「サーバ仮想化」とはどのような技術?
従来は1台のサーバにつき、1つのサーバ環境しか構築できませんでした。したがって必要となるサーバ環境の数が増えれば、ハードウェアの台数も増やさなければなりませんでした。実体としてのハードウェアに縛られた形でしかサーバ環境を構築できないという意味合いで、これを「物理的」な構成に縛られた状態と表現することもあります。
一方で近年、この物理的な構成に縛られずにサーバ環境を構築できる技術が登場しました。それこそが、「サーバ仮想化」技術です。サーバ仮想化技術をつかうと、1台のハードウェア上に複数のサーバ環境を構築できます。またWindowsやLinuxといった異なるサーバOSであっても、同一のハードウェア上に搭載することも可能です。
では、このサーバ仮想化技術を用いることで、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
サーバ仮想化の3つのメリット
メリット1:導入時のコストを削減できる
物理的な構成に縛られた従来の方法では、新たなサーバを構築する必要が生じる度にハードウェア自体を用意しなければなりませんでした。ハードウェア自体の調達にかかるコストはもちろん、初期設定などもその度ごとに行う必要があり、人的コストもかさみがちでした。
一方でサーバ仮想化技術を使えば、毎回新たなハードウェアを調達する必要はありません。また、ハードウェア自体の初期設定を必ずしも毎回行う必要もありません。さらに、サーバ環境構築作業の一部をテンプレート化して作業効率を向上させることもできます。
メリット2:サーバ維持に必要なコストを削減できる
ハードウェア1台につき1つのサーバ環境しか構築できないということは、サーバ環境の数が増えれば増えるほど、より多くのハードウェア設置場所が必要となるということです。
また、ハードウェアが増えれば増えるほど、消費する電力も大きくなります。サーバ環境構築が物理的公正に縛られていた時代には、このサーバ機設置場所の確保と消費電力の増大がランニング・コストを膨らませていました。
しかし、サーバ仮想化技術を駆使すれば、ハードウェアのスペックを有効に活用し、限られたハードウェアだけで必要なサーバ環境を構築、運用することができます。したがって、オフィスの省スペース化、あるいはサーバレンタル料の削減、省電力化といった課題の解決へとつながります。
メリット3:保守性が向上し、複製が容易になる
仮想化されたサーバ環境は、サーバ環境ごとに「カプセル化」されます。カプセル化とは、サーバOS、OS上で動作するアプリケーション、CPUやメモリなどが1つのファイルとしてパッケージ化されることを言います。
カプセル化されることにより、サーバ環境はハードウェアから独立した存在となります。したがって、同一のハードウェアに複数のサーバ環境を構築した場合、いずれかのサーバ環境がウィルスなどによる脅威にさらされた場合であっても、他の環境は影響を受けません。また、カプセル化されたサーバ環境は、あたかもファイルをコピーするかのように、容易に複製することも可能です。
今なお進化する「サーバ仮想化」技術
最近ではサーバ仮想化技術を応用して、仮想サーバ環境上のアプリケーションやOSを動作させたままの状態で、ハードウェア間の移行を実現する技術も登場しました。これまではハードウェア間の移行を行う場合には一定時間のサーバダウンタイムが生じていましたので、サーバダウンタイムをゼロにするこの技術はサーバ仮想化技術の飛躍的な進歩と有用性を示す顕著な例と言えます。
以上のように、サーバ仮想化にはコスト削減や保守性の向上など多くのメリットがあります。最新のサーバ仮想化技術を取り入れることで、システムに関する分野だけではなく、コスト削減による利益拡大など企業全体の業績改善へとつなげることもできるのです。