Retty株式会社(証券コード:7356)は、実名口コミのグルメプラットフォーム「Retty」を運営する企業です。飲食店向けの集客支援SaaS(店舗会員サービス)と、グルメメディアとしての広告・コンテンツ事業(統合ソリューション)を柱として、飲食店と消費者をつなぐプラットフォームを提供しています。
2026年9月期第2四半期(中間期、2025年10月〜2026年3月)の業績は、売上高7億94百万円(前年同期比-6.2%)と減収となった一方、費用削減により営業利益は20百万円(同+9.2%)と増益を確保しました。経常利益は15百万円(同+5.8%)、中間純利益は7百万円(同-47.2%)となっています。
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【Retty株式会社(証券コード:7356)徹底解説】実名グルメプラットフォームから飲食店SaaSへ、事業転換を進める飲食特化テック企業の現在地
1. 上半期の市場動向
2026年9月期上半期(2025年10月〜2026年3月)の国内経済は緩やかな回復基調を維持しています。飲食業界においても、外食支出の回復とインバウンド需要の拡大が続いており、市場環境は改善方向で推移しました。
一方で、飲食店の経営環境は引き続き厳しい側面があります。原材料価格の上昇、人件費の高騰、ヒューマンリソース(人手)不足が重なり、多くの飲食店が利益確保に苦しんでいます。このような経営環境の厳しさは、飲食店が固定費を慎重に判断する傾向につながっており、集客支援SaaSの契約継続・新規獲得にも影響を与えています。
グルメ情報の取得においては、Googleマップの飲食店口コミ機能の利用が一般化しており、専門グルメメディアとの競合が続いています。こうした環境の中でRettyは、実名口コミの信頼性という独自性を軸に、飲食店向けSaaSへの事業転換を加速させています。
2. 業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
Retty株式会社 2026年9月期 中間期(第2四半期)決算短信(PDF)
2026年9月期第2四半期(中間期)の売上高は7億94百万円(前年同期比-6.2%)と減収となりました。セグメント別では、飲食店支援サービスが6億32百万円、統合ソリューション(旧称:広告コンテンツ)が1億62百万円となっています。
飲食店支援サービスの売上減少は、お店会員数の減少が主な要因です。一部残存していた解約率の高い特定代理店経由での店舗整理がほぼ完了したものの、代理店チャネルでの新規参画店舗数の減少やARPU(月額固定支払いの単価)の上昇抑制が続いています。なお、ARPU改善の阻害要因として、廉価な法人プランの一時的増加と、満期更新時の一部有料会員による価格ダウングレードが挙げられています。
費用面では、売上原価は2億45百万円(前年同期比-10.0%減)、販売費及び一般管理費は5億28百万円(同-4.8%減)と圧縮されており、コスト削減努力により営業利益20百万円(前年同期比+9.2%)と増益を達成しました。経常利益は15百万円(同+5.8%)、中間純利益は7百万円(同-47.2%)となりました。財務面では、将来収益に貢献するシステム投資として開発費用36百万円をソフトウェア資産として計上しています。
3. 直近決算の重要ポイント
今中間期の最大のポイントは、売上が-6.2%と減収になりながらも、コスト削減により営業利益を+9.2%増益にできたことです。費用コントロールの成果が顕著で、売上原価と販管費の双方を抑制することに成功しています。減収増益という構造は、コスト体質の改善が進んでいることを示しています。
店舗会員数については、中間期末時点で6,892件(うち固定5,045件)となり、前期末の7,435件(同5,045件)から固定+従量の合計が減少しています。解約率の高い代理店経由店舗の整理がほぼ完了したことは、ベース品質の改善を示しており、今後の新規獲得と残存会員のARPU向上が業績回復の鍵となります。
通期業績予想(売上高16億03百万円、営業利益47百万円、経常利益34百万円、純利益1億24百万円)に対して、中間期の進捗は売上49.5%(目安50%にほぼ達成)、営業利益は43.0%と若干下回っています。ただし通期純利益の予想に対し中間期純利益は7百万円と低い進捗率であり、下期の利益構造の改善が重要な課題です。
4. 中間期が示す事業の実力
Rettyの事業は、飲食店向けの集客支援SaaS(固定・従量課金の店舗会員モデル)と、グルメメディアとしての広告・コンテンツ事業(統合ソリューション)の二本柱で構成されています。実名制のグルメ口コミという独自性を持つプラットフォームを基盤に、飲食店に継続的に価値を提供するSaaSビジネスへのシフトを進めています。
