CPM分析とは何かをやさしく理解する
まずはCPM分析の基本を押さえましょう。名称の意味や、どのような視点で顧客を捉える手法なのか、そしてなぜ多くの企業が関心を寄せているのかを順に説明します。土台となる考え方を理解しておくと、後半の実践手順も理解が進みます。
CPM分析の読み方と基本的な意味
CPMは「カスタマー・ポートフォリオ・マネジメント」の略で、日本語では顧客ポートフォリオ管理と訳されます。自社の顧客全体を一つの資産の集まりと捉え、状態ごとに分類して管理する考え方です。読み方は「シーピーエム分析」で、広告費の指標として使われる同じ略語とは意味が異なります。
この手法では、購入金額の大小だけで顧客を評価しません。初回購入からどれだけ時間が経過し、その間に何回購入したのかという時間軸を重視します。関係が続いている顧客ほど価値が高いと考え、育成の対象として捉える点が大きな特徴です。
CPM分析が顧客を分類する狙い
CPM分析の目的は、顧客を状態ごとに分けることで、それぞれに合った働きかけを設計することにあります。すべての顧客を同じ施策で扱うと、優良顧客への感謝も、離れかけた顧客の引き止めも中途半端になりがちです。区分ごとに課題が異なるため、対応も変える必要があります。
具体的には、初めて買った顧客には二回目の購入を促し、長く支えてくれる顧客には特別な体験を提供するといった形です。区分の状況を定期的に確認すれば、どの段階で顧客が離れやすいのかも見えてきます。施策の優先順位を決める判断材料として役立ちます。
CPM分析が注目される背景
CPM分析への関心が高まっている理由の一つは、新規顧客の獲得コストが上昇している点です。広告費が高くなるなかで、既存顧客との関係を深めて繰り返し購入してもらうほうが、費用対効果に優れる場面が増えています。既存顧客の維持は経営上の重要なテーマです。
加えて、購買データを蓄積できる環境が整い、顧客一人ひとりの履歴を追えるようになったことも後押ししています。誰がいつ何回買ったかを把握できれば、CPM分析の精度は高まります。データを活用した顧客育成の一手法として位置づけられています。
CPM分析とRFM分析の違いを整理する
CPM分析と並んでよく登場するのがRFM分析です。両者は似た印象を持たれますが、着目する観点が異なります。ここではRFM分析の特徴と限界を確認したうえで、CPM分析が何を補うのかを整理し、使い分けの考え方を示します。
RFM分析の特徴と限界
RFM分析は、最終購入日、購入頻度、購入金額の三つの指標で顧客をランク付けする手法です。直近でよく買い、金額も大きい顧客を上位と評価するため、現時点で売上に貢献している層を素早く把握できます。販促の対象を絞り込む場面で広く使われています。
一方で、RFM分析はある時点の状態を切り取る性質が強く、顧客との関係がどれだけ続いているかは反映しにくい面があります。長く支えてくれた顧客と、最近まとめ買いした顧客が同じ評価になることもあります。継続性の視点が弱い点が課題として指摘されています。
CPM分析が在籍期間を重視する理由
CPM分析は、RFM分析が捉えにくい「在籍期間」を軸に加えます。初回購入からの経過時間と購入回数を組み合わせることで、顧客が育っていく過程そのものを段階として表現できます。短期の売上ではなく、関係の深まりを評価する設計です。
この違いから、二つの手法は対立するものではなく補い合う関係にあります。今すぐ動かしたい販促にはRFM分析、長期的な顧客育成の設計にはCPM分析、といった使い分けが現実的です。目的に応じて選ぶことで、それぞれの強みを引き出せます。
CPM分析の10区分で顧客像をつかむ
CPM分析では、顧客を大きく現役客と離脱客に分け、それぞれをさらに五つに分類して合計10の区分で捉えます。区分の意味を理解すると、どの層に課題があるのかが具体的に見えてきます。ここでは二つのグループに分けて内容を確認します。
現役客を構成する5つの区分
現役客とは、直近も購入を続けている顧客の集まりです。CPM分析では、初めて購入した初回客、購入がまだ定着していないよちよち客、安定して買い続けるこつこつ客、短期間に集中して購入する流行客、そして長く高頻度で支える優良客の五つに分けます。
この分類により、育成の道筋が明確になります。初回客をよちよち客へ、さらにこつこつ客や優良客へと引き上げる流れを描けば、各段階でどんな働きかけが必要かを設計できます。優良客の割合が増えれば、売上の安定にもつながります。
離脱客を構成する5つの区分
