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決算個社卸売/小売/商社2026年09月14日

【株式会社オートバックスセブン(証券コード:9832)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収も販管費増で営業利益13.1%減

【株式会社オートバックスセブン(証券コード:9832)徹底解説】2027年3月期 第1四半期──増収も販管費増で営業利益13.1%減

株式会社オートバックスセブンは、カー用品等の国内外への卸売・小売、ネット販売、車販売、車検・整備、自動車ディーラーを手がける企業グループです。同社と子会社50社、関連会社13社で構成され、オートバックス事業を中心に店舗設備のリースやクレジット関連事業も展開しています。

2027年3月期第1四半期の連結業績は、売上高688億15百万円(前年同期比+7.2%)と増収になった一方、営業利益23億33百万円(同-13.1%)、経常利益26億77百万円(同-12.2%)、親会社株主に帰属する四半期純利益14億80百万円(同-26.0%)と、増収減益の決算となりました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
株式会社オートバックスセブン(証券コード:9832)の決算解説

本記事では、今期スタートの市場環境、業績推移、減益の背景、そしてセグメント別の動きを整理します。


1. 今期スタートを取り巻く市場環境

当第1四半期の国内経済について、同社は雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により景気は緩やかな回復基調を維持していると説明しています。一方で、中東情勢による影響や継続的な物価上昇、金利上昇による企業の経済活動や個人消費への影響が懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続いています。

国内の自動車関連業界については、2026年3月末に自動車税「環境性能割」が廃止されたことを背景に、新車販売台数が前年を上回りました。一方で中古車登録台数は前年を下回っています。新車と中古車で動きが分かれた四半期でした。

こうした環境下で同社は、お客様にとっての「モビリティライフのインフラ」をグローバルで目指す方針を掲げています。2024中期経営計画に基づき、「タッチポイントの創出」「商品・ソリューションの開発と供給」「新たな事業ドメインの設定」を戦略骨子とした各種施策を推進しています。


2. 業績推移

詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
株式会社オートバックスセブン 2027年3月期 第1四半期決算短信(PDF)

当第1四半期の売上高は688億15百万円で、前年同期の642億23百万円から7.2%の増収となりました。売上総利益も252億90百万円(前年同期比10.1%増加)と、売上の伸びを上回るペースで拡大しています。

一方で販売費及び一般管理費が229億57百万円(同13.2%増加)まで膨らみ、売上総利益の増加分を吸収しました。この結果、営業利益は23億33百万円(同13.1%減少)となっています。

経常利益は26億77百万円(同12.2%減少)でした。営業外収益では受取配当金が増加した一方、持分法による投資利益が前年同期の1億78百万円から43百万円へ縮小しています。親会社株主に帰属する四半期純利益は14億80百万円(同26.0%減少)で、1株当たり四半期純利益は18.85円となりました。

財務面では、第1四半期末の資産合計が前連結会計年度末比36億43百万円減少の2,362億58百万円となりました。負債は同30億42百万円減少の1,002億37百万円、純資産は同6億円減少の1,360億20百万円です。


3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で押さえておきたいのは、減益の要因が売上や粗利にあるのではなく、販売費及び一般管理費の増加にある点です。売上総利益が10.1%増えたのに対し、販売費及び一般管理費は13.2%増加しました。伸び率の差がそのまま営業利益の減少につながっています。

店舗数の推移を見ると、この費用増の一端がうかがえます。国内では2026年3月末の1,059店舗から新規出店12店舗、退店1店舗があり、2026年6月末には1,070店舗となりました。コンシューマ事業でも新規出店4店舗、退店2店舗で205店舗まで増えています。出店に伴う先行費用が、当四半期の損益を押し下げたと考えられます。

純利益の減少幅が営業利益や経常利益より大きい点も特徴です。営業利益が13.1%減、経常利益が12.2%減であるのに対し、親会社株主に帰属する四半期純利益は26.0%減となりました。法人税等合計が前年同期の10億9百万円から11億45百万円へ増えたことが影響しています。


4. 今期の重点領域と収益構造

同社の収益構造の中心は、依然としてオートバックス事業です。当第1四半期のオートバックス事業の売上高は489億94百万円(前年同期比5.3%増加)、セグメント利益は46億4百万円(同0.5%減少)でした。全社のセグメント利益合計55億25百万円のうち、大半をこの事業が稼いでいます。

事業の中身を見ると、商品と作業の両輪で構成されていることがわかります。タイヤは戦略商品の販売促進が奏功して堅調に推移し、オイルは中東情勢等を背景とした販売単価の上昇に伴い一時的に売上が増加しました。バッテリーをはじめとするメンテナンス関連商品も、平均車齢の高齢化に伴う車両メンテナンス需要の増加を背景に堅調でした。

車検・整備については、車検対象車両台数の減少を背景に車検実施台数が前年同期比4.2%減少の約15万9千台となりました。それでも作業工賃の見直し等により、車検・整備の売上高は前年同期比3.1%増加の63億95百万円です。台数の減少を単価で補う構図が見て取れます。

