桜井製作所部品部の生産管理システムが力強く動き始めた。TPiCS-Xバージョン4.0のもと、従来、不透明だった仕掛りを含むすべての在庫が見える化され、在庫量の適正化を実現。所要量計算のシミュレーションにも着手し、将来の生産計画の自動平準化や原価計算へ活用まで視野に入れている。「現状は、まだ土台ができた程度ですが、手ごたえは十分感じています。今後も生産管理のあるべき姿を目指したい」と櫻井成二社長は意欲的だ。
2015年10月にプロジェクトをキックオフ。最初に取り組んだのは、素材中心の在庫の考え方を見直し、仕掛り在庫を含むすべての在庫を把握できるようにすることであった。本格稼働直前の2016年7月には、146項目に及ぶチェックリストによるTPiCS4.0の検証を試みた。「従来のやり方と、TPiCS4.0を使ったときの計算結果の違いや整合性を調べたもので、クリアできたときはほっとしました」と、作業に当たった総務部情報システム室の織田貢明氏は話す。
しかし、生産管理システムはTPiCSに一本化すると決めたものの、販売や経理との連携などを考えるとオリジナルシステムを急には止められない。そこで計画を見直し、暫くの間は併用しながら、徐々にTPiCSに移行していった。
TPiCSが稼働すると、効果はすぐに現れた。従来、仕掛り在庫は作業者個人が管理していたので、どの素材がどの程度使われているのかが不明確となっており、それが原因で欠品が生じることが度々あったが、その見えなかった在庫が正確に把握できるようになった。
とはいえ、「生産管理システムの現状は土台ができた程度で、すべてはこれからです」とメンバーは口を揃える。現状での内作の生産計画は、各現場に設置したホワイトボードに手書きしたものを、生産管理課の従業員が巡回してタブレット端末に実績を入力し、それをTPiCSに転送するという管理方法であり、現場でのリアルタイムの実績入力や、計画の自動平準化までは行っていない。これらを踏まえたうえで所要量計算のシミュレーションを開始し、原価計算への適用も検討中である。