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決算個社IT・インターネット2026年05月22日

【株式会社オークファン徹底解説(3674)】BtoB流通DXからD2Xコマースへ転換する注目企業

【株式会社オークファン徹底解説(3674)】BtoB流通DXからD2Xコマースへ転換する注目企業

株式会社オークファンは、BtoB流通のデジタル化を支援するサービス群を基盤に、卸売プラットフォーム「NETSEA」、自社ブランド「AP LAB」、ライブコマース「NETSEA MallLive」などを展開する企業です。2026年9月期第1四半期は、売上高が12億64百万円で前年同期比11.9%増と伸びた一方、営業損失51百万円を計上しました。数字だけを見ると減益ですが、その背景には、従来のBtoB流通DXから、より収益性の高いD2Xコマース領域へ軸足を移すための先行投資があります。

この記事では、株式会社オークファンの事業がどのような業務プロセスと結びついているのか、なぜ今D2Xコマースへ転換しようとしているのか、そしてその変化が企業の調達・流通・販売業務にどう関係するのかを整理します。IT・業務システム導入を検討する担当者にとっては、「流通の可視化・効率化」をどのレイヤーで担う会社なのかを理解するための材料になります。

1. 市場背景と業界構造

株式会社オークファンが向き合う国内のBtoB取引市場は、約300兆円規模と推定され、そのうちEC化されていない取引が約200兆円に上るとされています。これは、企業間取引の相当部分がまだデジタル化されておらず、例えば見積、受発注、在庫流通、価格比較、販路開拓などの業務が非効率なまま残っていることを意味します。

この市場で株式会社オークファンが狙うのは、単なるBtoB-ECの一部ではありません。従来のBtoB流通DXから、D2Xコマースへ事業の軸を移す方針が示されています。ここでいうD2Xは、卸や流通の中間工程をデジタル化するだけでなく、自社ブランドやライブコマースなども含め、商品供給から販売接点までをより直接的につなぐ発想です。つまり、仕入れ・流通の最適化だけでなく、「どう売るか」まで含めて支援範囲を広げようとしているわけです。

ITトレンド編集部の視点で言えば、この会社がいるのは「企業の流通・調達・販売の業務がまだ十分にシステム化されていない領域」です。特に、中小企業、個人事業主、副業層、インフルエンサーなど、同社が「Appreciator」と呼ぶ層は、例えば大手企業ほど高度な基幹システムを持たない一方で、商流のデジタル化ニーズを強く持ちやすい層です。

この業界でIT化・データ化・自動化が影響するのは、まず価格比較と仕入れ判断と考えます。次に、在庫や流通の最適化、販売チャネルの拡張、決済や手数料管理が続きます。さらに近年は、ライブコマースのように「購買体験そのもの」をデジタルに置き換える流れも出ています。株式会社オークファンは、売買データとAI技術を活用して流通の可視化・効率化を進める技術力を掲げており、デジタル化の影響を受ける企業というより、商流の再設計を進める側の企業といえます。

2. 過去数年の業績推移

直近2期間を見ると、株式会社オークファンの売上は回復感を伴って伸びています。2025年9月期第1四半期の売上高は11億30百万円で前年同期比1.2%増でしたが、2026年9月期第1四半期は12億64百万円で同11.9%増となりました。売上成長率は前期より大きく改善しています。

一方、利益面は逆風が強く出ています。2025年9月期第1四半期は営業利益39百万円でしたが、2026年9月期第1四半期は営業損失51百万円です。経常利益も62百万円の黒字から35百万円の赤字へ、親会社株主に帰属する四半期純利益も32百万円の黒字から55百万円の赤字へ転じました。

ただし、ここは単純な本業悪化と見るのは適切ではありません。前年同期にインキュベーション事業で営業投資有価証券の売却など一過性の収益が計上されていた一方、当期はそれが縮小したことが利益押し下げ要因とされています。加えて、D2Xコマースの新たな成長ドライバーとして位置づける「AP LAB」と「NETSEA MallLive」への積極的な先行投資を進めていることも、短期的な利益圧迫要因です。

