rakumo株式会社(証券コード:4060)は、「仕事をラクに。オモシロく。」をビジョンに掲げるクラウドSaaS企業です。Google WorkspaceやMicrosoft 365と連携する企業向けグループウェア「rakumo」を主力に、人材管理・採用支援の「aloop」、社内SNS型日報アプリ「gamba!」、IR動画配信システム「SmartVision IR」などを展開しています。ITビジネスソリューション事業の単一セグメントで運営されています。
2026年12月期 中間期(2026年1月〜6月)の連結業績は、売上高10億96百万円(前年同期比+36.5%)、営業利益2億61百万円(同+16.3%)となりました。経常利益は2億53百万円(同+13.1%)、親会社株主に帰属する中間純利益は1億43百万円(同-1.9%)です。増収を大きく伸ばす一方で、最終損益は前年同期をわずかに下回りました。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【rakumo株式会社(証券コード:4060)徹底解説】2026年12月期第1四半期──売上高5億35百万円・前年同期比35.4%増の高成長スタート
1. 上半期の市場動向と後半への示唆
同社の説明によれば、当中間連結会計期間の国内経済は緩やかに回復しました。個人消費や輸出、設備投資の一部に持ち直しの動きが見られ、企業収益と雇用情勢にも改善の動きがあったとしています。先行きについては、堅調な企業収益や省力化投資への対応を背景に持ち直し傾向が続くことが期待される一方、消費者マインドの動向や金融資本市場の変動への注意が必要としています。
同社が事業展開するソフトウェア業界では、企業の生産性向上や業務効率化、テレワーク、DXに関連したシステムへの投資需要の拡大が引き続き見込まれています。政府も「新しい働き方」の定着に向けて、テレワークの環境整備や活用、デジタル人材の育成、DXの加速を進めています。省力化投資という文脈は、グループウェアや業務アプリの追加導入を後押ししやすい環境です。
後半に向けては、この需要をどのチャネルで取り込むかが焦点になります。同社は業界セグメント特化型のマーケティングを進めており、自治体向けの施策から大手自治体の複数の内示獲得につながったとしています。商談数は昨年度対比で既に80%の進捗と説明されており、下期の売上高増加に向けた仕込みは進んでいると見られます。
2. 業績推移
詳しい数値は決算短信本文でも確認できます。
rakumo株式会社 2026年12月期 中間期(第2四半期)決算短信(PDF)
中間期の売上高は10億96百万円となり、前年同期の8億02百万円から+36.5%の増収となりました。第1四半期の売上高5億35百万円に対し、第2四半期単独では5億61百万円と、四半期ベースでも積み上がりが続いています。前期通期の売上高18億30百万円と比べても、上半期で6割相当に達する水準です。
サービス別に見ると、rakumoサービスの売上高は7億99百万円(前年同期比+15.7%)でした。その他サービスは2億97百万円(同+165.6%)と大幅に伸びており、前連結会計年度の下期に子会社2社を取得した影響が主因と説明されています。増収の内訳としては、既存の主力が二桁成長を維持しつつ、M&Aによる上乗せが加わった構図です。
営業利益は2億61百万円(前年同期比+16.3%)、経常利益は2億53百万円(同+13.1%)となりました。営業利益率は23.8%と高い水準を保っています。ただし増収率+36.5%に対して増益率が+16.3%にとどまっており、利益の伸びは売上に追いついていません。のれん及び顧客関連資産の償却費が89百万円計上されていることが、その一因と見られます。
親会社株主に帰属する中間純利益は1億43百万円(前年同期比-1.9%)と、わずかながら減益となりました。1株当たり中間純利益は24.58円です。営業段階では増益を確保しながら最終段階で減益に転じており、償却負担と金融費用が最終利益を圧迫していると考えられます。
