プッシュ通知とは
スマートフォンなどのデバイスへ、アプリから直接送信できるメッセージを、プッシュ通知と呼びます。プッシュ通知は、ユーザーが開くか削除するまで、ロック画面上に表示されています。アプリをインストールしたときに、ユーザーがプッシュ通知を有効と設定すれば、メッセージを送信可能です。
日本のスマートフォン保有率は69.3%と高く、利用時間の約9割はアプリを使用しています。ユーザーとのつながりを強化したい企業にとって、アプリはますます重要です。アプリが使用されれば、ブランディングの向上や売上のアップが期待できます。プッシュ通知は、ワンタップでアプリが立ち上がるため、ユーザーをアプリへ誘導して使用率を上げる有効な手段です。
参考:第2部 基本データと政策動向|総務省
参考:若年層を中心にアプリの利用が拡大~ニールセン スマートフォンのアプリ利用状況を発表~| ニールセン デジタル株式会社
iOSとAndroidではプッシュ通知の仕組みが異なる
プッシュ通知の仕組みが、iOSとAndroidで異なります。
iOSは、トークンというデバイスを識別するIDが、Appleサーバーへ送信されます。サーバーのアプリがトークンを読み取りデバイスを識別し、プッシュ通知を送信する仕組みです。
Androidは、GCMという仕組みを利用します。GCMは、ユーザーがプッシュ通知を有効にすると、デバイスの情報を登録しIDを発行します。その後、サードパーティアプリケーションサーバーを通じ、メッセージとIDがGCMに送られ、デバイスへプッシュ通知する仕組みです。
プッシュ通知の主な基本機能
効果的なプッシュ通知を行うためには、ユーザーの特徴にあわせてタイミングよく送信し、結果のテストが必要です。そのための、主な基本機能4つを紹介します。
パーソナライズ
ユーザーの性別・誕生日・地域など、ユーザーの属性データにあわせて、内容を絞り込みプッシュ通知を送信するのがパーソナライズ機能です。属性データの趣味嗜好にあう新着情報や、お気に入り商品の値下げをプッシュ通知するなど、さまざまな活用ができます。
スケジューリング
スケジューリング機能を用いると、配信する日時を事前に設定してプッシュ通知が可能です。条件を設定して内容を決めておけば、定期的なプッシュ通知を自動化できます。
例えば、毎日定時の配信が望まれる、株価情報や天気予報のプッシュ通知設定が可能です。週末に送って効果が期待できる、バーゲンセールや旅行の情報など、さまざまな条件と内容に対応します。
セグメンテーション
ユーザーの属性情報にもとづき、分類わけしてプッシュ通知するのが、セグメンテーション機能です。分類するために、性別・住所・年齢・趣味嗜好やユーザーIDなどの個人情報を用います。
さらに、特定のブラウザを訪問したユーザーの行動履歴も参考にして分類します。分類されたユーザー別に、異なる内容のプッシュ通知が可能です。
A/Bテスト
プッシュ通知の効果を比較する、A/Bテストが可能です。異なる2つのプッシュ通知を行い、ユーザーへ与えた効果を比較します。プッシュ通知の内容・配信時間・属性など、調べたい項目にあわせてA/Bテストができます。
プッシュ通知のメリット
プッシュ通知は、ユーザーの行動を促して集客や販促に効果を発揮します。具体例をあげて、4つのメリットを解説します。
開封率を大幅に改善できる
プッシュ通知は、開封率が高い傾向にあります。メルマガの開封率が約10~20%といわれているのに対し、プッシュ通知の開封率は約30%以上で、高いときには80%も期待できます。
開封率が高い理由は、プッシュ通知がリアルタイムな情報を発信し、ユーザーはワンタップですぐに内容が確認できるためです。メルマガの効果が下がっている場合には、プッシュ通知は有効な手段といえます。
リピート率の増加につながる
アプリを起動していなくてもプッシュ通知を送信できるため、ユーザーがアプリを起動するリピート率の増加につながります。数多くのアプリを利用しているユーザーは、ダウンロードしたことさえ忘れることがあります。
アプリの自動更新情報・お知らせ・新機能などの情報をプッシュ通知すれば、ユーザーはアプリを思い出し、再度アプリを立ち上げる可能性が高くなるでしょう。さらに、キャンペーンやイベントの情報をタイミングよく送信し、ユーザーを呼び込む目的にも使用できます。
顧客ロイヤリティの向上が期待できる
ユーザーとの接触回数を増やすプッシュ通知は、企業のブランドや商品に対するロイヤリティ、すなわち信頼や愛着を高める効果があります。
DMやメルマガでも、ロイヤリティを高められます。しかし、DMはユーザーが気付くまでに時間がかかり、メルマガは多くのメールに埋もれて開封率が高くありません。
プッシュ通知は、DMやメルマガの課題を解決できる手段であり、ユーザーの行動を促すために活用できます。
即効性のある集客・販促が可能になる
