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決算個社IT・インターネット2026年05月15日

【ネットワンシステムズ株式会社(証券コード:7518)徹底解説】ICT基盤高度化需要を追い風に伸びるネットワーク・ITサービス企業

【ネットワンシステムズ株式会社(証券コード:7518)徹底解説】ICT基盤高度化需要を追い風に伸びるネットワーク・ITサービス企業

今回取り上げるのは、エンタープライズ、通信事業者、公共、パートナー向けに、ネットワークやセキュリティ、クラウド活用を支えるICT基盤サービスを提供する、ネットワンシステムズ株式会社です。2025年3月期第3四半期累計では、売上高1,553億96百万円、営業利益143億14百万円となり、前年同期比でそれぞれ8.7%増、18.3%増と増収増益を達成しました。

足元で特に目立つのは、受注高が1,566億71百万円と前年同期比22.1%増まで伸びている点です。企業のデジタル化に不可欠なネットワーク増強、セキュリティ強化、クラウド活用といったICT基盤の高度化需要を着実に取り込んでいることがうかがえます。

本記事では、ネットワンシステムズ株式会社の市場環境、業績、事業構造、受注残高の意味、そしてIT導入を検討する企業担当者にとって何が読み取れるのかを整理します。IT・業務視点では、同社が単なる機器販売会社ではなく、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、運用まで含めて企業の基盤刷新を支える存在であることが見えてきます。

1. 市場背景と業界構造

ネットワンシステムズ株式会社が属するのは、企業や自治体、通信事業者向けのネットワーク・ICT基盤構築市場です。システム更新需要に加え、デジタルデータを活用した業務効率化といったテーマが企業のIT投資を下支えしています。

対象顧客も幅広く、金融業、製造業、非製造業、通信事業者、自治体などで案件を獲得していることが示されています。特に公共分野では、自治体向けにマルチクラウド、ゼロトラスト、SASE、働き方改革といった大型DX案件を複数獲得しています。これは、同社が業務システムの上流アプリよりも、それらを支えるICT基盤側で存在感を持つ企業であることを示しています。

この市場でIT化・データ化・自動化が起きる場所は、企業の全社基盤そのものです。ネットワーク増強、クラウド移行、ゼロトラストやSASEによるセキュリティ再設計、MSP向けWi-Fi、通信事業者向け共創案件など、どれも業務システムを動かす土台に位置します。この企業は、その変化の“受け手”ではなく、“基盤を整備する側”の企業です。

2. 過去数年の業績推移

2025年3月期第3四半期累計の売上高は1,553億96百万円で、前年同期比8.7%増でした。前年の2024年3月期第3四半期累計は1,430億13百万円で、前年同期比2.4%増です。増収基調が続く中で、今期は成長率が高まっています。

利益面も改善しています。営業利益は143億14百万円で前年同期比18.3%増、経常利益は142億46百万円で22.4%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は95億67百万円で20.5%増です。売上高の伸長によって売上総利益が増加し、販売費及び一般管理費を差し引いた結果、各利益段階で増益となったと説明されています。

この伸び方から読み取れるのは、単なる案件増ではなく、売上拡大が利益に結びついていることです。受注高が大きく伸びている一方で、売上化と利益化も進んでいるため、足元の需要は先行受注だけで終わっていません。

セグメント別に見ると、エンタープライズ事業は450億34百万円で15.2%増、通信事業者事業は337億20百万円で6.6%増、パブリック事業は405億38百万円で7.6%増、パートナー事業は36,103百万円で4.2%増です。すべての主要セグメントで増収となっており、需要が一部領域だけに偏っていないことがわかります。

IT視点では、ネットワンシステムズ株式会社の成長は一過性の大口案件だけではなく、複数市場での基盤需要の積み上がりによって支えられています。しかも、機器商品群とサービス商品群の両方を持っているため、単純な物販企業というより、構築・保守・マネージドサービスまでを含む複合モデルとして理解する必要があります。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で会社側が強調しているのは、ICT基盤の高度化需要を捉えたことによる受注高の増加です。受注高は1,566億71百万円で前年同期比22.1%増まで伸びました。売上成長率8.7%を大きく上回るため、足元の需要の厚みを示す数字といえます。

特に大型案件の内容が、この会社の立ち位置をよく表しています。通信事業者事業では法人共創ビジネスで大型案件を獲得。パブリック事業では、自治体向けにマルチクラウド、ゼロトラスト、SASE、働き方改革といった大型DX案件を複数獲得。パートナー事業では、MSP向けに大型のWi-Fi案件を獲得しています。いずれも、企業や自治体の業務アプリそのものではなく、その前提となる接続・認証・運用基盤に強みがあることを示しています。

一方で、特別損益には一時要因もあります。第2四半期には「歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス」の売却による特別利益497百万円を計上しました。第3四半期には、SCSK株式会社による公開買付け成立に関連する費用として特別損失743百万円を計上しています。したがって、最終利益をみる際には、事業収益と一時要因を分けて捉える必要があります。

