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決算個社IT・インターネット2026年05月20日

【デジタルアーツ株式会社(証券コード:2326)徹底解説】国産セキュリティ製品はなぜ伸びているのか

【デジタルアーツ株式会社(証券コード:2326)徹底解説】国産セキュリティ製品はなぜ伸びているのか

デジタルアーツ株式会社は、Webフィルタリングやメールセキュリティなどを中心に、企業・公共機関・家庭向けのセキュリティ製品を展開する企業です。主力製品には「i-FILTER」「m-FILTER」「f-FILTER」などがあり、2025年11月にはホワイト運用型SSE+IDaaSの新製品「Z-FILTER」を販売開始しました。

2026年3月期第3四半期累計では、売上高78億35百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益33億42百万円(同6.3%増)と増収増益に転じました。特に契約高は108億75百万円(同58.6%増)と大きく伸び、「GIGAスクール構想 第2期」案件の獲得率95%が公共向け市場を押し上げています。

本記事では、セキュリティ需要の拡大背景、同社の決算内容、クラウド型への収益モデル変化、新製品「Z-FILTER」の意味を整理します。IT・業務視点では、同社が企業や自治体、教育機関の「認証・アクセス制御・Web/メール防御」といったセキュリティ運用プロセスにどう関わるかが読み取れます。


1. 市場背景と業界構造

デジタルアーツ株式会社が属するのは、サイバーセキュリティ製品市場です。

情報窃取型マルウェアによって盗まれた認証情報や認可情報がサイバー攻撃の起点として悪用されるインシデントが多発しています。また、大手企業を狙ったランサムウェア攻撃によりシステム障害が発生し、社会インフラに近いサービスにも大きな影響が出たことで、セキュリティインシデントは企業経営上の重大リスクとして改めて認識されています。

この結果、企業、公共機関、教育機関、家庭など社会全体でセキュリティ意識が高まり、対策製品への需要は継続的に拡大しています。さらに、サイバーセキュリティ政策の強化も、対策製品需要の拡大を後押しする要因として示されています。

この業界でIT化・データ化・自動化が影響するのは、認証管理、アクセス制御、Webアクセス管理、メール無害化・検査、端末利用管理、ログ監視といった領域です。セキュリティは「導入して終わり」ではなく、日々の運用ルールやユーザー管理、インシデント対応と結びつきます。

デジタルアーツ株式会社は、こうしたセキュリティ運用を支える製品を提供する側であり、デジタル化の影響を受ける側というより、企業・公共機関のセキュリティDXを推進する側の企業です。


2. 過去数年の業績推移

2025年3月期第3四半期累計では、売上高72億74百万円で前年同期比12.6%減でした。一方、2026年3月期第3四半期累計では売上高78億35百万円となり、前年同期比7.7%増と増収に転じています。

営業利益は2025年3月期第3四半期累計の31億45百万円から、2026年3月期第3四半期累計では33億42百万円へ6.3%増加しました。経常利益は33億76百万円(7.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億28百万円(7.0%増)です。

業績回復の背景には、企業向け市場で「i-FILTER」「m-FILTER」がセキュリティ対策ニーズを捉えたこと、クラウドサービス系製品の契約残高が売上計上されてきたことがあります。加えて、公共向けでは「GIGAスクール構想 第2期」案件の獲得が大きく寄与しました。

一方で、中期経営計画に沿った人材関連投資により、売上原価や販管費は増加しています。それでもAIの業務活用による業務高度化・効率化を進めたことで、営業利益は増益に転じました。

IT視点で見ると、同社の収益構造はオンプレミス型ライセンスとクラウド型サービスが混在しています。オンプレミス型は出荷時に契約金額の大部分を売上計上する一方、クラウドサービス系製品はサービス提供期間に応じて月次で売上計上されます。クラウド化が進むほど、ストック型収益の性格が強まる構造です。


3. 直近決算の重要ポイント

直近決算で最大のポイントは、契約高の大幅増です。契約高は108億75百万円で前年同期比58.6%増となりました。特に、公共向け市場では「GIGAスクール構想 第2期」案件の獲得率が95%に高まり、契約高の成長を牽引しました。

市場別では、企業向け市場の契約高が37億96百万円(12.7%増)、売上高が37億94百万円(11.2%増)です。公共向け市場は契約高67億75百万円(112.8%増)、売上高37億34百万円(5.0%増)で、契約高の伸びが目立ちます。家庭向け市場は契約高3億4百万円(0.9%減)、売上高3億5百万円(0.6%減)とほぼ横ばいです。

もう一つの重要点は、新製品「Z-FILTER」の販売開始です。2025年11月4日に当初計画通り販売を開始しました。Z-FILTERは、ホワイト運用型SSE+IDaaSの国産ゼロトラストセキュリティソリューションとして位置づけられています。一般的に、SSEはクラウド上で安全なアクセス制御を行う仕組み、IDaaSはID認証をクラウドで管理する仕組みです。つまり、認証からアクセス制御までを同一基盤で扱う製品と理解できます。

