コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、どのようなマーケティング手法なのでしょうか。
コンテンツの意味
コンテンツという英単語は、元来「中身」「内容」といった意味をもちます。インターネットの普及にともなって、「情報の内容」を意味する言葉として使われるようになりました。
例えば、Webコンテンツといえば、インターネット上で公開されている記事のテキストや画像などが該当します。今ではSNSで投稿される内容も、Webコンテンツとして認識されるようになりました。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い
一口にコンテンツマーケティングといっても、いくつかの具体的な手法にわけられます。例えば、メールマガジンはコンテンツマーケティングの1種です。メールのテキストや画像といったコンテンツを用いて顧客と関係を構築し、購買活動へ導きます。
同様に、コンテンツSEOもコンテンツマーケティングの一種です。Webサイトを検索エンジンで上位表示させることを目的に、潜在顧客・見込み顧客の検索ニーズに合致したコンテンツを充実させます。
コンテンツマーケティングとブログの違い
コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」には、さまざまなチャネル上の情報が含まれます。Web上のサイトや、SNS上の投稿、動画投稿サイト上の動画コンテンツなどです。ブログ記事もコンテンツの1種であり、ブログを用いたマーケティングもコンテンツマーケティングに該当します。
コンテンツマーケティングにおける活用方法
続いて、コンテンツマーケティングで用いられる代表的な4つのチャネルを紹介します。
メール
コンテンツマーケティングという言葉になじみがなくても、メルマガを通読したことがある人は多いでしょう。メールを通じて定期的にコンテンツを配信し、顧客と良好な関係を築くのもコンテンツマーケティングの1種です。このように、既存顧客との関係性を深め、購買へ導くことをリードナーチャリングといいます。
メルマガは既存顧客にしかアプローチできない欠点をもちますが、その分成果につながるのが早いという長所もあります。メルマガに登録した時点で、顧客はある程度の関心をもっているからです。
Web広告
インターネット上に出稿する広告を総称して、Web広告といいます。代表的な広告の種類には以下のものがあります。
- ・リスティング広告:検索エンジンの検索結果画面に表示する広告
- ・アフィリエイト広告:ブログなどに掲載する成果報酬型の広告
- ・バナー広告:ネット上の広告枠に表示されるバナー型の広告
- ・リターゲティング広告:サイトへの訪問履歴をもとにパーソナライズした広告
- ・アドネットワーク広告:専用のネットワークを通じて配信する広告
- ・SNS広告:TwitterやFacebookなどで表示する広告
Web広告の特徴は、各広告の種類によってさまざまです。リスティング広告は検索エンジンをよく利用する層へアプローチしやすい方法です。
また、上記の広告はそれぞれまったく異なるものではなく、1つの広告が同時に複数の広告に該当することもあります。例えば、リターゲティング広告をSNS広告として配信するなどの戦略が可能です。
SNS
SNSへ投稿するコンテンツを用いたコンテンツマーケティングを、SNSマーケティングといいます。SNSの投稿を通じて顧客と関係を深めたり、購買活動へ導いたりします。
ほかのコンテンツマーケティング手法と異なり、SNSマーケティングは顧客が主体です。顧客が面白い・興味深いと感じたコンテンツはシェアされ、そうでないものは注目されません。広告のように出稿コストが発生することはない反面、どうすれば顧客にシェアしてもらえるのか、十分な工夫を凝らす必要があります。
また、SNSへの投稿を通じて、具体的にどのような成果を得たいのかによって工夫の仕方は変わってきます。衝動買いを狙うのなら購買意欲を引き出せる投稿が理想的です。一方、衝動買いが期待できないBtoBであれば、地道な情報発信を通じたエンゲージメント強化が目的となるでしょう。
SEO
検索エンジンで記事を上位表示させ、集客するマーケティング手法です。SEOでいう「コンテンツ」は基本的にWeb記事です。狙うキーワードを定め、該当のキーワードで検索された際に記事が上位表示されるよう、コンテンツにさまざまな工夫を施します。