アプリへの誘導のほかに、プッシュ通知は自社の情報発信のために活用できます。ユーザーの趣味嗜好やWebサイトでの購入履歴にもとづき、興味を引く商品のキャンペーン情報などを送信すれば、即効性のある集客と販促が可能です。
さらに、プッシュ通知はWebページへの誘導率が高く、メールの10倍以上の効果があるといわれています。Webによる拡販にも役立ちます。
プッシュ通知のデメリット
プッシュ通知の使い方を誤ると、デメリットが生じます。2つのデメリットを参考にし、正しい使い方を学びましょう。
プッシュ通知が開封されず効果を得られない可能性がある
ユーザーが興味を持ちそうな内容のプッシュ通知を送信しても、タイミングが悪いと開封されず見てもらえません。ユーザーがスマートフォンをよく利用する時間帯を把握し、タイムリーにプッシュ通知を送る必要があります。
セールス目的のプッシュ通知を繰り返すと、ユーザーは「またか」といや気がさし、開封されず効果が得られない可能性があります。プッシュ通知の内容と送信するタイミングが、大切なポイントです。
アプリのアンインストールにつながる可能性がある
運用の仕方によっては、ユーザーはプッシュ通知に嫌悪感を抱き、アプリのアンインストールにつながる可能性があります。例えば、同じ内容を繰り返し送信したり、配信回数が多すぎたりすると、不快な思いを与えてしまいます。
プッシュ通知の運用に失敗すると、ユーザーにアプリのプッシュ通知をオフにされ、二度とアプリを開いてくれないかもしれません。アプリ不要と判断し、アンインストールされることも考えられます。ユーザーが、プッシュ通知を開封したくなるような運用を心がけてください。
プッシュ通知の2つの種類
スマートフォンなど、デバイスの外部と内部から送信する2種類のプッシュ通知があります。仕組みと用途を説明します。
リモートプッシュ通知
インターネットに接続しているスマートフォンなどのデバイスに、外部サーバを経由して送れるメッセージがリモートプッシュ通知です。
メールやチャットの配信情報など、外部のシステムからリアルタイムに情報を送れます。また、ショッピングサイトからは、キャンペーンやイベント情報を、ユーザーの嗜好にあわせてタイミングよく送ることもできます。
ローカルプッシュ通知
デバイス内のアプリに設定されたルールに従って、メッセージを送るのがローカルプッシュ通知です。デバイスの内部から送るため、インターネットに接続されていてもいなくても通知できます。
アラームアプリやタスク管理アプリなどで用いられ、ユーザーが自由に行った設定どおりに、いつでもどこでも通知します。
プッシュ通知の4つの配信方法
プッシュ通知は、ユーザーの属性や環境にあわせて配信方法を変えると効果的です。4つの配信方法を解説します。
セグメントプッシュ
ユーザーを、性別・誕生日・エリアなどの属性情報にもとづき、分類して送るメッセージがセグメントプッシュです。そのほかに、デバイスの使用頻度・OS・機種・キャリア・アプリのバージョンなどで分類できるアプリがあります。
セグメントプッシュは、ユーザーを絞り込んでメッセージを送り、内容や分類ごとに出し分けられます。
ジオプッシュ
ジオプッシュは、指定した場所の近くに来たユーザーへメッセージを送ります。プッシュ通知と位置情報の機能を組みあわせて、ユーザーが店舗など指定の場所に近づいたら、プッシュ通知を送ります。セールの情報やクーポンを送れば、来店を促す効果があります。
ビーコン連動プッシュ
ジオプッシュと似ていますが、ビーコン連動プッシュはより指定場所に近いユーザーへ、メッセージを送ります。ビーコンは、Bluetoothを活用した小型の情報発信機で、壁など好きな場所に固定できるため、店舗などに設置されています。
スマートフォンなどのデバイスにもBluetoothは搭載されているため、スマートフォンがビーコンと接続した情報をキャッチすると、プッシュ通知を送ります。
スマートフォンのBluetoothがオフ設定になっていたり、ビーコン情報を受け取れるアプリがなかったりすると、ビーコン連動プッシュは送れません。
オートプッシュ
オートプッシュは、あらかじめ設定した条件に合致したらメッセージを送ります。時間や曜日、アプリの初回起動時にオートプッシュできます。また、最終起動からしばらくアプリを起動していないユーザーへ、再起動を促す際に有効です。
プッシュ通知は配信内容とタイミングが重要!
プッシュ通知を活用すると、スマートフォンなどへ直接メッセージが送れ、スマートフォンが使われていなくてもロック画面に表示されます。
プッシュ通知はユーザーの行動を促し、集客や販促のメリットがあります。その反面、使い方を間違えるとユーザーは嫌悪感を抱き、読まれないばかりかアプリを削除されかねません。
プッシュ通知は、配信する内容とタイミングが大切です。プッシュ通知を活用してビジネスの拡大に役立ててください。