技術投資面では、AIの業務活用が明記されています。対象はシステム開発、サポート、営業・マーケティング活動などで、業務の高度化・効率化を進めています。これは、製品そのものだけでなく、社内の開発・営業・サポート業務にもAIを取り込む動きです。


4. 事業構造と収益モデルの解説

デジタルアーツ株式会社はセキュリティ事業の単一セグメントです。ただし市場別には、企業向け、公共向け、家庭向けに分かれます。

企業向け市場では「i-FILTER」「m-FILTER」「f-FILTER」「Z-FILTER」を展開しています。公共向け市場では主に「i-FILTER」「m-FILTER」、家庭向け市場では「i-フィルター 10」が中心です。

2026年3月期第3四半期累計の売上高は、企業向けが37億94百万円、公共向けが37億34百万円、家庭向けが3億5百万円です。企業向けと公共向けがほぼ同規模で、家庭向けは限定的です。

収益モデルは、オンプレミス型ライセンス販売とクラウドサービス型に分かれます。オンプレミス型は出荷時に売上計上されやすく、クラウドサービス型は利用期間に応じて段階的に売上計上されます。前受金は52億81百万円で、クラウドや期間契約型の収益基盤を示す重要な数字です。

業務プロセスとの関係では、同社製品は次の領域に関わります。

  • Webアクセス制御
  • メールセキュリティ
  • 認証・ID管理
  • ゼロトラスト環境の構築
  • 学校・自治体の端末利用管理

IT導入担当者にとっては、単なるウイルス対策ではなく、利用者の認証、アクセス制御、Web・メール経由の脅威対策をどう一体で運用するかが検討ポイントになりやすいと言われています。


5. 業界の注目ポイント

ポイント1:認証情報を狙う攻撃の増加
情報窃取型マルウェアによって認証情報が盗まれ、それが攻撃の起点になるケースが増えています。これはIT導入で改善可能な領域です。ID管理、アクセス制御、Webフィルタリングを組み合わせた対策が重要になります。

ポイント2:教育・公共領域のセキュリティ需要
「GIGAスクール構想 第2期」により、教育機関向けのセキュリティ需要が拡大しています。端末やクラウド利用が広がるほど、Webアクセス管理やフィルタリングの必要性も高まります。これはIT導入で直接改善可能な領域です。

ポイント3:クラウド化による収益モデルの変化
クラウドサービス系製品は、契約期間に応じて売上計上されます。これは提供企業にとってストック型収益の基盤となり、導入企業にとっては継続運用を前提としたセキュリティ対策になります。導入後の運用設計が重要です。


6. ITトレンド編集部の考察

デジタルアーツ株式会社は、Web・メール・認証・アクセス制御といった日常業務に深く入り込むセキュリティ企業です。特に「Z-FILTER」は、ホワイト運用を中核に認証からアクセス制御までを同一基盤で提供する製品として位置づけられており、従来のフィルタリング製品からゼロトラスト領域へ拡張する動きと整理できます。

デジタルアーツ株式会社が向いているのは、Webアクセスやメール経由の脅威対策を重視する企業、教育機関、自治体と考えます。特に公共向けでは「GIGAスクール構想」で築いた顧客基盤を活用しており、第2期案件の獲得率95%という実績が示されています。

IT投資余地という観点では、同社は中期経営計画の2年目として、基盤強化と次世代製品の市場定着を進めています。クラウドサービス系製品の成長により、今後はオンプレミス型の一括売上から、より継続課金型の収益基盤へ移行する可能性があります。これは、導入企業側にとっても「買い切り」ではなく「継続運用するセキュリティ基盤」として評価すべきことを意味します。

比較検討時には、単体のフィルタリング機能だけでなく、ID管理、アクセス制御、メール対策、運用負荷、クラウド対応を含めて見る必要があります。特にゼロトラストを検討する企業にとっては、自社の認証基盤や端末管理、クラウド利用状況との整合性が重要になります。


7. まとめ

デジタルアーツ株式会社を一言で表すなら、Web・メール・認証を軸に、公共・企業向けセキュリティ基盤を提供する国産セキュリティ企業と考えます。

2026年3月期第3四半期は、売上高78億35百万円、営業利益33億42百万円と増収増益に転じました。契約高は108億75百万円と大きく伸び、特に「GIGAスクール構想 第2期」案件の獲得が公共向け市場を押し上げています。

IT・業務観点では、同社の価値は「安全なWeb利用」「メール経由の脅威対策」「認証とアクセス制御の統合」にあります。セキュリティ対策は個別ツールの導入ではなく、日常業務のアクセス経路をどう守るかという業務設計の問題です。導入検討者は、ゼロトラスト、クラウド利用、教育・公共端末管理など、自社の利用環境に照らして比較することが重要です。

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