ほかのコンテンツマーケティング手法と比べて、検索ユーザーの興味関心にあわせてアプローチしやすいのが特徴です。例えば、何らかの資格を取りたいと考えている人は「資格 おすすめ」「資格 種類」などのキーワードで検索すると考えられます。取りたい資格が決まれば、「資格名 試験」「資格名 問題集」などと検索するかもしれません。関心の変化にともなって移り変わる検索キーワードに対し、それぞれ記事コンテンツを用意することでアプローチできます。
メールマガジンでも段階的に顧客の関心を導くことは可能ですが、既存顧客にしかアプローチできません。一方、SEOは不特定多数にアプローチできるのが強みです。SEOでメルマガ登録へ導き、メールマーケティングにつなげるという組みあわせもよいでしょう。
コンテンツマーケティングの成功事例
コンテンツマーケティングを成功させると、どのような成果が得られるのでしょうか。2つの成功事例を見てみましょう。
新規の査定数がアップ
車買取業を営むある企業は、「車買取」というキーワードでの検索順位が低迷していることに悩んでいました。検索順位が落ちれば、それだけ顧客の目に留まる機会も減り、ビジネスチャンスが失われてしまいます。
そこでSEO対策を徹底し、以前より早いペースでコンテンツマーケティング施策を実施しました。主体的に施策に携わり、データを分析して顧客が求めるコンテンツの制作に注力。結果的に検索順位は向上し、新規の査定数を大幅に増やせたといいます。
新規患者の呼び込みに成功
ある歯科医院は、歯科医院が運営するWebメディアとしては異例のPV数を獲得し、新規患者を多く集めています。そのために実施した施策は以下の5つです。
- ・徹底したSEO対策
- ・顧客のニーズを分析し、そのニーズに応じたコンテンツの作成
- ・ビッグ・スモールキーワードの網羅
- ・専門性の高いコンテンツ作り
- ・顧客体験を考慮したWebサイト設計
いずれもコンテンツSEOの重要な要素であり、これらを徹底したことで高い成果を実現しました。近隣のみならず、高い信頼性によって県外からも患者が集まる歯科医院になったといいます。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングは、ほかのマーケティング手法に対してどのようなメリットをもつのでしょうか。
コスト面などで実践しやすい
コンテンツマーケティングはあまり費用がかかりません。Webサイトの運営であれば、レンタルサーバとドメインを用意すれば始められます。どちらも、それほど高額な費用を要するものではありません。SNSマーケティングであれば、大抵の場合は無料でアカウントを作成できます。後は目的に応じたコンテンツを地道に作成・投稿するだけです。
自社で作成する場合の人件費や、外注する場合の発注費は発生します。それでも、高額な費用が生じる広告類に比べると安く済むのが一般的です。
自社のブランディングができる
作れば売れるといわれる時代は終わり、今では多くの顧客が主体的に商品・サービスを検討するようになりました。ビジネスを成功させるには、顧客が積極的に商品を購入したくなるような企業・ブランドでなければなりません。
そして、ブランディングにコンテンツマーケティングは有効です。継続的に情報を発信することで顧客と頻繁に接点を持ち、ロイヤリティを高められます。特にSNSマーケティングはその特性が強く、ファンを作るのに役立ちます。
SNSとの相性が良い
コンテンツマーケティングは、顧客にコンテンツを見てもらうことが関係構築の出発点です。そのため、情報がシェア・拡散されるSNSとの相性が優れています。
SNSに直接コンテンツを投稿するSNSマーケティングが可能なほか、リンクを貼ってWeb記事を拡散することもできます。拡散効果を狙い、Web記事にSNSのシェアボタンを設置する例も増えました。
資産になる
作成・投稿したコンテンツは企業の資産として蓄積されます。そして、長期にわたって利益をもたらしてくれます。
情報には鮮度があるため、加筆や修正が必要なこともあるでしょう。しかし、そのようなメンテナンスさえ怠らなければ、作ったコンテンツは半永久的に価値をもち続けます。
コンテンツマーケティングのデメリット
コンテンツマーケティングにはデメリットもあります。代表的なものを3つ見てみましょう。
コンテンツ作りに時間を要する
コンテンツ作成には多くの時間がかかります。良質なコンテンツを作るには、ユーザーニーズの分析・コンテンツの用意・効果測定など多くのステップが発生します。成果を急ぐあまりこれらのプロセスを犠牲にすると、粗悪なコンテンツにより顧客からの信頼を損ないかねません。