離脱客とは、一定期間購入が途絶えている顧客です。現役客と同じ五段階に対応する形で、初回離脱客、よちよち離脱客、こつこつ離脱客、流行離脱客、優良離脱客に分けます。どの段階で離れたのかがわかると、原因の推測がしやすくなります。
離脱客を区分して見ることで、再び関係を築くための優先順位が決まります。かつて優良だった顧客が離れている場合は、その理由を探り復帰を促す価値が高いといえます。すべての離脱客に同じ対応をせず、状態に応じて施策を変える判断が求められます。
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CPM分析の進め方を5ステップで実践する
CPM分析は、手順を踏めば自社でも取り組めます。ここでは準備から施策の検証までを、目的設定、データ整備、分類、施策立案という流れに沿って三つのステップにまとめ、実務で押さえるべきポイントを解説します。
目的の明確化とデータの準備
最初に取り組むのは、分析の目的をはっきりさせることです。優良客を増やしたいのか、離脱を防ぎたいのかで、注目すべき区分や集める指標が変わります。目的が曖昧なまま進めると、分析結果を施策に結びつけられません。ゴールを言葉にしてから着手します。
次に、顧客ごとの初回購入日、購入回数、購入日といったデータを整えます。複数の販売経路がある場合は、同じ顧客を重複して数えないよう名寄せを行うことが重要です。データの正確さが分析全体の精度を左右するため、この段階を丁寧に進めます。
区分の基準設定と顧客の分類
データがそろったら、在籍期間と購入回数をどの値で区切るかの基準を決めます。基準は業種や商材の購入サイクルによって適切な値が異なります。日用品と高額商品では買い替えの間隔が違うため、自社の実態に合わせて設定することが求められます。
基準に沿って顧客を10区分に振り分け、各区分の人数や売上構成を可視化します。表やグラフにまとめると、どの区分に顧客が偏っているかが一目でわかります。この分布そのものが、次に打つべき施策を考えるための出発点になります。
施策の立案と効果の検証
分類が終わったら、区分ごとに具体的な施策を立てます。よちよち客には二回目の購入を後押しする案内を、優良客には継続を促す特典を用意するなど、状態に応じた内容にします。限られた予算を効果の高い区分に配分する判断も欠かせません。
施策を実行したあとは、区分の移動を追って効果を検証します。よちよち客がこつこつ客へ増えたか、離脱客が減ったかを確認し、うまくいかなければ基準や施策を見直します。分析と改善を繰り返すことで、顧客育成の仕組みが少しずつ磨かれていきます。
CPM分析でつまずかないための注意点とよくある疑問
最後に、CPM分析を成果につなげるために意識したい点と、はじめて取り組む方が抱きやすい疑問を取り上げます。運用の落とし穴を事前に知っておくと、無理なく続けられる体制を整えやすくなります。
導入時に押さえておきたい注意点
注意したいのは、分析を一度きりで終わらせないことです。顧客の状態は時間とともに変化するため、区分は定期的に更新する必要があります。分析結果を出しただけで施策に活かさなければ、労力に見合う成果は得られません。継続できる運用体制を整えることが重要です。
また、区分の基準を細かくしすぎると、かえって解釈が難しくなります。最初は無理のない粒度から始め、運用に慣れてから調整するとよいでしょう。関係部署と目的や指標の認識をそろえておくことも、施策をスムーズに進めるうえで役立ちます。
CPM分析に関するよくある質問
費用の目安を問われることがありますが、表計算ソフトでも小規模なら開始できます。顧客数が増えて手作業が難しくなった段階で、分析機能を備えたツールの導入を検討する流れが一般的です。まずは手元のデータで試し、必要に応じて拡張する進め方が現実的です。
どのくらいの顧客数から有効かという質問も多く寄せられます。明確な下限はありませんが、区分ごとに一定の人数がないと傾向が読み取りにくくなります。データが少ない段階では区分を粗くし、蓄積に応じて細かくしていく方法が向いています。
まとめ
CPM分析は、顧客を在籍期間と購入回数で10区分に分け、状態に応じた育成施策を設計するための手法です。ある時点の貢献度を測るRFM分析と組み合わせれば、短期の販促と長期の関係づくりの両面から顧客を捉えられます。まずは目的を定め、データを整え、区分ごとの課題を把握することから始めましょう。分析と改善を繰り返すことで、優良顧客が安定して育つ仕組みづくりにつながります。自社の状況に合わせて無理なく取り入れてみてください。

