インバースネット山口事業所はオーダーメイドPC「FRONTIER」の生産管理にTPiCSを導入、旧システム時代との比較で8割以上のコスト低減を実現した。機能を自由に選択できるTPiCSの柔軟性を活かし、短納期のモノづくりに必要な機能だけを残すシンプルな構成にしたのが特徴だ。「普通の製造業の生産管理システムとは異なるかもしれませんが、当社にとって理想に近いシステムになりました」と山口事業所所長の小林光二氏は話す。
同社は原価管理機能をはじめ、多くの製造業で当たり前のように使われているMRPによる部品や部材の購買機能さえもシステム対象から除外。同社の業務が月や週ごとに受注変動が激しく、機械での購買計画立案が困難なためである。そこで、システムの入れ替えを機にMRPは一切使わず、製番のみで行くことにした。製番であれば、回しても1回につきMRPの4分の1の10分で済み、待ち時間が少なくなることも考慮した判断だった。
マスター登録作業も、従来の複雑で時間を要する手続きを改め、簡素化。「以前はマスター約500件ほどでしたが、担当者は苦しそうに登録作業をしていました。ところが現在は1000件に増加したにも関わらず、残業は減少しました。それを見ても登録作業の簡素化効果は絶大だったと思います」と小林氏は語る。
また、小林氏や寶田氏をはじめ同社には、ITに精通した社員が多く、TPiCSの機能を短期間のうちに修得できたことも見逃せない。製番展開のタイミングで製品を特定するシリアルナンバーの採番を行うシステムをはじめ、TPiCSと連携するシステムも、何本かは社内で開発した。
「本社から『期内で本格稼働まで漕ぎつける』という指示を受けたときは、どうなることかと思いましたが、システム担当の寶田をはじめ、皆の頑張りもあって、期末からは余裕のある12月本稼働を達成することができました」(小林氏)。
同社は「TPiCSの導入以来、経費的には5分の1以下になっていることは間違いない」という。今後も受注即日出荷を目標に、さらなる改善に努める考えだ。