効果が出るまでには期間がかかる
時間をかけてコンテンツを作った後も、成果が出るまでさらに時間がかかります。コンテンツSEOを例にすれば、投稿した記事が検索エンジンに認識されるまで数日あるいは数週間、場合によっては1か月以上の期間を要します。
広告とは異なり瞬発的な利益は得られないため、途中でコンテンツマーケティングを辞めてしまう企業も少なくありません。
継続してコンテンツを配信しなければならない
良質なコンテンツが1記事だけあったとしても、すぐに顧客が商品やサービスを購入してくれるわけではありません。長期間投稿し続けてはじめて信頼を勝ち取り、購入してもらえるようになります。
ブログ記事であれば月に5本前後、メルマガであれば3通前後が目安です。途絶えさせることなくこのペースで投稿し続けることが大切です。
コンテンツマーケティングで知っておくべきこと
次は、コンテンツマーケティングに関して、知っておくべき3つのキーワードを紹介します。
KPI
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、最終成果を得るための中間的な指標のことです。ECサイトで商品の販売を最終成果とした場合、KPIには商品ページ閲覧数などが用いられます。一方、上述の例でいう商品販売数などの最終成果は、KGI(Key Goal Indicator)といいます。
コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかる手法であり、すぐにKGIで成果を測定するのは困難です。そこで、中間的な指標であるKPIが重要視されます。
トリプルメディア
トリプルメディアとは、以下の3種類のことです。
- ・ペイドメディア:料金を支払って情報を掲載するメディア。広告など
- ・アーンドメディア:信頼を勝ち取るためのメディア。口コミサイトやSNSなど
- ・オウンドメディア:自社が管理しているメディア。自社HPやブログなど
コンテンツマーケティングでは上記のうち1つのみを活用するのではなく、上手に組みあわせて相互作用を狙うことが大切です。例えば、オウンドメディアにブログを掲載し、そのことをSNSやバナー広告で宣伝することで、より高い集客効果を得られます。
DECAX(デキャックス)の法則
DECAXはコンテンツマーケティングにおける、顧客の行動モデルとして提唱されました。以下の5段階を略した造語です。
- ・Discovery(発見)
- ・Engage(関係構築)
- ・Check(確認)
- ・Action(行動・購買)
- ・eXperience(体験共有)
まず、コンテンツを通じて顧客が企業を発見し、メルマガ登録を通じて関係を構築します。そして商品やサービスをチェックし、購入した後にSNSなどで体験を他者と共有するという流れです。
コンテンツマーケティングは、DECAXのプロセスに広く関わります。発見の段階ではもちろんのこと、関係構築に使われるメルマガもコンテンツです。また、体験共有に使われるSNSもコンテンツを提供できる場であり、企業と顧客の重要な接点といえます。DECAXの流れを意識してコンテンツを作るとよいでしょう。
ブログをコンテンツマーケティングに活かす方法
ブログはコンテンツマーケティングに活用できる代表的なメディアです。最大限に活用するには、どうすればよいのでしょうか。手順を5つのプロセスにわけて紹介します。
1.コンテンツ作りの体制を構築
ブログは継続的に更新していかなければなりません。1度きりの更新で終わらないよう、安定的にコンテンツを供給できる体制を構築しましょう。
自社で作成する場合は、時間と人手を確保しなければなりません。そうでない場合は外部のライターやデザイナーに依頼しましょう。直接作成する負担は生じませんが、彼らをマネジメントする時間と担当者を確保する必要があります。
2.目標・ペルソナ・キーワードを設定
コンテンツマーケティングを実施するには、何らかの目的があるはずです。例えば、ブランドの認知度向上や会員数の増加などが該当します。目標は具体的な数値で設定しましょう。これがKGIとなり、KGIの数値を達成できるかどうかが、コンテンツマーケティングの成否を判断する基準です。