また、SCSKによる公開買付けに伴い上場廃止予定であるため、2025年3月期の通期連結業績予想は記載されていません。

4. 事業構造と収益モデルの解説

事業構造は、エンタープライズ、通信事業者、パブリック、パートナーの4セグメントに分かれています。商品群としては、機器商品群とサービス商品群があり、2025年3月期第3四半期累計では、機器商品群売上高が808億5百万円、サービス商品群売上高が745億90百万円です。ほぼ拮抗した構成で、物販偏重でもサービス偏重でもないことがわかります。

この点はIT導入の観点で非常に重要です。機器だけを売る会社であれば案件単位の売上変動が大きくなりやすく、サービスだけの会社であれば人月や運用受託への依存が強くなります。ネットワンシステムズ株式会社は両方を持つことで、基盤構築から保守・マネージドサービスまでを一体で提供できる形になっています。

収益モデルについて、受注残高を見ると、全体受注残高1,466億63百万円のうち、機器商品群が455億76百万円、サービス商品群が1,010億86百万円です。サービスの受注残が機器を大きく上回っており、先の売上の見通しとしてはサービスが厚い構造です。

セグメント別の受注残高も、エンタープライズ315億29百万円、通信事業者250億44百万円、パブリック739億15百万円、パートナー161億73百万円となっています。業務プロセスとの関係で見ると、この会社が支えるのは、企業・自治体の接続基盤、セキュリティ運用、クラウド利用環境、拠点Wi-Fi、通信基盤などです。つまり、顧客企業の業務アプリやデータ活用を“支える”側に位置し、基盤刷新が業務改革の前提になる企業にとって重要な存在です。

5. 業界の注目ポイント

ポイント1:ネットワーク・セキュリティ・クラウドの一体需要
企業のDXは、単にクラウドへ移るだけでは成立しません。接続、認証、アクセス制御、運用監視が一体で必要と考えます。自治体向けのマルチクラウド、ゼロトラスト、SASE案件は、その象徴です。この論点はIT導入で直接改善可能であり、同社のような基盤事業者の価値が出やすい領域です。

ポイント2:受注残高の厚みとサービス化
全体受注残高は1,466億63百万円で前年同期比9.1%増、特にサービス商品群の受注残が1,010億86百万円あります。これは、単発の機器納入よりも、継続的なサービス提供の比重が高まっていることを示唆します。IT導入企業にとっては、納品して終わりではなく、運用や保守まで含めて任せる需要が強いことの裏返しです。

ポイント3:公共分野の基盤刷新
パブリック事業の受注残高が大きく、自治体向け大型DX案件を複数獲得していることから、公共のICT基盤刷新がひとつの成長源になっています。

6. ITトレンド編集部の考察

ネットワンシステムズ株式会社は、表面的にはネットワークや機器を扱う会社に見えますが、実態としては“企業・自治体の業務基盤を支えるインフラサービス企業”です。機器商品群とサービス商品群を両方持ち、しかも受注残高ではサービスが厚いことから、売り切り型ではなく、継続的な運用支援まで含めた関係性を築きやすい構造を持っています。

向いているのは、ネットワーク増強、セキュリティ見直し、マルチクラウド活用、ゼロトラストやSASE導入、Wi-Fi基盤整備といったテーマを持つ企業・自治体です。特に、金融、製造、通信、自治体といった、基盤停止の影響が大きい業種との相性が高いと考えられます。

IT投資余地という意味でも、ネットワンシステムズ株式会社は基盤刷新需要のど真ん中にいます。AIや新規サービスの派手な記載はありませんが、実務上はネットワークとセキュリティが整わなければ、上位のDXやAI活用も進みません。つまり、より目立つAIやアプリの前提条件を整える役割を担っている点に価値があります。

一方で、訴訟リスクが継続しており、損害賠償請求等に流動負債5,553百万円を充当する可能性がある旨の記載があります。この点は、取引先・比較検討先として企業の継続的な安定性を見るうえで留意点になります。

7. まとめ

ネットワンシステムズ株式会社を一言で表すなら、ネットワーク・クラウド・セキュリティを軸に企業と自治体のICT基盤を支えるインフラサービス企業です。

2025年3月期第3四半期累計は、売上高1,553億96百万円で前年同期比8.7%増、営業利益143億14百万円で18.3%増と、堅調な増収増益でした。背景には、ICT基盤高度化需要を取り込んだ受注高1,566億71百万円、受注残高1,466億63百万円の厚みがあります。特に、自治体向けマルチクラウド・ゼロトラスト・SASE、大型Wi-Fi案件など、基盤刷新案件が目立ちます。

IT・業務観点で見ると、この会社の価値は、業務アプリそのものではなく、その前提となる接続・運用・セキュリティ環境をどう構築し、どう継続運営するかにあります。比較検討では、機器単価や構築力だけでなく、サービス受注残の厚み、公共・通信・エンタープライズそれぞれでの基盤運用実績をどう見るかが重要です。

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