財政状態については、中間連結会計期間末の資産合計が45億28百万円となり、前連結会計年度末から3億57百万円増加しました。現金及び預金が4億34百万円増加した一方、のれん及び顧客関連資産は89百万円減少しています。負債合計は25億36百万円で、契約負債が2億75百万円増加しました。純資産合計は19億91百万円、自己資本比率は43.5%(前連結会計年度末は44.8%)です。
キャッシュ・フローは良好です。営業活動によるキャッシュ・フローは6億07百万円の獲得(前年同期は3億61百万円の獲得)となりました。投資活動では70百万円、財務活動では1億07百万円を使用しており、現金及び現金同等物は4億34百万円増加して22億01百万円となっています。通期予想は据え置かれ、売上高23億30百万円、営業利益5億50百万円、当期純利益3億18百万円、1株当たり配当予想は14円です。
3. 直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も注目すべきは、増収率と増益率の乖離です。売上高が+36.5%伸びた一方で、営業利益は+16.3%、中間純利益は-1.9%と、利益段階を下るほど伸びが鈍る構造になっています。M&Aによる外部成長が売上を押し上げる一方、のれん及び顧客関連資産の償却が利益を削る形です。
二つ目は、主力のrakumoサービスが着実に伸びている点です。売上高7億99百万円(前年同期比+15.7%)という伸びは、M&Aの寄与を除いた自力成長を示します。クライアント数は2,583社(2025年12月末比31社増)、有料ライセンス数は1,264千ID(同25千ID増)となり、顧客基盤も拡大しました。
三つ目は、契約負債の増加です。中間連結会計期間末の契約負債は9億68百万円となり、前連結会計年度末から2億75百万円増加しました。契約負債はサブスクリプション型の前受収益にあたるため、将来の売上計上の基盤が厚みを増していることを意味します。営業キャッシュ・フローが6億07百万円と大きく改善した主因も、この契約負債の増加318百万円にあります。
四つ目は、料金改定の進捗です。「rakumo for Google Workspace」の大幅アップデートや生成AIを活用した機能強化、複数の有償オプションの標準化に伴い、2026年1月1日より既存顧客向けの一部rakumo製品の利用料金改定が順調に進捗していると説明されています。
4. 中間期が示す事業の実力
同社の収益は、SaaS型の継続課金を基盤とするストック収益が中心です。クライアント数と有料ライセンス数が積み上がるほど、翌期以降の売上が安定して見込める構造になっています。中間期末時点でクライアント数2,583社、有料ライセンス数1,264千IDという規模に達しました。
売上を伸ばす手段は三つあります。第一に新規クライアントの獲得、第二に既存顧客のライセンス数拡大、第三に単価の引き上げです。今期はこの三つが同時に動いており、なかでも料金改定という単価施策が効いていると見られます。値上げが解約につながらずに進捗しているのであれば、製品の代替困難性が高いことの裏づけになります。
製品面では、AvePoint Japan株式会社との共同開発プロジェクト第三弾として「rakumo ワークフロー for Microsoft 365」の開発が開始されました。また「rakumo ワークフロー」向けrakumoエージェントの開発も始まり、2026年度第4四半期中の提供開始を目指すとしています。「rakumo ワークフロー for Google Workspace」のディスカッション機能は7月27日にリリースされ、GVA TECH株式会社の法務オートメーション「OLGA」とは8月12日にシステム連携しました。
5. 業界の注目ポイント
M&Aによる成長とのれん償却のトレードオフ
その他サービスの売上高は2億97百万円(前年同期比+165.6%)と急拡大しました。前連結会計年度の下期に取得した子会社2社の寄与によるものです。売上規模を短期間で押し上げる手段として、M&Aは有効に機能しています。
一方で、その代償がのれん及び顧客関連資産の償却です。中間期には89百万円が償却され、利益を押し下げました。営業キャッシュ・フローの内訳を見ると、のれん償却額81百万円が非資金費用として加算されています。会計上の利益が抑えられても現金の創出力は損なわれていない構造であり、この点は財務の健全性を測るうえで重要です。
