株式会社エクサウィザーズは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げる情報・通信業の企業です。同社と連結子会社5社、持分法適用関連会社1社の計7社で構成されています。事業は、すぐに業務で使えるAIソフトウエアを提供するAIプロダクト事業と、大企業を中心に経営課題の解決を支援するAIソリューションサービス事業の2つです。
2027年3月期 第1四半期の連結業績は、売上高34億48百万円(前年同期比+41.0%)と大幅な増収になりました。営業利益は2億円(同+39.0%)、経常利益は1億68百万円(同+21.3%)です。親会社株主に帰属する四半期純利益は87百万円(同+31.1%)となり、増収増益で今期をスタートしました。
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【株式会社エクサウィザーズ(証券コード:4259)徹底解説】2026年3月期 通期──黒字転換、純利益15億33百万円で利益体質が大きく改善
今期スタートを取り巻く市場環境
企業のAI投資は本格化の段階に入り、市場は急速に拡大しています。生成AIの導入が試験運用から業務適用へと進み、AIエージェントの開発需要も高まりました。同社はこうした市場の広がりを受け、既存プロダクトの販売拡大と並行して新領域の開発にも積極的に取り組んでいます。
需要の裾野も広がりました。生成AIサービスの導入は大企業から地方の中堅・中小企業へと拡大し、官公庁・自治体への導入も進んでいます。AIの活用が特定の先進企業に限られた段階を抜け、業種や規模を問わない一般的な投資対象になりつつあることを示す動きです。
一方で、AI活用を担う人材の不足は依然として課題です。企業のAI活用が本格化するほど、社内人材の育成需要は高まります。同社のAX人材育成事業が回復基調に転じたのは、この構造的な需要を捉えた結果と考えられます。
業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社エクサウィザーズ 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)
2027年3月期第1四半期の売上高は34億48百万円となり、前年同期の24億46百万円から+41.0%の増収でした。前期(2026年3月期)通期の売上高119億96百万円に対し、通期予想の156億円へ向けて順調な滑り出しです。AIプロダクト事業でサービスの利用数が増え、AIソリューションサービス事業でAIコンサルティング案件が増加しました。
費用面では、売上原価が14億63百万円(前年同期比+89.2%)と大きく増えました。人件費やシステム利用料、減価償却費の増加が主因です。この結果、売上総利益は19億84百万円(同+18.7%)、売上総利益率は57.6%となりました。販売費及び一般管理費は17億84百万円(同+16.7%)です。
以上の結果、営業利益は2億円(前年同期比+39.0%)、経常利益は1億68百万円(同+21.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は87百万円(同+31.1%)となりました。1株当たり四半期純利益(EPS)は0.92円です。財政状態は、総資産143億42百万円、純資産101億61百万円で、第三者割当による資金調達を受けて純資産が前連結会計年度末から54億10百万円増加しました。
直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も注目すべき点は、売上原価が+89.2%と売上高の伸び(+41.0%)を大きく上回ったことです。売上総利益率は57.6%となり、前期通期の水準からは低下しました。人件費やシステム利用料、減価償却費といった、供給能力を広げるための費用が先行して増えている構図です。
もう一つの重要な動きは、第三者割当による資金調達です。現金及び預金は前連結会計年度末から52億14百万円増加し、資本金及び資本準備金は53億95百万円増加しました。総資産は143億42百万円と、前連結会計年度末から49億5百万円増えています。負債合計は41億80百万円と5億5百万円減少しました。
事業面では、生成AIサービス「エクサベース AI(旧exaBase 生成AI)」の導入社数が2026年6月時点で1,626社に達しました。代理店経由での販売が拡大し、地方の中堅・中小企業での導入獲得が加速しています。都道府県庁では過半を大きく上回るシェアを獲得しました。
今期の重点領域と収益構造
