住友電工グループの中国拠点である住友電工電子製品(深圳)有限公司(以下、SEPG)は、FPC(プリント回路基板)や電子ワイヤー製品などのエレクトロニクス製品を生産する企業だ。電子ワイヤー事業では、極細同軸ケーブルと各種部品を組み合わせ、エレクトロニクス機器内外の最適な配線材とする「CBA(ケーブルアセンブリ)」、平角導体を絶縁フィルムでラミネートした配線材の「FFC(フレキシブルフラットケーブル)」などの高付加価値製品を生産している。
創業は1994年、SGEWという社名で深セン市内に設立。2010年4月に住友電工香港電子線製品有限公司(SEPH)の100%出資会社として現在の場所に工場を移転した。
大きな転機となったのはやはりこの新会社発足だ。それまでは日本で調達の材料を加工するのみだったのに対し、材料を自達した上で、加工から組立までを行う自走型の会社へと変貌したからである。それに伴い、業務の仕組み変更が必要となった。従来は住友電工グループが提供する基幹システムの中の必要な部分を使うだけで、同社側でデシジョンする行為はほぼなかったが、自走型工場になったことで、生産管理を強化する必要性が生まれたのだ。
「日本で生産管理の専門家を交えて業務改善方法の検討を行ったところ、自走型工場に見合う総合的管理を実施することがベストであるという結論に至りました」と、当時の事情をよく知る、山崎信之氏は語る。基幹システムは現在でも使用中だが、MRPを基軸とするシステムではなかった。住友電工グループは、既存基幹システムは製番管理を主軸として構築していたが、新会社ではあくまでもプッシュ型のシステムにこだわったという。こうして同社独自の生産管理システムの導入へと動き始めたのである。
左から羽田野氏、王氏、鄧氏、杉山氏、山崎氏