USBメモリの持ち出しで起きやすい問題
手軽に持ち運べることは利点であり、同時にリスクでもあります。まずは、どんな問題が起こり得るのかを整理しましょう。
紛失や置き忘れが起こり得る
USBメモリは小さく、かばんやポケットの中で見失いやすいものです。電車やタクシー、訪問先に置き忘れる事態も考えられます。落としたことに気づかないまま時間が過ぎることもあります。
暗号化していない状態では、拾った人がパソコンに差し込むだけで中身を見られます。顧客の名簿や取引の資料が入っていた場合、影響は自社だけにとどまりません。取引先への報告や、関係する方への連絡が必要になることもあります。
誰が何を持ち出したかがわからない
個人が用意したUSBメモリを自由に使える状態では、誰がどのデータを持ち出したかを把握できません。退職の際に、資料を持ち出されても気づけない恐れがあります。記録がないため、後から調べることもできません。
問題が起きたときに、影響の範囲を特定できない点も課題です。何が入っていたかがわからなければ、関係する方への連絡もできません。持ち出しの記録を残す仕組みが必要です。
外部から持ち込まれた媒体から感染が広がる恐れがある
取引先から受け取ったUSBメモリを社内のパソコンに差し込むと、そこに不正なプログラムが入っていた場合に広がる恐れがあります。持ち込む側に悪意がなくても、気づかないまま感染していることもあります。
この問題は暗号化だけでは防げません。差し込める媒体を制限する仕組みや、接続時に検査する仕組みとあわせて考える必要があります。何をどこまで対策するかを、情報システムの担当者と整理しましょう。
USBメモリ暗号化ソフトを使うメリット
暗号化の効果は、中身を守ることだけではありません。管理の面や、社内の意識にも関わります。3つの角度から整理します。
紛失しても中身を読まれにくくなる
暗号化されたデータは、正しい合言葉や鍵がなければ読み出せません。拾った人が差し込んでも、内容は判読できない状態です。紛失そのものは防げませんが、情報が流出する事態は避けやすくなります。
個人情報保護法では、情報の漏えいなどが生じた場合に、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が求められるケースがあります。高度な暗号化などの措置が講じられている場合の扱いについても示されています。自社の状況がどう扱われるかは、法務の担当者や専門家に確認しましょう。
持ち出しの記録を残せる
製品によっては、どのファイルをいつ書き込んだか、誰が使ったかを記録できます。この記録があれば、問題が起きたときに影響の範囲を確かめられます。誰が持ち出したかを追える状態は、不用意な持ち出しを抑える効果も期待できます。
管理する画面から、配布した媒体の一覧を確認できる製品もあります。使われていない媒体を回収する判断にも使えます。ただし、記録は残しているだけでは役立ちません。誰がどの頻度で確認するのかを決めておきましょう。
会社として対策していることを示せる
取引先から情報の管理体制について問われた際、対策の内容を示せます。契約の条件として、持ち出す媒体の暗号化が求められる場合もあります。入札や審査の要件に含まれることも考えられます。
社内に向けても、ルールを形にする意味があります。「気をつける」という呼びかけだけでは徹底が難しいものです。仕組みとして備えることで、担当者ごとの判断に頼らない運用に近づけられます。
導入前に確かめたい注意点
導入すればすべてが解決するわけではありません。次の点を押さえたうえで検討しましょう。
費用と対象の数え方を確かめる
料金は、媒体の本数で決まる形と、利用する人数で決まる形があります。暗号化の機能を備えた専用の媒体を購入する形もあり、その場合は1本あたりの単価が通常より高くなります。必要な本数を見積もってから比べましょう。
管理する仕組みを別に用意する製品では、その費用も加わります。今どれだけの媒体が社内で使われているかを把握したうえで、総額を確かめることが重要です。設定を手伝ってもらう費用が別かどうかも確認しましょう。
合言葉を忘れると読み出せなくなる
暗号化した媒体は、正しい合言葉がなければ中身を取り出せません。本人が忘れた場合、管理者側で解除できる仕組みがあるかを確かめておく必要があります。解除の手段がないと、データを失うことになります。
