そもそもサーバ仮想化とは
サーバ仮想化について、少しおさらいしましょう。
サーバ仮想化とは、1台のサーバが複数のサーバのように振る舞うことを可能にするシステムです。1台のサーバ上(物理サーバ)に複数の仮想サーバを置くような形です。これによって、サーバ数を大きく削減することができます。また、サーバ仮想化を行うことで、1台のサーバがダウンしても、その他の仮想サーバには影響を及ぼすことがないので継続的な業務運営が可能です。
サーバ仮想化の3つの方式
サーバ仮想化を導入すると、サーバのハードウェア上に「仮想化層」と呼ばれるものが実装されます。「仮想化層」には3つの方式があり、仮想サーバOSの稼動方法が異なります。それぞれの方式にはメリット・デメリットがあるので、確認しましょう。
方式1 物理パーティショニング
特定の仮想OSに対応している仮想化層を実装している方式です。物理サーバ上に区画(パーティション)を設けて、物理サーバをそれぞれの仮想サーバに分割するしくみです。これらの仮想サーバは1つのアプリケーションに対応しており、アプリケーションごとに仮想OSが存在します。
- ◎ メリット:パーティションごとの隔離性が強い
- 1つのアプリケーションに何かトラブルがあっても、他のアプリケーションへの影響は少なく済みます。
また、オーバーヘッドが発生しないというメリットもあります。オーバーヘッドとは、何らかの処理をする際に本来の処理に加えてかかる余分な負荷のことを指します。物理パーティショニングを利用すると、パーティションで区切られているので、余分な処理がかかりません。
- ▲ デメリット:柔軟性がない
- 状況に応じてパーティションを変更することができません。つまり、決まった仮想OSしか対応することができないということです。
方式2 ホスト(仮想OS)方式
物理サーバのOSの上に、仮想化層である仮想化ソフトウェアを設けます。その上で、複数の仮想サーバを稼働させる仕組みです。物理サーバのOSで動くアプリケーションは仮想ソフトウェアを介さずに稼動でき、仮想サーバのOSで動くアプリケーションは「物理サーバのOS→仮想化ソフトウェア→仮想サーバOS」という道順をたどって稼働します。物理パーティショニングと異なり、どんなOSでも対応可能です。
- ◎ メリット:運用中のサーバにも導入できる
- ホスト方式では、物理サーバOSでと仮想サーバOSでの両方を使用できます。したがって、現在使用しているサーバの使用していない部分を仮想化することで導入できる手軽さがあります。
- ▲ デメリット:オーバーヘッドが大きい
- 仮想サーバOSでアプリケーションを使用する場合も、常に物理サーバOSを経由します。2つのOSを経由しており、通常よりも余分な処理が発生してしまいます。
方式3 ハイパーバイザー方式
物理サーバのハードウェア上に「ハイパーバイザー」と呼ばれる仮想化層を配置し、物理サーバを複数の仮想マシンに分割してしまうという方式です。ハイパーバイザー上では複数の仮想サーバが存在し、それぞれの仮想サーバのOS上では複数のアプリケーションを起動できます。現在のサーバ仮想化の多くは、このハイパーバイザー方式を使用しています。
- ◎ メリット:高い処理能力
- 物理サーバのOSを必要としないので、ホスト方式と比べて高い処理能力を発揮します。
- ▲ デメリット:サイジングが困難
- 1台の物理サーバ上で複数の仮想サーバを稼働させるので、どのくらいのサーバ台数とコストであるかという見積りがしにくいです。
更に、このハイパーバイザー方式には2つの方法があります。完全仮想化と準仮想化です。
完全仮想化では、OSには手を加えずにそのままの形で運用できる方法です。しかし、OSは汎用性が高く、場合によってはパフォーマンスが遅くなることがあります。
そこで登場したのが準仮想化です。準仮想化では、OSの中核を構成するソフトウェアに手を加え、仮想マシン専用のOSに作り変えます。こうすることで、高パフォーマンスを見込めます。
まとめ
サーバ仮想化にはさまざまな方法がありますが、現在多く適用されているのはハイパーバイザー方式の準仮想化のようです。製品によっては、サーバの使用率を確認できたり、バックアップ時のサポートを受けられたりと、サーバ仮想化の裏側の操作を行ってくれるサービスもあります。あなたの企業の要望に合わせた製品を選びましょう。