株式会社CRI・ミドルウェアは、ゲーム・映像・音声分野のミドルウェア開発企業です。ゲーム開発向けの音声圧縮・映像再生・リップシンク技術などのミドルウェアを提供し、国内外のゲーム会社のコンテンツ制作を技術面で支えています。近年はゲーム業界で培った技術・知見を、モビリティ業界やオンラインコミュニケーション分野へ展開する取り組みも進めています。
2026年9月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高18億49百万円(前年同期比-0.4%)、営業利益3億1百万円(同-22.3%)、経常利益3億21百万円(同-17.8%)、親会社株主に帰属する中間純利益2億22百万円(同-18.1%)となりました。上半期累計では減収減益となったものの、四半期ごとの推移を見ると第2四半期単独では回復の動きがうかがえる決算です。
詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社CRI・ミドルウェア(証券コード:3698)徹底解説】ゲーム向けミドルウェア企業は、なぜモビリティとオンラインコミュニケーションへ広げるのか
上半期の市場動向と後半への示唆
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられました。企業収益は、製造業において米国の関税政策による下押しの影響がみられるものの、全体としては高水準を維持しています。業況感も中東情勢の影響を受けつつ良好な水準で推移しており、景気は緩やかに回復しているといえます。
CRI・ミドルウェアを取り巻く事業環境では、モビリティ業界においてSDV(Software Defined Vehicle)の開発が注目を集めています。ゲーム業界でミドルウェアを開発し培ってきた同社の技術と知見が、モビリティ業界で活用できる環境やタイミングが整いつつあると見られます。
また、「2025大阪・関西万博」ではリアル会場の盛り上がりと同時にバーチャル万博が併設され、オンライン空間上で大勢の人がコミュニケーションを行う場面が見られました。オンラインコミュニケーションの活用はリアルとバーチャルのハイブリッドという形で着実に進展しており、同社はこうした成長市場を見据えた研究開発体制の整備や新製品の創出、海外展開の推進に注力しています。
業績推移
CRI・ミドルウェアの四半期業績を振り返ると、2026年9月期第1四半期は売上高8億3百万円(前年同期比-6.8%)、営業利益31百万円(同-77.0%)、経常利益39百万円(同-73.5%)、純利益26百万円(同-74.3%)と大きく落ち込みました。第2四半期累計(中間期)では売上高18億49百万円、営業利益3億1百万円まで積み上がっています。
単純計算すると、第2四半期単独では売上高10億46百万円、営業利益2億70百万円、経常利益2億82百万円、純利益1億96百万円に達しており、第1四半期から大きく回復した形です。上半期累計で見ると前年同期比では減収減益ですが、四半期ごとの推移では収益力が持ち直しつつあると見られます。
財政状態は、総資産48億40百万円、純資産42億3百万円となり、自己資本比率は86.1%と高い水準を維持しています。中間期のEPSは42.56円、中間配当金は1株当たり13.0円です。
直近決算の重要ポイント
今回の決算で注目すべき点は、上半期累計では減収減益となった一方、四半期ごとの推移では第2四半期単独の収益力が第1四半期から明確に回復していることです。第1四半期の営業利益31百万円に対し、第2四半期単独では2億70百万円程度まで積み上がったと見られます。
通期予想に対する進捗率は、売上高が47.3%(18億49百万円/39億10百万円)、営業利益が50.2%(3億1百万円/6億円)、純利益が48.1%(2億22百万円/4億62百万円)です。第2四半期時点の目安である50%前後に近い水準まで進捗しており、通期計画に対して大きな遅れは生じていないと見られます。
翌期(通期)の業績予想では、売上高39億10百万円(前期比+13.4%)、営業利益6億円(同+8.2%)、経常利益6億16百万円(同+8.7%)、純利益4億62百万円(同+9.8%)と、いずれも増収増益が見込まれています。
中間期が示す事業の実力
