アンケートの種類
アンケートには、大きく分けて定量調査と定性調査の2種類があります。ターゲットの生の声を拾い上げ、求めるデータを得るためには、それぞれの違いを知ることが大切です。より有効な調査手法を選択できるでしょう。
定量調査とは、多数の対象者から数値化できる回答を収集する手法です。得られた数値を集計し分析することで、全体の傾向を把握できます。事前に選択肢を設定しておき、回答者がそれぞれ、自分の考えにもっとも近いものを選択するスタイルが一般的です。回答をどのような方法で集めるのかによって、以下のような種類に細分化されます。
一方で定性調査とは、調査対象者の意見や感想など、数値では表せない情報を調査するための手法です。個人的な考えや心理的な動向について、より詳細な情報を把握しやすいでしょう。なお、定性調査には以下の2つの方法があります。
- ●デプスインタビュー:対象者とインタビュアーが1対1で実施する方法。
- ●グループインタビュー:複数人を集めて座談会形式で行う方法。
アンケート調査の企画・準備の流れ
アンケートを作る際に、いきなり設問を設定するのは失敗のもとです。初期の段階で企画を練り、準備を整えましょう。事前に検討しておくべきポイントは、以下の4つです。
- ●アンケートの目的
- ●対象者
- ●調査する内容
- ●アンケート手法や期間
なかでも、特に重要度が高いのは目的です。「何のために、どのようなデータが必要なのか」という視点が、アンケート企画全体の要となります。
目的さえ把握していれば、「ターゲットは誰か」「どういった質問が適当か」も自ずとみえてきます。さらにターゲット層や質問内容が決まれば、より効率よく回答を得るための「手法」や「期間」も定めやすいでしょう。
アンケートの作り方
アンケートの概要がはっきりしたら、いよいよ作成に乗り出しましょう。作り方の手順は以下のとおりです。ぜひ参考にしてみてください。
1.質問内容を洗い出す
まずはアンケートで聞きたい内容をすべて洗い出しましょう。例えば新製品を生み出すためのアンケートなら、以下のような内容が挙げられます。思いつくものをあるだけ出してみてください。
- ●現在使用している商品の名前
- ●商品に対する満足度
- ●具体的な不満の内容
- ●新たに希望する機能
- ●購入を検討してもよい価格帯
その後、回答者にとって負担が少なくなるよう、質問数を絞り込みます。同じような内容は削除し、アンケートの目的を意識しながら優先度を判断しましょう。回答者の途中離脱を防ぐためには、質問数を最小限に抑えることが大切です。
2.アンケートの流れを決定する
次に、アンケートの流れを設計します。大分類・中分類を意識しながら、まずは1の手順で出した質問を分けましょう。同じ分類の質問は、まとめておくと回答者にとって理解しやすいアンケートになります。重複する質問も発見しやすくなるでしょう。
分類分けが終わったら、調査目的に沿って、どのような順番で質問すると効果的なのか検討してみてください。特定の事柄に対していきなり詳細な意見を求めるよりも、まずは事実確認するのがおすすめです。ある程度絞り込んだうえで聞いたほうが、回答の精度も向上します。
3.質問ごとに回答方法を決定する
続いて、アンケートの設問ごとに、適当な回答方式を決定します。主な回答方式は以下のとおりです。
- ●単一回答(SA/Single Answer)
- 複数の選択肢から1つの回答を選ぶ方式。ラジオボタンが用いられる。
- ●複数回答(MA/Multiple Answer)
- 複数の選択肢から1つ以上の回答を選ぶ方式。チェックボックスが用いられる。
- ●順位回答
- 設問に沿って選択肢を順位付けする方式。選択肢すべてに順位をつける場合と、上位のみ順位づけする場合がある。
- ●リッカートスケール
- 顧客の満足度や感情に対して、いくつかの段階から回答を選ぶ方式。細やかな感情を把握しやすいのが特徴。
- ●マトリックス
- いくつもの質問と回答の選択肢を表形式で表した方式。細かな設問を設計でき、詳細分析に適している。
- ●自由記述
- 選択肢を用意せず、自由な回答を促す方式。前問での回答内容の理由など、文章で回答を得たい場合に使用される。
4.質問の文言を決定する
最後に、各質問の文章を決定します。以下のポイントを意識してみてください。
- ●誰でも理解しやすいよう、できるだけ簡単な言葉を用いる
- ●1~2文ほどで簡潔にまとめる
- ●誤解を招くいい回しは避ける
- ●回答方式との間に矛盾を発生させない
表現を間違えると、回答者が混乱し正確なデータを得られない恐れもあります。十分に注意して、質問文を作成してください。