車販売では、新車販売が低調に推移した影響で総販売台数が前年同期比2.6%減少の約7千4百台となりました。一方、中古車オークション相場の高騰に伴う販売価格の上昇により、総販売金額は同7.3%増加の91億3百万円となっています。


5. 業界の注目ポイント

ポイント1:コンシューマ事業の黒字転換

コンシューマ事業の売上高は145億63百万円(前年同期比19.4%増加)、セグメント利益は4億19百万円となりました。前年同期は43百万円のセグメント損失でしたので、黒字への転換です。

オンラインストアでタイヤやカーエレクトロニクス等の主力商材を確保し、その他カテゴリーの在庫管理を適正化したことで、自社ECサイト・外部ECモールともに販売が好調でした。2026年4月には京都府初のBYD正規ディーラーをインショップ形態でオープンするなど、ディーラー事業の展開も進んでいます。

ポイント2:海外事業で分かれた明暗

海外では地域ごとに状況が分かれました。フランスはプライベートブランドをはじめとした商品ラインアップの拡充を行ったものの、景気低迷により個人消費支出が停滞し、売上が減少しています。

シンガポールは、COE(車両購入権)価格の高騰による既存車の車両メンテナンス需要の増加を背景にピットサービスが好調に推移しました。ただし中東情勢等を背景としたエンジンオイルの調達不足により販売が減少し、売上は前年同水準にとどまっています。海外店舗数は2026年3月末の149店舗から1店舗減り、6月末は148店舗となりました。

ポイント3:拡張事業とホールセール事業の着実な伸び

拡張事業の売上高は32億4百万円(前年同期比18.4%増加)、セグメント利益は3億54百万円(同18.9%増加)と、売上・利益ともに二桁の伸びを示しました。新規出店や増改築による不動産賃貸収入等の増加に加え、特定小型原動機付自転車等のマイクロモビリティの売上増が寄与しています。

ホールセール事業の売上高は83億81百万円(同4.2%増加)、セグメント利益は1億48百万円(同6.5%増加)でした。中国では新商品開発の推進により日本向けの輸出が拡大し、国内における卸売も増加しています。新たな事業ドメインの設定という戦略骨子が、徐々に数値に表れ始めていると見られます。


6. ITトレンド編集部の考察

2027年3月期第1四半期を一言で表すと、「売上と粗利は着実に伸びたものの、出店と事業拡大に伴う費用が先行して減益となった四半期」です。売上高688億15百万円(前年同期比7.2%増加)に対し、売上総利益は同10.1%増加しており、商品の売り方そのものは改善しています。

減益の主因は販売費及び一般管理費の13.2%増加です。国内店舗数が1,059店舗から1,070店舗へ純増し、コンシューマ事業でも店舗が増えていることを踏まえると、この費用増は将来の売上基盤を広げるための先行投資という性格が強いと考えられます。

事業ポートフォリオの観点では、前年同期に損失だったコンシューマ事業が4億19百万円の利益に転じ、拡張事業も売上・利益ともに二桁成長を果たしました。主力のオートバックス事業がセグメント利益0.5%減とほぼ横ばいであるなか、周辺事業が利益を押し上げる構図が生まれつつあります。

通期予想は据え置かれており、売上高3,000億円(前期比+7.1%)、営業利益150億円(同+8.7%)、経常利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円を計画しています。第1四半期時点の進捗率は営業利益で15.6%と低めですが、同社の事業はタイヤ需要などの季節性を持つため、下期にかけての積み上がりを確認したいところです。


7. まとめ

株式会社オートバックスセブンを一言で表すと、「主力のカー用品小売を軸に、EC・ディーラー・拡張事業へ収益源を広げている企業グループ」です。

2027年3月期第1四半期の業績は以下のとおりでした。

  • 売上高 688億15百万円(前年同期比+7.2%)
  • 売上総利益 252億90百万円(同10.1%増加)、販売費及び一般管理費 229億57百万円(同13.2%増加)
  • 営業利益 23億33百万円(同-13.1%)
  • 経常利益 26億77百万円(同-12.2%)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益 14億80百万円(同-26.0%)、1株当たり四半期純利益 18.85円
  • 第1四半期末の資産合計 2,362億58百万円、負債 1,002億37百万円、純資産 1,360億20百万円

セグメント別の状況は以下のとおりです。

  • オートバックス事業:売上高489億94百万円(前年同期比5.3%増加)、セグメント利益46億4百万円(同0.5%減少)
  • コンシューマ事業:売上高145億63百万円(同19.4%増加)、セグメント利益4億19百万円(前年同期は43百万円の損失)
  • ホールセール事業:売上高83億81百万円(同4.2%増加)、セグメント利益1億48百万円(同6.5%増加)
  • 拡張事業:売上高32億4百万円(同18.4%増加)、セグメント利益3億54百万円(同18.9%増加)
  • 店舗数は国内1,070店舗、海外148店舗、コンシューマ事業205店舗(いずれも2026年6月末)

2027年3月期通期予想は、売上高3,000億円(前期比+7.1%)、営業利益150億円(同+8.7%)、経常利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円、1株当たり年間配当予想60.0円です。出店に伴う先行費用が一巡し、下期にかけて利益がどこまで積み上がるかが注目されます。


ITトレンド編集部

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