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決算個社ソフトウェア2026年09月25日

【株式会社TKC(証券コード:9746)徹底解説】2026年9月期 第3四半期──標準化特需で過去最高、通期予想を上方修正

【株式会社TKC(証券コード:9746)徹底解説】2026年9月期 第3四半期──標準化特需で過去最高、通期予想を上方修正

株式会社TKC(証券コード:9746)は、税理士・公認会計士事務所向けの会計情報システムと、地方公共団体向けの行政情報システムを二本柱とする企業です。会計事務所の基幹システム「OMSクラウド」や、中小企業向けの財務会計システム「FXクラウドシリーズ」などを提供しています。子会社の株式会社TLPを通じて、印刷事業も手がけています。

2026年9月期第3四半期累計の売上高は675億51百万円で、前期比+13.0%の増収でした。営業利益は165億32百万円(同+26.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は117億50百万円(同+24.5%)です。売上高と各利益はいずれも過去最高を記録し、同社は通期の業績予想を上方修正しました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社TKC(9746)徹底解説】税務・会計・行政DXを支える基盤企業──制度対応需要で急成長する理由とは

1. 通期着地を左右する市場環境

決算短信によると、第3四半期までの国内経済は緩やかな回復基調にありました。一方で、中東情勢の不安定化に伴う資源価格の高騰や供給不安、金利上昇など、先行きは不透明とされています。

ただし、同社の事業領域に関連するIT投資の需要は、引き続き旺盛と説明されています。企業のDX需要や、電子帳簿保存法・消費税インボイス制度などへの対応が需要を支えています。地方公共団体における行政手続きのデジタル化や、生成AIおよびAIエージェントの実装需要も挙げられています。

地方公共団体の分野では、国の「地方公共団体情報システム標準化基本方針」に基づくシステム移行が大きな節目を迎えました。同社は、顧客164団体すべての標準仕様準拠システムへの対応とガバメントクラウドへの移行支援を完了しています。国が定めた移行期限である2026年3月末日までに完了しており、2026年4月以降は標準化特需が収束しました。

2. 業績推移

2026年9月期第3四半期累計の売上高は675億51百万円で、前期の同じ期間の597億56百万円から+13.0%増えました。営業利益は165億32百万円(前期比+26.8%)、経常利益は171億12百万円(同+27.4%)です。営業利益率は24.5%となり、前期の同じ期間の21.8%から2.7ポイント上昇しました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は117億50百万円で、前期比+24.5%の増益です。1株当たり四半期純利益は232.28円で、前期の同じ期間の182.48円を上回りました。なお、第3四半期には66百万円の減損損失を特別損失として計上していますが、業績への影響は軽微とされています。

累計値から第3四半期(4〜6月)だけの数値を算出すると、売上高は207億26百万円で、前期の同じ期間の205億29百万円から+1.0%でした。標準化特需が収束した後の四半期でも、売上高は前期並みを維持しています。同じく算出した3か月間の営業利益は54億06百万円で、前期の同じ期間の43億65百万円を上回りました。

財政状態を見ると、第3四半期末の総資産は1,299億48百万円、純資産は1,111億21百万円です。自己資本比率は85.5%と、非常に高い水準を保っています。

3. 直近決算の重要ポイント

今回の決算で最も重要なのは、地方公共団体事業部門の標準化特需が業績を大きく押し上げた点です。同部門の売上高は253億32百万円(前期比+36.1%)、営業利益は69億17百万円(同+304.3%)でした。標準化特需は、第2四半期までに大きく寄与したと説明されています。

同部門のコンサルティングサービス売上高は、前期比+810.3%と大幅に増えました。移行を支援した顧客団体が、前期の同じ期間の2団体から96団体に増えたためです。利益率の低いハードウエア売上高が減る一方、利益率の高いシステム移行支援の売上が増え、利益の伸びが売上の伸びを上回りました。

もう一つのポイントは、通期の業績予想の上方修正です。会計事務所事業部門と地方公共団体事業部門のいずれも、第3四半期までの業績が当初の計画を上回ったことが理由とされています。期末配当は業績予想の上方修正を踏まえ、12期連続となる増配を予定しています。

4. Q3時点の事業進捗

最大の事業である会計事務所事業部門の売上高は399億24百万円で、前期比+2.8%でした。コンピューターサービス売上高は同+5.7%で、新規入会者の増加に伴い「OMSクラウド」とオプションシステムの利用が増えました。「FXクラウドシリーズ」の新規利用も拡大しています。

会計事務所事業部門の営業利益は92億86百万円で、前期比-15.6%の減益でした。第2四半期に全社的な業績連動賞与を計上したことや、採用の強化で人件費が増えたためです。同社は、限界利益率はおおむね前年同期並みを維持しており、賞与の計上は一時的なものだと説明しています。

地方公共団体事業部門では、標準化特需の収束後もソフトウエア売上高が伸びています。ガバメントクラウド運用管理補助業務の受託に加え、ソフトウエア利用の料金体系を改定したためです。「TASKクラウド公会計システム」などの新規受託により、サブスクリプション型の利用料も増えました。

