デジタル庁と厚生労働省は2026年9月30日、「電子カルテの導入状況に関するダッシュボード」を公開したと発表した。病院と医科診療所それぞれの電子カルテ導入状況を、施設の種類別や都道府県別に確認できる。
両省庁は医療DXの進捗を国民が実感できるよう、関連政策のダッシュボードを順次公開している。今回の電子カルテ版は、既存の「医療DXに関するダッシュボード」や「電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード」と並ぶ位置づけだ。
ダッシュボードで確認できること
ダッシュボードは大きく2つの画面で構成される。1つは施設別の導入状況で、病院と医科診療所の導入状況を確認でき、病院は病床数別にも見られる。もう1つは都道府県別の導入状況で、地図とヒストグラムで地域ごとの分布を把握できる。
画面はPower BIで埋め込まれており、全画面表示にも対応している。数値は構造化したデータとして、ExcelとCSVでも公開された。データの更新は定期的に行う予定とされ、改善に向けた意見募集のフォームも設けられている。
導入率の定義と元データ
元データは、社会保険診療報酬支払基金(10月1日から医療情報基盤・診療報酬審査支払機構)が収集したものだ。オンライン資格確認システムを導入している医療機関に対し、ポップアップ形式のアンケートを実施して集めている。
導入率は「アンケート回答施設のうち電子カルテを導入している施設数」を「アンケートに回答したオンライン資格確認導入施設数」で割って算出する。つまり、オンライン資格確認を導入していない施設や、アンケートに回答していない施設は分母に含まれない。全医療機関の普及率とは異なる点に注意が必要だ。
公開データから見る地域差
公開されたCSVは2026年6月時点の都道府県別データだ。これを編集部で合算すると、病院は回答6,397施設のうち4,982施設が導入しており、導入率は約77.9%となる。医科診療所は回答71,616施設のうち51,985施設で、約72.6%だった。
都道府県別では、病院の導入率が最も高いのは鳥取県の91.2%で、三重県90.8%、島根県90.6%が続く。低いのは福島県の64.9%、佐賀県68.8%、青森県69.1%だった。医科診療所では沖縄県82.5%、東京都81.0%が高く、徳島県54.3%、和歌山県58.8%が低い。診療所では最大28ポイント余りの差がある。
区分 | 回答施設数 | 導入施設数 | 導入率(編集部集計) |
|---|---|---|---|
病院 | 6,397 | 4,982 | 約77.9% |
医科診療所 | 71,616 | 51,985 | 約72.6% |
※2026年6月時点。デジタル庁公開のCSVを編集部で合算。全国値はダッシュボード本文には記載されていない。
電子カルテは医療DXの基盤に位置づけ
デジタル庁は、電子カルテを厚労省が進める医療DXの基盤の一つとし、全国医療情報プラットフォームの実現に向けた重要な施策と位置づけている。紙のカルテから電子化が進めば、診療や業務の効率化につながるとしている。
今後は「電子カルテ情報共有サービス」との連携により、医療機関同士で必要な診療情報を安全に共有できるようになるという。切れ目のない医療の実現が期待されると説明している。ただし、導入率の目標値や今後の普及策の具体的な内容は、今回の公開ページでは示されていない。
企業への示唆
医療機関の経営層や事務部門にとっては、自院の地域の普及度を客観的な数字で確認できる材料になる。近隣地域より導入が遅れている場合、地域連携や患者紹介の場面で情報共有に支障が出る可能性がある。電子カルテ情報共有サービスへの対応を見据え、更新時期や移行計画を検討する判断材料にしたい。
電子カルテベンダーや医療IT事業者にとっては、都道府県別・規模別の導入状況が営業やサポート体制の計画に使える。導入率が相対的に低い診療所が多い地域は、クラウド型製品や導入支援の需要が見込める。データは定期更新される予定のため、推移を追うことで市場の変化もつかみやすくなる。
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まとめ
デジタル庁と厚労省は、電子カルテの導入状況を病院・診療所別、都道府県別に確認できるダッシュボードを公開した。公開データを編集部で集計すると、2026年6月時点の導入率は病院が約77.9%、医科診療所が約72.6%で、地域によって大きな差がある。
導入率はアンケート回答施設ベースの数字である点を踏まえつつ、自院や担当地域の位置づけを確認する材料として活用したい。