次は読者のペルソナを想定しましょう。ペルソナとはターゲットとなる読者像のことです。年齢・性別・職業・家族構成・居住地などを詳細に定めます。具体的な1人を想定し、その人のためにコンテンツを作るのが、読者の心を惹きつける鍵です。基本的に、1つの記事を作るたびにペルソナを設定します。
最後に、SEOで狙うキーワードを設定します。こちらもコンテンツを作るたびに設定が必要です。設定したペルソナが検索しそうなキーワードのうち、検索ボリュームなどを考慮して狙えそうなものを選びましょう。そのキーワードに対してSEO対策を施しながら、ブログ記事を作成することになります。
3.良質なコンテンツを作成
ここまでで基本的な準備は終わりです。いよいよコンテンツ作りに着手します。良質なコンテンツとは、読者が面白いと思うものや、役に立つ内容です。平たくいえば「読んでよかった」と思われる記事が理想的といえます。
しかし、何をもって「よい」とするかは難しい問題です。タイトルのつけ方1つで与える印象が大きく左右されることもあります。この点に関しては一朝一夕に答えを出せるものではないため、コンテンツ制作と効果測定を繰り返すことで模索するしかありません。また、SEO対策もさまざまな施策が存在するため、1つずつ身につけていく必要があります。
ただし、最初から注意すべき点として「コンテンツの一貫性」が挙げられます。各コンテンツが良質であっても、ブログ全体で一貫性がなければ読者の信頼は得られません。テーマや言葉遣いについてマニュアルを作成し、統一感のあるブログを作りましょう。
4.コンテンツを発信
記事が完成したら、実際に投稿します。SEOが集客の基本ですが、そのほかにも集客に役立つ施策を実施しましょう。
例えば、記事の公開をメルマガやSNSで通知する方法があります。費用はかかりますが、Web広告を出稿するのも1つの手です。どの方法が適しているかは業界やペルソナによって異なります。試行錯誤を繰り返し、最適な施策を模索しましょう。
5.効果測定を実施
コンテンツ公開後は効果測定を行います。ブログの場合は主に以下のKPI・KGIを確認しましょう。
- ・検索順位
- ・PV数
- ・CTR(クリック率)
- ・CVR(コンバージョン率)
ブログを立ち上げて最初のコンテンツを作成した段階では、いずれの数値も高くないかもしれません。しかし、記事の増加にともなって、どのようなコンテンツであればよい成果が得られるのか明らかになっていきます。常に効果を測定し、最善のコンテンツを模索し続けることでメディアを成長させましょう。
コンテンツマーケティングに役立つツール
最後に、コンテンツマーケティングに役立つツールを3つ紹介します。
Keywordmap
ブログの記事作成における、SEO対策やリスティング広告の出稿に役立つツールです。競合分析やキーワード調査を行えるほか、記事案の作成やリライトなどを支援してくれます。
導入時のインストールやタグの設置、サイト連携といった面倒な手間は一切発生しません。洗練されたUIで操作性に優れ、初心者でも利用可能です。調査やコンテンツ制作に要する時間を大幅に短縮することで、生産性を高めてくれます。
CMS
CMSは「Contents Management System」の略で、コンテンツを作成・投稿・管理できるツールです。Webサイトをゼロから構築するには、HTMLやCSSについて本格的な知識が必要ですが、CMSがあれば誰でもメディアを運営できます。
代表的なCMSは無料のWordPressです。個人から企業まで、世界中の幅広いユーザーに利用されています。そのほかにも、企業向けの有料製品を含めてさまざまなCMSがあります。
Google Analytics
Googleが提供する無料の分析ツールです。Webサイトと連携させることで、そのサイトにおける訪問者数や使われているデバイス、閲覧時間など多くのユーザー情報を取得・分析できます。
基本的なアクセス解析機能を網羅的に備えているうえに無料なため、多くのユーザーに使われています。訪問者が興味を示すコンテンツや流入経路などを知り、コンテンツ作りやマーケティング施策に役立てましょう。
コンテンツマーケティングとは何かを理解して有効活用しよう
コンテンツマーケティングとは、Webサイト・メルマガ・SNS・広告などでコンテンツを提供し、顧客と関係を構築するマーケティング手法です。無料で開始できるツールも多く、蓄積することで資産化できるのが特徴です。
一方、成果を出すには入念な設計や良質なコンテンツ作り、効果測定など多くのプロセスが必要になり、途中で断念する例も少なくありません。長所と短所を踏まえ、根気強く取り組むことが大切です。