印刷事業部門の売上高は22億94百万円(前期比-1.3%)、営業利益は3億20百万円(同+1.7%)でした。デジタル化の進展でビジネスフォーム関連の需要は減少傾向にある一方、年末調整書類の発行・回収業務などの新規受注がありました。

5. 業界の注目ポイント

会計ソフトのクラウド移行

会計事務所事業部門では、クラウド型システムへの移行が着実に進んでいます。ソフトウエア売上高は前期比+0.2%でしたが、「FXクラウドシリーズ」の新規受注拡大に加え、スタンドアロン版からクラウド版への移行が順調に進みました。中堅企業向けの「FX4クラウド」は新規受注が伸び、立ち上げ支援のコンサルティング売上も同+5.6%となりました。

クラウド版への移行は、一度きりの販売から継続的な利用料へと収益の形を変えるものです。同社も基本方針の一つに、クラウド系システムへの移行加速によるストック収益基盤の拡大を掲げています。法人向け会計ソフトの分野では、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を機にクラウド化を検討する企業が増えていると見られます。

会計システムへのAIエージェント搭載

同社は2026年5月に、TKC AIエージェント「FXエージェント」と「OMSエージェント」の開発方針を発表しました。安全性と法令遵守を重視したAIエージェントをシステムに搭載し、会計事務所と関与先企業の業務効率化を支援するとしています。

会計や税務の業務では、処理の正確さと記録の信頼性が特に求められます。同社のシステムは、巡回監査後の取引データについて遡及的な訂正加除を禁止する点を特長としています。こうした記帳の信頼性を保つ仕組みとAIをどう組み合わせるかが、同社ならではの差別化の軸になると考えられます。

標準化後の自治体向けSaaSの広がり

地方公共団体事業部門では、標準化対応を終えた後の成長の柱づくりが課題になります。同社は「かんたん窓口」「スマート申請」「コンビニ交付」などのスマート行政DX向けSaaSを推進しています。2026年9月に始まる公金納付のデジタル化への対応や、TASKクラウド公会計システムの機能拡充も成長ドライバーに位置づけています。

全顧客の移行を期限内に完了したことで、同社の顧客への現地視察や情報提供の依頼が増えていると説明されています。移行の実績が、新たな自治体との取引や追加サービスの提案につながる可能性があります。特需の収束後も継続的な利用料を積み上げられるかが、同部門の今後の焦点と見られます。

6. ITトレンド編集部の考察

今回の第3四半期決算は、売上高675億51百万円(前期比+13.0%)、営業利益165億32百万円(同+26.8%)と、いずれも過去最高でした。自治体システム標準化の特需が大きく寄与した一方、特需が収束した4〜6月の3か月間でも売上高は前期並みを保っています。料金体系の改定や運用管理業務の受託など、特需後の収益源が育ちつつあると考えられます。

上方修正後の通期予想は、売上高868億円(前期比+4.0%)、営業利益176億円(同+9.0%)です。親会社株主に帰属する当期純利益は128億50百万円(同+6.2%)を見込んでいます。第2四半期決算時点の予想は売上高855億円、営業利益166億円、純利益121億50百万円でしたので、利益を中心に引き上げた形です。

第3四半期時点の進捗率は、売上高で77.8%、営業利益で93.9%に達しています。通期予想から逆算すると、第4四半期(7〜9月)の営業利益は10億68百万円程度となり、前期の同じ期間を大きく下回る計算です。前期も第4四半期の営業利益は31億01百万円と、第3四半期の43億65百万円を下回っていました。今期はそれに加えて特需の反動も織り込んだ、保守的な計画と見られます。

7. まとめ

  • 2026年9月期第3四半期累計の売上高は675億51百万円(前期比+13.0%)で過去最高
  • 営業利益は165億32百万円(同+26.8%)、経常利益は171億12百万円(同+27.4%)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益は117億50百万円(同+24.5%)
  • 地方公共団体事業部門は売上高253億32百万円(同+36.1%)、営業利益69億17百万円(同+304.3%)
  • 会計事務所事業部門は売上高399億24百万円(同+2.8%)、営業利益92億86百万円(同-15.6%)
  • 顧客164団体すべての標準仕様準拠システム対応とガバメントクラウド移行支援を期限内に完了
  • 通期予想を上方修正し、売上高868億円(前期比+4.0%)、営業利益176億円(同+9.0%)
  • 通期予想の純利益は128億50百万円(同+6.2%)
  • 年間配当は126円を予定し、12期連続の増配となる見通し

ITトレンド編集部

IT製品の比較サイト「ITトレンド」の編集部です。ITトレンドはイノベーションが2007年より運営している法人向けIT製品の比較・資料請求サイトで、累計訪問者数2,000万人以上、3,750製品以上を掲載しています。読者がIT製品・サービスを比較検討する際に役立つ情報や、システムを活用した社内の課題解決のヒントになる情報を日々発信しています。

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