Google依存からのマルチプラットフォーム展開
同社の製品はGoogle Workspaceとの連携を強みとして成長してきました。今期はこれに加えて、Microsoft 365向けのワークフロー製品の開発が始まっています。AvePoint Japanとの共同開発という形をとることで、開発リソースの負担を抑えながら対応領域を広げる狙いがあると考えられます。
プラットフォームを広げることは、顧客の裾野を広げると同時に、単一ベンダーへの依存リスクを下げる意味を持ちます。ただし、Microsoft 365領域は既存プレイヤーが多く、Google Workspace領域で築いた地位をそのまま持ち込めるとは限りません。「rakumo for Microsoft 365」の拡販がどこまで進むかは、来期以降の成長率を左右すると見られます。
自治体・大企業向けの開拓と生成AIの活用
販売面では、業界セグメント特化型マーケティングの成果が出始めています。自治体向けホワイトペーパーの展開やイベント出展を進めた結果、大手自治体からの複数の内示獲得を筆頭に、新たな案件創出が順調に進捗したとしています。自治体案件は導入までの期間が長い一方、いったん導入されれば継続性が高い顧客層です。
技術面では、生成AIを活用した開発が本格化し、rakumoサービスにおけるエンジニアの生産性が大幅に向上したと説明されています。開発効率の改善は、機能追加のスピードと原価率の双方に効いてきます。加えてGoogle Cloudの生成AIサービスであるGemini Enterpriseの販売も開始しており、AIを売る側の立場でも収益機会を広げつつあります。
6. ITトレンド編集部の考察
rakumoの2026年12月期 中間期は、成長の質が問われる局面に入ったことを示す決算だったと受け止めています。売上高10億96百万円(+36.5%)という伸びは力強く、通期予想23億30百万円に対して進捗率は約47%です。上期偏重ではない事業特性を踏まえれば、通期計画は射程に入っていると見られます。
注目したいのは、営業利益2億61百万円(+16.3%)に対して中間純利益が1億43百万円(-1.9%)と減益になった点です。のれん及び顧客関連資産の償却89百万円が響いています。ただし営業キャッシュ・フローは6億07百万円と前年同期の3億61百万円から大きく伸びており、現金を生む力そのものは強化されています。会計上の利益と現金創出力のギャップは、M&Aを絡めた成長戦略では避けにくい現象です。
最も評価できるのは、契約負債が2億75百万円増加して9億68百万円に達した点です。将来の売上として計上される前受分が積み上がっており、料金改定が解約を招かずに浸透していることを示唆します。自己資本比率が43.5%へやや低下した点は留意が必要ですが、現金及び現金同等物22億01百万円という手元流動性を踏まえれば、当面の投資余力は確保されていると考えられます。下期は自治体案件とMicrosoft 365対応がどこまで売上に転換するかが見どころになりそうです。
7. まとめ
rakumo株式会社(証券コード:4060)の2026年12月期 中間期(第2四半期)決算のポイントを整理します。
- 売上高は10億96百万円(前年同期比+36.5%)、営業利益は2億61百万円(同+16.3%)と大幅増収・増益
- 経常利益は2億53百万円(同+13.1%)、中間純利益は1億43百万円(同-1.9%)と最終段階では小幅減益
- サービス別ではrakumoサービスが7億99百万円(+15.7%)、その他サービスが2億97百万円(+165.6%)
- クライアント数は2,583社(2025年12月末比31社増)、有料ライセンス数は1,264千ID(同25千ID増)
- 契約負債は2億75百万円増加し9億68百万円。営業キャッシュ・フローは6億07百万円と前年同期の3億61百万円から拡大
- 資産合計45億28百万円、純資産19億91百万円、自己資本比率43.5%(前連結会計年度末44.8%)
- 通期予想は据え置きで、売上高23億30百万円、営業利益5億50百万円、当期純利益3億18百万円、1株当たり配当予想は14円
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