この点は、売上の中身を見るとよりはっきりします。ソリューション事業は売上高7億29百万円で前年同期比2.4%増、セグメント利益は1億65百万円で同5.7%減でした。既存の収益基盤は大きく崩れていません。一方、プラットフォーム事業は売上高5億52百万円で同38.9%増と大きく伸びたものの、セグメント損失は95百万円で、前年同期の30百万円の損失から赤字幅が拡大しています。つまり、成長しているのはプラットフォーム事業だが、その成長を取りにいくための投資が利益を削っている構図です。

IT視点で見ると、これは「既存事業の安定収益を使って、新しい商流・販売チャネルのプラットフォーム化に投資している」状態といえるのではないでしょうか。短期の損益だけを見ると弱く見えますが、どの分野の売上が伸び、どこに先行投資しているかを見ないと、事業の本質を捉えにくい決算です。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で会社側が最も強調しているのは、BtoB流通DXからD2Xコマースへの事業転換です。中心に据えるのは、中国生産商品の自社ブランド「AP LAB」と、ライブコマースサービス「NETSEA MallLive」です。つまり、従来の「企業間流通をデジタル化する会社」から、「供給側と販売側をより直接的につなぐ会社」へと進化しようとしています。

この方針は、単なる新規事業の追加ではありません。収益性の高い事業ポートフォリオの確立を目指すとされています。つまり、売上の積み上げではなく、どの事業が将来の中核になるかを選び直している局面です。全社としても、短期的な利益を犠牲にしてでも、中長期の拡張に向けた基盤づくりを優先していると読み取れます。

具体的な動きとしては、2025年3月に滞留在庫や返品、型落ち品等の流動化支援を行う「NETSEAオークション」を終了しました。これは、収益性や戦略上の優先順位を見直した結果と考えられます。また、これまでインキュベーション事業に属していた中国関連の一部部門を、検証・立ち上げフェーズの進捗を踏まえてプラットフォーム事業へ変更しています。これは、新規性の高い取り組みが「実験」段階から「事業」段階へ移行したことを示すものです。

新規サービスでは、「AP LAB」「NETSEA MallLive」に加え、ファッションカテゴリ特化の自社ブランド「KACHIKA」も立ち上げています。いずれも、単なる流通支援ではなく、商品の企画・供給・販路形成まで広げる動きです。

IT投資については、AI技術を活用して流通の可視化・効率化を進める技術力が強みとして掲げられています。ここから読み取れるのは、同社がデータ基盤を活用しながら、商流のどこに無駄があり、どこに利益機会があるかを可視化する方向にあると考えます。

4. 事業構造と収益モデル

株式会社オークファンの事業は、大きくソリューション事業、プラットフォーム事業、インキュベーション事業に分かれます。2026年9月期第1四半期の外部顧客向け売上高は、ソリューション事業が7億5百万円、プラットフォーム事業が5億48百万円、インキュベーション事業が10百万円です。規模としてはソリューション事業がまだ主力ですが、プラットフォーム事業の存在感が急速に高まっています。

ソリューション事業の主力は、『aucfan.com』『aucfan marketing』『タテンポガイド』『オークファンロボ』『good sellers』です。収益モデルは、有料課金収入とネット広告収入が中心です。つまり、価格比較やEC運営支援などの情報・業務支援サービスとして収益を得ています。業務プロセスで言えば、仕入れ判断、価格調査、出店・出品管理、販売支援に関わる領域です。

プラットフォーム事業は、『NETSEA』『OSR展示商談会』『AP LAB』『NETSEA MallLive』で構成されます。収益モデルは、流通手数料、有料課金、商品販売、決済手数料、出店料などです。こちらは、単に情報を提供するだけでなく、実際の商取引の場を提供し、そこから収益を得る構造です。業務プロセスとしては、仕入れ、商談、商品供給、販売、決済までを含みます。