5.アンケート全体の体裁を整える
最後に、アンケート全体の体裁を整えましょう。例えば、アンケートをスタートする前に導入文で目的や用途を説明すると、安心感を与えられます。回答期限や回答時間の目安を提示すると、途中離脱を防ぎやすくなるでしょう。
またプライバシーポリシーの表示も、忘れてはならないポイントです。個人情報取り扱い方針を事前に明らかにしておくと、信頼性が向上します。
アンケート作成時の注意点
より効果的なアンケート調査を実施するためには、作成時にいくつか注意すべきポイントがあります。3つの注意点を紹介するので、参考にしてみてください。
質問数を増やしすぎない
アンケート調査では、ついあれこれと聞きたくなって、設問数を増やしがちです。しかし、回答者の負担が大きくなればなるほど、途中離脱の可能性は高くなります。途中で飽きて投げやりになってしまえば、精度が下がってしまうでしょう。
種類や目的によっても適正量は異なりますが、可能であれば10項目程度にまとめるのがおすすめです。5分以内に回答完了できるくらいのボリュームであれば、回答者の負担も最小限で済みます。
回答を誘導する表現は避ける
質問文を作成する際に、注意しなければならないのが「表現」についてです。アンケートの目的を意識するあまり、特定の回答に誘導するような表現になるケースは、決して少なくありません。
例えば、「○○はスキルアップに欠かせませんが、どの程度興味がありますか?」という質問があるとします。質問文からツールの重要性を認識し、「興味がある」と答える人が増加する可能性があります。また、「△△を使ってみたいと思いませんか?」という質問は、「はい」の回答へ誘導する意図がうかがえるため避けたほうがよいです。
誘導によって得られたデータは、正確なものではありません。調査を行う意味そのものが失われるため、十分に注意してください。
あいまいな選択肢を多用しない
選択式のアンケートで特徴的なのが、「どちらでもない」の回答です。「はい」「いいえ」以外の選択肢によって、より詳細なデータを把握できる可能性があります。一方で、あいまいな選択肢ばかりに回答が集中すると、アンケートの意味がありません。
あえて選択肢を絞ると、本音が聞き出しやすくなるでしょう。「どちらでもない」を置くメリットはあるものの、多用は禁物です。無意識に設置しすぎないようにしてください。
回答率アップのためのコツ
アンケートを適切に作成しても、回答率が上がらないことはあるでしょう。このような場合には、作り方とともに以下の2つのポイントを意識してみてください。
インセンティブをつける
アンケート回答者に対して「おまけ」を用意すると、回答率はアップします。途中離脱も予防しやすくなるでしょう。具体的には、以下のようなインセンティブを用意するのがおすすめです。
回答者に対しておまけを用意すると、感謝の気持ちを伝えやすくなります。一方で、労力に対して多すぎるインセンティブを用意するのは避けてください。おまけ目的で回答する人が増え、本来の趣旨から外れてしまう恐れがあります。アンケートにかかった労力とのバランスが重要です。
個人情報の入力は最小限にする
アンケートには、個人情報の入力が必須です。しかし、多くの情報を求められると回答者はおよび腰に。不安感を募らせたり、面倒な気持ちが強くなったりして途中離脱の可能性が高くなります。入力を求める個人情報は、できるだけ少なくするのがおすすめです。またアンケートの冒頭で「個人が特定される恐れはない」旨を記載すると、安心して回答しやすくなります。
アンケートツールを導入するメリットとは
アンケートツールとは、アンケートの作成や回収、結果の分析などが可能な便利ツールです。ツール導入で得られる主なメリットは、以下のとおりです。
- ●アンケート調査にまつわる業務を効率化できる
- ●調査対象の絞り込みが容易にできる
- ●分析データを活用しやすい
アンケート調査の質を向上させるためには、事前のリサーチや準備が必須です。専用ツールを利用すれば、業務を効率化できるでしょう。調査実施回数が多い企業ほど、メリットを実感しやすくなります。
またアンケートで得られたデータを、より高度に分析できるのもツールの魅力です。「アンケート調査は定期的に行っているものの、データを活用しきれていない」という場合も、ぜひ導入検討してみてください。
まとめ
より有益なアンケート調査を実施するためには、作り方の工夫が必須です。自社にあったアンケートツールを導入すれば、作業が楽になるでしょう。
なお、アンケートツールはそれぞれに特徴が異なります。ツール導入を検討する際は、資料請求を活用して、製品の特徴を把握することからはじめてみてください。