同社の収益構造は、粗利率の高いAIプロダクト事業と、案件規模の大きいAIソリューションサービス事業の組み合わせです。第1四半期のAIプロダクト事業は売上高15億85百万円(前年同期比+50.6%)、売上総利益率71.9%、営業利益5億18百万円(同+9.1%)となりました。プロダクトの利用数拡大が売上を牽引しています。
AIソリューションサービス事業は売上高19億9百万円(同+31.1%)、売上総利益率46.6%、営業利益4億50百万円(同+44.6%)でした。組織や開発プロセスをAI前提で再設計する「AI駆動開発」の案件が増え、連結子会社の株式会社Exa Frontier Edgeを中心に支援領域が広がっています。前期に実施した案件精査や人員配置の最適化による営業生産性の向上効果も続いています。
成長投資の面では、AI医療機器を開発する連結子会社の株式会社ExaMDで、会話音声認知症AI診断支援アプリに係る治験が計画どおり進捗しています。またMS&ADインシュアランスグループホールディングスとの合弁会社を通じた事業も始動しました。今期の重点は、拡大する需要に見合う供給体制の整備と、次の収益源の育成の両立にあると考えられます。
業界の注目ポイント
生成AI導入の裾野拡大と販売チャネルの変化
生成AIサービスの導入は、自社で検証体制を組める大企業から、外部の支援を必要とする中堅・中小企業へと広がっています。この層に届けるには直販だけでは限界があり、代理店ネットワークの活用が現実的な手段になります。
同社の導入社数が1,626社まで伸びた背景にも、代理店経由の販売拡大があります。販売チャネルの設計が導入企業数の伸びを左右する段階に入っており、プロダクトの機能競争だけでは差がつきにくくなっていると見られます。
官公庁・自治体におけるAI活用の本格化
都道府県庁での導入が過半を大きく上回るシェアに達したことは、公共部門でのAI活用が実証段階を越えたことを意味します。行政文書の作成や問い合わせ対応など、定型的な業務量が多い領域ほど効果が見えやすいためです。
公共部門は一度導入されると継続利用が見込みやすく、収益の安定性に寄与します。同時に、セキュリティ要件や調達手続きへの対応力が参入の前提条件となるため、実績を持つ事業者に集約されやすい市場でもあると考えられます。
AI人材育成需要の再拡大
AI活用が本格化するほど、ツールを使いこなす人材の育成が経営課題として浮上します。同社のAX人材育成は前第3四半期を底に回復基調へ転じ、成長軌道への回帰を果たしました。
人材育成は導入支援と親和性が高く、プロダクト販売の入り口にもなります。研修から導入、運用支援までを一貫して提供できる体制が、顧客あたりの取引額を押し上げる要素になると見られます。
ITトレンド編集部の考察
今回の第1四半期決算は、需要の強さと投資負担が同時に表れた内容です。売上高が前年同期比+41.0%と大きく伸び、営業利益も+39.0%と増益を確保しました。一方で売上原価が+89.2%と急増しており、売上総利益率は57.6%まで低下しています。
この粗利率の低下は、案件をこなすための人員やシステム基盤への投資が先行している結果と考えられます。AIソリューションサービス事業の粗利率が46.6%とプロダクト事業の71.9%より低いため、ソリューション側の伸びが構成比を押し下げた面もあります。売上構成の変化が利益率にどう働くかは、今後も注視すべき点です。
財務面では、第三者割当により純資産が101億61百万円まで積み上がり、投資余力が大きく高まりました。通期予想は売上高156億円(前期比+30.0%)、営業利益23億円(同+44.3%)と据え置かれています。第1四半期の営業利益は通期予想に対して1割弱の進捗にとどまるため、下期にかけての利益の積み上がりが焦点になるでしょう。
まとめ
- 2027年3月期第1四半期の売上高は34億48百万円(前年同期比+41.0%)と大幅増収
- 営業利益は2億円(同+39.0%)、経常利益は1億68百万円(同+21.3%)と増益
- 親会社株主に帰属する四半期純利益は87百万円(同+31.1%)、EPSは0.92円
- 売上原価は14億63百万円(同+89.2%)と急増し、売上総利益率は57.6%へ低下
- AIプロダクト事業は売上高15億85百万円(+50.6%)、AIソリューションサービス事業は19億9百万円(+31.1%)
- 「エクサベース AI」の導入社数は2026年6月時点で1,626社
- 第三者割当により総資産143億42百万円、純資産101億61百万円まで拡大
- 通期予想は売上高156億円(前期比+30.0%)、営業利益23億円(同+44.3%)で据え置き
- 今期の配当予想は5.0円
ITトレンド編集部
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