インキュベーション事業は、事業投資や投資先支援を行う領域で、営業投資有価証券の売却益や配当収益、コンサルティング収益などが中心です。ただし、今回の決算ではこの領域の売上は大きく縮小しており、全体の中では存在感が低下しています。

IT・業務の観点で見ると、株式会社オークファンの特徴は「情報提供」と「商流プラットフォーム」を併せ持っていることです。価格を見せるだけでも、ECモールを運営するだけでもなく、企業や個人事業主の仕入れ・流通・販売判断そのものに入り込んでいる点が特徴です。

5. 業界の注目ポイント

ポイント1:BtoB取引の非EC領域が大きいこと自体が成長余地
国内BtoB取引市場約300兆円のうち、約200兆円が未EC化と推定される点は、最大の前提です。これはIT導入で改善可能な領域です。一例を挙げると見積・発注・価格比較・在庫流通・商談など、手作業やアナログ運用が残る工程ほど、デジタル化の効果が出やすいと言えます。

ポイント2:流通DXだけではなく販売体験の再設計が進む
「NETSEA MallLive」のようなライブコマースは、単に取引を効率化するのではなく、販売の見せ方そのものを変える取り組みと考えます。これはIT導入で改善可能な領域で、特に個人事業主やインフルエンサーのように、少人数で販売を回す層と相性が良いと考えられます。

ポイント3:投資先行のプラットフォーム事業は、中長期で評価すべき領域
プラットフォーム事業は売上高が38.9%増と高成長ですが、損失も拡大しています。ここは短期損益だけでは判断しにくく、どれだけ顧客基盤や商品供給力を積み上げられるかが重要です。これもIT導入で改善可能な領域で、ID統合やデータ活用、取引効率化などの積み上げが将来の差になります。

6. ITトレンド編集部の考察

株式会社オークファンは、いわゆるBtoB-EC企業に見えますが、実際には「流通データを起点に商流全体を作り直そうとしている会社」と見るほうが適切です。ソリューション事業で培った価格情報や取引支援の強みを持ちながら、プラットフォーム事業で実際の流通・販売の場を押さえようとしているからです。

この会社が向いているのは、まず中小企業や個人事業主と考えます。例えば専門の調達部門やシステム部門を持たず、仕入れ・販売・販路開拓を少人数で回している事業者にとって、価格可視化と流通プラットフォームを同時に使える価値は大きいはずです。また、D2Xコマースの文脈では、インフルエンサーや副業層のように「売り方」を柔軟に変えたい層にも接点があります。

IT投資余地という観点では、同社自身が今まさに投資局面にあります。短期の営業利益は赤字化しましたが、プラットフォーム事業への先行投資で売上は高く伸びています。比較検討する企業から見ると、すでに完成された安定プラットフォームというより、機能や収益モデルを作り込みながら伸ばしている最中の企業です。

したがって比較の軸は、現時点の利益水準ではなく、「どこまで商流の前後をつなげられるか」です。価格比較ツール、卸売EC、商品供給、自社ブランド、ライブコマースをバラバラに使うのではなく、一体化した環境で使いたい企業や事業者にとっては、選択肢になりやすい企業です。

7. まとめ

株式会社オークファンを一言で表すなら、「BtoB流通DXからD2Xコマースへ進化を図る流通プラットフォーム企業」です。

2026年9月期第1四半期は、売上高12億64百万円で前年同期比11.9%増と伸びた一方、営業損失51百万円を計上しました。ただしその背景には、前年の一過性収益の反動だけでなく、「AP LAB」や「NETSEA MallLive」など新たな成長ドライバーへの先行投資があります。

市場の観点では、未EC化のBtoB取引が依然として大きく、デジタル化余地は豊富です。IT・業務視点では、同社の価値は価格情報の提供にとどまらず、仕入れ・流通・販売まで一体で支援できることにあります。今後は、ソリューション事業で築いた基盤を、どこまでD2Xコマースへ接続し、収益性の高い事業ポートフォリオへ転換できるかが最大の注目点です。

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