解除の手順と連絡先を、あらかじめ決めておきましょう。誰が本人だと確かめてから解除するのかも定めます。対応する担当を1人に固定せず、複数人が手順を把握しておくことが重要です。
運用のルールとあわせて考える必要がある
暗号化しても、そもそも持ち出してよいデータかどうかの判断は人が行います。何を持ち出してよいか、上長の承認が必要かといった決まりを整理しましょう。個人が用意した媒体を使えないようにする設定も検討します。
持ち出しを厳しく制限しすぎると、業務が滞る恐れもあります。共有できる別の手段を用意したうえで、制限を進める方法が現実的です。現場の事情も聞きながら、続けられるルールにすることが重要です。
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製品を選ぶときの確認項目
必要な機能は、持ち出しの頻度と管理の体制によって変わります。管理の仕方と、使う環境、使いやすさという3つの点から確認しましょう。
管理者ができることを確かめる
管理する画面から、配布した媒体の状況を確認できるかを確かめましょう。紛失が判明した際に、その媒体を使えなくする設定ができる製品もあります。合言葉を忘れた場合の解除ができるかも重要な点です。
記録として何が残るかも確認します。書き込んだファイルの名前まで残るのか、接続した記録だけなのかで、調べられる範囲が変わります。記録をどのくらいの期間保管できるかも、あわせて確かめておきましょう。
使う環境で問題なく動くかを確かめる
社内のパソコンの種類や、基本ソフトの版に対応しているかを確認します。取引先のパソコンで開く必要がある場合、そこでも読み出せる形かを確かめる必要があります。専用のソフトを入れないと開けない製品もあります。
読み書きの速さも、実際の業務に関わります。大きなファイルを扱う場合は、試用して確かめる方法が確実です。困ったときにどこまで相談できるか、対応の時間帯はいつかも聞いておきましょう。
社員が使い続けられる形かを確かめる
操作の手順が煩雑だと、社員は暗号化されていない媒体を使ってしまいます。差し込んだときに合言葉を求められるだけで済むのか、毎回ソフトを起動する必要があるのかを確かめましょう。実際に使う社員に試してもらう方法が確実です。
合言葉の決まりも運用に関わります。文字数や種類の条件が厳しすぎると、書き留めて媒体と一緒に持ち歩く人が出てきます。守れる範囲の条件にしたうえで、定期的に見直す運用を決めておきましょう。
USBメモリの暗号化に関するよくある質問
導入を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 基本ソフトに備わっている機能では足りませんか?
- 暗号化そのものは行える場合があります。ただし、管理者が状況を把握したり、紛失時に使えなくしたりする仕組みは別に必要です。全社で運用する場合は、管理の機能があるかを確かめましょう。
- Q2: USBメモリの使用を禁止すればよいのではありませんか?
- 禁止も一つの方法ですが、業務が滞る場合があります。共有の仕組みを用意したうえで進めることが前提です。取引先とのやり取りで必要になる場合もあるため、実際の運用を確かめてから判断しましょう。
- Q3: 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
- 対象の本数と、管理の仕組みを整える作業で変わります。媒体を購入する形では、その手配の期間も必要です。社員への説明と、ルールの周知にかかる時間も見込んでおきましょう。
- Q4: 紛失したときはどう対応しますか?
- まず報告を受ける経路を決めておきましょう。何が入っていたかを記録から確かめ、影響の範囲を判断します。報告や通知が必要かどうかは状況によって変わるため、法務の担当者や専門家に相談することが重要です。
まとめ
USBメモリ暗号化ソフトには、紛失しても中身を読まれにくくなること、持ち出しの記録を残せること、会社として対策していることを示せることというメリットがあります。一方で、費用や合言葉の管理、運用ルールの整備という点も押さえておく必要があります。まずは社内でどれだけの媒体が使われているかを把握しましょう。資料請求を活用して比べてみてください。