中間期が示す事業の実力としては、費用削減による損益管理の巧みさと、会員数減少という成長面の課題が同時に浮かび上がっています。解約率の高い代理店経由会員の整理は中長期的なベース品質向上につながりますが、短期的には売上を圧迫する効果があります。今後の成長のためには、自社チャネルでの新規獲得強化と、ARPUを引き上げる高付加価値プランへの移行促進が必要です。
通期予想では、売上高16億03百万円(前期比-1.7%)、営業利益47百万円(同+141.5%増)、純利益1億24百万円(同+956.7%増)が掲げられています。通期純利益の大幅増加予想は、下期以降に特別利益または構造改善効果が発現することを見込んでいると考えられますが、中間期時点の実績との乖離は大きく、予想達成には慎重な見方も必要です。
5. 業界の注目ポイント
インバウンド需要が飲食業界の回復を後押し
訪日外国人数の回復とともに、インバウンド消費が飲食業界全体の売上を押し上げています。外国人観光客が飲食店を探す際の情報源として、口コミプラットフォームの利用は引き続き高く、グルメメディアとしての価値は維持されています。Rettyが持つ実名口コミの信頼性は、観光客にとっても有益な情報源となり得ます。
この観点から、インバウンド対応コンテンツの充実や多言語対応の強化は、Rettyのメディアとしての価値向上に直結する施策になり得ます。統合ソリューション(広告・コンテンツ)事業の収益化においても、インバウンド関連の需要取り込みが成長機会となる可能性があります。
飲食店SaaSへの転換と会員数回復が課題
Rettyは「グルメ口コミメディア」から「飲食店経営支援SaaS」への転換を戦略の軸としています。SaaS型の店舗会員モデルは、安定したストック収益を生むビジネスモデルとして魅力的ですが、飲食店の経営環境が厳しい現状では、月額費用を払い続けることへの飲食店側の慎重姿勢も続いています。
店舗会員数の回復と新規獲得の再加速が、SaaS型収益モデルの確立において最優先課題です。特に、廉価プランから高単価プランへのアップセルと、自社チャネルを通じた新規会員の獲得効率向上が重要な戦略軸となっています。
グルメメディア市場の競争激化と差別化戦略
グルメ情報市場では、Googleマップ・食べログ・ぐるなびとの競合が続いています。特にGoogleマップの無料口コミ機能の普及は、専門グルメメディアにとって継続的なプレッシャーとなっています。こうした環境での差別化のためには、実名口コミという信頼性の高いコンテンツ資産を活かし、飲食店・消費者双方にとって「Rettyならではの価値」を提供し続けることが不可欠です。
統合ソリューションとして広告コンテンツを再定義し、飲食店の集客に直結する成果型サービスへの転換を進めることで、競合との差別化と飲食店側の費用対効果への納得感を高める方向性が求められます。
6. ITトレンド編集部の考察
Rettyの今中間期は、「費用削減で利益は出たが、成長は鈍化」という厳しい現実を映し出しています。売上-6.2%、会員数の減少が続く中で営業利益+9.2%という数字は、コスト削減の効果であって、成長の加速ではありません。この点を正確に評価することが重要です。
通期純利益予想の+956.7%増という大幅な改善予想は、下期に何らかの収益改善や特別利益の発生を織り込んでいる可能性が高く、中間期だけの実績を見ると予想とのギャップは大きいと言えます。下期に会員数の回復と統合ソリューションの成長が実現するかが、通期予想達成のためのリトマス試験紙となります。
中長期的に見れば、飲食店SaaSへの転換という方向性は合理的ですが、実現には時間を要します。現時点ではビジネスモデルの転換コストと収益化の間のタイムラグが業績を圧迫している段階と言えます。次期(下半期)決算での進捗確認が、同社の評価において非常に重要なポイントとなります。
7. まとめ
- 2026年9月期第2四半期(中間期):売上高7億94百万円(前年同期比-6.2%)、営業利益20百万円(同+9.2%)、経常利益15百万円(同+5.8%)、中間純利益7百万円(同-47.2%)
- 費用削減(原価・販管費ともに前年比減)により減収でも営業増益を確保
- 店舗会員数は7,435件→6,892件に減少(解約率の高い代理店経由店舗の整理が完了)
- 通期業績予想:売上高16億03百万円(-1.7%)、営業利益47百万円(+141.5%)、純利益1億24百万円(+956.7%)
- 下期の会員数回復・ARPU改善・統合ソリューション成長が通期予想達成の焦点
- グルメメディアから飲食店SaaSへの事業転換を継続推進中、中長期的な収益基盤の確立が課題

