総務省は2026年11月4日、「利用者情報ワーキンググループ第2次報告書」を発表した。副題は「利用者情報に係る外部送信規律の遵守に係る方策について」である。報告書案への意見募集では24件の意見が提出され、その結果とともに公表された。
調査では、アプリでのサービス提供がないWebサイトの遵守率は43.2%にとどまった。総務省は、この結果を受けて、Webサイトでの遵守を確保する必要があるとしている。
外部送信規律とは何か
外部送信規律は、電気通信事業法第27条の12に定められたルールである。利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務を提供する事業者などが、利用者情報を端末から外部へ送信する場合に適用される。
対象の事業者は、送信する情報、送信先、利用目的を、利用者に通知するか公表しなければならない。原則は通知または公表であり、あわせて同意の取得やオプトアウト手段の提供も求められる。Webサイトに解析ツールや広告タグを入れている企業にとって、身近な規律である。
遵守率43.2%を受けた検討の背景
検討の出発点は、2025年9月の「スマートフォン・プライバシー・セキュリティ・イニシアティブ(SPSI)」の改訂である。そのとき、WebサイトやアプリによるWeb上の外部送信もSPSIの対象にすべきかが、今後の課題として残った。ワーキンググループは2025年12月から2026年7月まで議論した。
検討では、利用者の意識を前提にしない考え方が示された。利用者は外部送信の仕組みを十分に理解していないとみられるため、利用者の理解をゴールに、事業者が対応するのが適当だとされた。サードパーティCookieに代わる追跡手法やAIの活用、米国のオプトアウト措置の強化、EUのCookie同意規制の見直しといった動向も踏まえている。
手引き・雛形・啓発の3つの方策
総務省が示した方向性は、対象サイトに法令遵守を求めたうえで、より望ましい対応をベストプラクティスとして実践してもらうことである。SPSIとは別に、遵守事項とベストプラクティスを解説した「手引き」を作り、対象事業者に対応を促す。規律の対象外のサイトにも、自主的な対応を求める。
具体策の1つ目は、手引きの策定である。通知や公表のための「雛形」を示し、遵守状況の定期調査と公表を行い、業界団体と連携する。ベストプラクティスとしては、同意取得やオプトアウト(推奨)による利用者の関与機会の提供、サードパーティ事業者との連携が挙げられた。
2つ目は利用者への啓発である。Webサイトでの情報収集や行動ターゲティング広告の仕組みを、動画などで分かりやすく周知する。3つ目は今後の課題である。当面は手引きの周知に取り組み、中長期では規律の適用対象の見直しや、利用者の関与機会の強化を検討する。
日本企業への示唆
企業のWeb担当者や情シスが確認すべき点は、まず自社サイトが規律の対象かどうかである。対象であれば、解析ツールや広告タグ、外部サービスの埋め込みを洗い出し、送信される情報と送信先、利用目的を把握する必要がある。タグが増え続けている企業では、棚卸しが最初の作業になる。
次に、通知や公表の掲載場所と内容が、実態と合っているかを点検したい。手引きや雛形はこれから整備される段階であり、正式な公開時期は、示されていない。公開された時点で、自社の表示を見直す準備をしておくとよい。
規律の対象外でも、自主的な対応は求められている。外部サービス提供者との契約や、同意取得の仕組みを含め、社内の窓口を決めておくと対応が早くなる。
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まとめ
総務省は、利用者情報ワーキンググループの第2次報告書を公表した。外部送信規律の遵守率は、アプリのないWebサイトで43.2%だった。対策として、手引きの策定、雛形の提示、遵守状況の定期調査、利用者への啓発を進める。
企業は、まず自社サイトの外部送信を洗い出し、通知や公表の内容を実態に合わせておくことが重要である。手引きの公開時期は示されていないため、総務省の発表を継続して確認したい。