CRI・ミドルウェアの収益モデルは、ゲーム開発向けミドルウェアのライセンス提供を中心とした安定的な収益基盤にあります。上半期は前年同期比で減収減益となったものの、第2四半期単独の回復ぶりを見る限り、事業の基盤自体は大きく揺らいでいないと考えられます。
自己資本比率86.1%という水準は、同業他社と比較しても極めて健全な財務基盤といえます。中間配当金1株当たり13.0円を実施しつつ、モビリティやオンラインコミュニケーションといった新たな成長領域への研究開発投資も継続しており、財務の安定性を保ちながら次の成長の種をまいている段階と見られます。
通期予想では増収増益を見込んでおり、下半期にかけて新製品の創出や海外展開の推進、グループシナジーの創出が計画通り進むかが、通期計画達成のカギを握ると考えられます。
業界の注目ポイント
ゲームミドルウェアの安定収益基盤とハイクオリティ化ニーズ
CRI・ミドルウェアの中核事業は、ゲーム開発向けの音声圧縮・映像再生・リップシンク技術などのミドルウェア提供です。ゲームコンテンツのハイクオリティ化やマルチプラットフォーム展開が進むほど、開発負荷を軽減するミドルウェアの需要は底堅く推移しやすいと考えられます。
上半期は前年同期比で減益となったものの、これは特定の四半期の落ち込みが影響したものであり、中核事業のライセンス収入という収益構造自体が崩れたわけではないと見られます。今後もゲーム業界の技術トレンドを取り込み続けられるかが、収益基盤の持続性を左右するポイントになります。
モビリティ業界におけるSDV開発とミドルウェア技術の展開余地
自動車業界ではSDV(Software Defined Vehicle)の開発が注目を集めており、車載ソフトウェアの高度化が進んでいます。CRI・ミドルウェアがゲーム業界で培ってきた音声・映像処理技術は、車載エンターテインメントや情報提示の分野でも応用できる可能性があると見られます。
同社はモビリティ業界を新たな成長市場と位置づけ、研究開発体制の整備を進めています。ゲーム向け技術の他分野への横展開が軌道に乗れば、中長期的な収益の多角化につながる可能性があります。
オンラインコミュニケーション領域の需要拡大とハイブリッド化の進展
「2025大阪・関西万博」のバーチャル万博併設に見られるように、リアルとバーチャルを組み合わせたオンラインコミュニケーションの活用が着実に進展しています。オンライン空間上でのコミュニケーション需要は、イベントやエンターテインメント分野を中心に今後も拡大が見込まれます。
CRI・ミドルウェアはこうした市場も見据えた新製品の創出に取り組んでおり、ゲーム分野で培った映像・音声技術がオンラインコミュニケーション領域でどこまで採用を広げられるかが注目されます。
ITトレンド編集部の考察
今回の決算から見えるのは、上半期累計では減収減益となったものの、四半期ごとの推移では第2四半期単独の収益力が明確に回復している点です。第1四半期の落ち込みが上半期全体の数値を押し下げた形であり、事業の基盤自体が大きく毀損したわけではないと見られます。
自己資本比率86.1%という高い財務健全性を維持しながら、モビリティ業界のSDV開発やオンラインコミュニケーション領域といった新たな成長市場への研究開発投資を継続している点も特徴的です。ゲーム向けミドルウェアで培った技術を他分野へ横展開する戦略が、中長期的な収益の多角化にどうつながるかが注目されます。
通期予想では売上高・営業利益・純利益のいずれも増収増益が見込まれており、進捗率も50%前後とおおむね計画線上にあります。下半期に新製品創出や海外展開、グループシナジー創出がどこまで進むかが、通期計画達成の焦点になると考えられます。
まとめ
- 2026年9月期第2四半期累計の売上高は18億49百万円(前年同期比-0.4%)
- 営業利益3億1百万円(同-22.3%)、経常利益3億21百万円(同-17.8%)と減益
- 親会社株主に帰属する中間純利益は2億22百万円(同-18.1%)
- 第1四半期は落ち込んだが、第2四半期単独では収益力が回復した形
- 自己資本比率86.1%と財務健全性は高水準、中間配当金は1株当たり13.0円
- 通期予想は売上高39億10百万円(前期比+13.4%)、営業利益6億円(同+8.2%)、純利益4億62百万円(同+9.8%)を見込む
ITトレンド編集部
IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

