、契約負債は将来提供するサービスに対応する収益の前受けとして重要な情報です。

IT導入との接点で見ると、同社のサービスは人事・総務・広報・現場マネジメント・コミュニティ運営といった業務プロセスに関わります。人事システムや社内ポータル、チャットツール、会員管理システムと重なる領域もあるため、導入時には既存システムとの役割分担が重要になってくるでしょう。


5. 業界の注目ポイント

ポイント1:人的資本経営と従業員エンゲージメント
人的資本経営への関心が高まる中、従業員の状態や組織課題を可視化し、改善につなげるサービスへの需要があります。これはIT導入で改善可能な領域です。ただし、ツールを入れるだけでなく、社内制度や運用設計とセットで活用する必要があります。

ポイント2:ノンデスクワーカーDX
製造・物流・小売・介護などでは、現場従事者への情報伝達や教育、組織エンゲージメントが課題になりやすいとされています。これはIT導入で改善余地が大きい領域です。TUNAGはこの市場を主な対象の一つとしています。

ポイント3:オンラインコミュニティのサブスク化
FANTSはレベニューシェア型からサブスクリプション型へ移行しました。コミュニティ運営は属人的になりやすい一方、会員管理や課金、配信を仕組み化することで継続性を高められます。これはIT導入によって改善可能な領域です。


6. ITトレンド編集部の考察

株式会社スタメンは、エンゲージメントという一見定性的なテーマを、SaaSとして業務プロセスに組み込む企業です。TUNAGは従業員との接点を、FANTSはコミュニティメンバーとの接点を支援するサービスであり、どちらも「人との関係性を継続的に運用する」点に共通性があります。

導入検討の観点では、TUNAGは従業員数が多く、現場拠点が分散している企業に向きやすいサービスです。特にノンデスクワーカーが多い企業では、情報伝達や理念浸透、現場の声の把握が課題になりやすく、ITによる改善余地があります。

FANTSは、インフルエンサーやスクール事業者など、継続的な会員コミュニティを運営したい事業者に向いています。サブスクリプション型への移行により、単発収益よりも継続利用を重視するサービス設計へ変わっている点は、比較検討時に押さえるべきです。

一方で、エンゲージメント領域は導入効果が売上やコスト削減に直結しにくい場合もあります。そのため、導入企業は「何を改善したいのか」を明確にする必要があります。離職防止、情報共有、現場マネジメント、社内制度運用、コミュニティ収益化など、目的によって見るべきKPIは変わります。


7. まとめ

株式会社スタメンを一言で表すなら、企業とコミュニティのエンゲージメントをSaaSで支えるプラットフォーム企業といえるのではないでしょうか。

2025年12月期は、売上高38億17百万円(41.8%増)、営業利益2億91百万円(29.6%増)と高成長を維持しました。TUNAGはARR30億円を突破し、FANTSはサブスクリプション型への移行で収益基盤の安定化を進めています。

IT・業務視点では、同社の価値は「人と組織のつながり」をデジタルで運用する点にあります。導入検討者は、単なる社内SNSやコミュニティツールとしてではなく、組織課題や会員運営課題を解決する業務基盤として評価することが重要です。

IT資産管理ツールの製品をまとめて資料請求