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決算個社ソフトウェア2026年07月21日

【株式会社セゾンテクノロジー(証券コード:9640)徹底解説】2026年3月期 通期──売上219億円・HULFT Squareへの先行投資で減収減益、翌期も調整続く

【株式会社セゾンテクノロジー(証券コード:9640)徹底解説】2026年3月期 通期──売上219億円・HULFT Squareへの先行投資で減収減益、翌期も調整続く

株式会社セゾンテクノロジーは、データ連携ミドルウェア「HULFT」を中核製品として持ち、次世代クラウドネイティブデータ連携プラットフォーム「HULFT Square」の育成を進めるソフトウェア・ITサービス企業です。ソフトウェア業に属し、「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る」というミッションのもと、AI時代にAIと基幹業務をつなぐデータ連携ビジネスを展開しています。

本記事は、2026年3月期通期(2025年4月〜2026年3月)の決算をもとにした更新版です。前回記事(2026年3月期 第3四半期)時点では累計売上高165億56百万円(-10.0%)・営業利益12億2百万円(-22.5%)を報告していましたが、通期では売上高219億17百万円(前期比-10.1%)、営業利益16億2百万円(同-25.2%)、経常利益16億20百万円(同-25.0%)、純利益10億86百万円(同-27.9%)と減収減益で着地しました。

詳しくは前回の記事もあわせてご覧ください。
【株式会社セゾンテクノロジー(証券コード:9640)徹底解説】HULFTとHULFT Squareを二本立てで育てるデータ連携企業

本記事では、FY2026通期の着地点、1年間を通じた市場・事業の変化、そして翌期(FY2027)に向けた成長シナリオを整理します。


1. FY2026年を振り返る市場・業界の変化

2025年4月から2026年3月にかけての1年間、日本の情報サービス産業ではクラウド移行の加速、生成AI・AIエージェントの本格導入、既存ERP(SAP等)のサポート期限到来に伴うERPモダナイゼーション投資の拡大という複数の大きな潮流が重なりました。こうした環境は、IT投資全体を拡大させる追い風となり、データ連携・ETL(抽出・変換・ロード)ソフトウェアへの需要も底堅く推移しました。

クラウド化が進むほど、異なるシステム間のデータ連携の重要性は高まり、HULFTのような成熟したデータ連携ミドルウェアの継続利用と、クラウドネイティブ対応の新プラットフォームへの移行需要が共存する構造となっています。

セゾンテクノロジーにとって今年度は、この構造変化への対応として「HULFT Square」というクラウドネイティブのデータ連携プラットフォームへの大型先行投資を継続した年でした。投資フェーズにある同事業が-33億47百万円の損失を計上したことが全社の減収減益の主因であり、これは将来の収益基盤を構築するための意図的な先行投資と理解することができます。

来期(FY2027)に向けても、ERP近代化・AI連携需要の拡大という市場環境は継続すると見られます。


2. 業績推移:第3四半期から通期へ

前回記事(Q3累計)では売上高165億56百万円(-10.0%)・営業利益12億2百万円(-22.5%)を報告しました。通期では売上高219億17百万円(-10.1%)・営業利益16億2百万円(-25.2%)となり、Q4単体では売上高53億61百万円・営業利益4億0百万円を計上しました。

Q3から通期にかけての成長率(-10.0%→-10.1%)がほぼ変わっておらず、Q4でも同様のペースの減収が続いたことを示しています。

前期通期(FY2025)との比較では、売上高243億83百万円から219億17百万円へ-24億66百万円(-10.1%)の減収となりました。セグメント別に見ると、HULFT事業(97億56百万円・OI率41.3%)は前期比-2.4%と安定しており、受託システム開発事業(91億57百万円)が-20.8%と大幅な落ち込み、Data Platform事業(HULFT Square等、30億5百万円)は+6.2%と唯一の増収ながら-33億47百万円の大きな営業損失を計上しています。

財務面では自己資本比率66.2%と健全な状態を維持しており、配当は今期・翌期とも90円を維持する計画です。


3. 直近決算の重要ポイント

FY2026通期の収益構造の最大の特徴は、HULFT事業のOI率41.3%という突出した高収益と、Data Platform事業の大幅赤字(-33億47百万円)の対比です。HULFT事業だけで見れば、97億56百万円の売上に対して40億33百万円の営業利益(OI率41.3%)という極めて高収益なビジネスであり、これがセゾンテクノロジーの収益基盤を支えています。

一方、HULFT Squareを中心とするData Platform事業は先行投資フェーズにあり、この損失が全社のOI(16億2百万円)を大幅に圧迫している構造です。

翌期(FY2027)の業績予想は売上高211億円(-3.7%)・営業利益15億円(-6.4%)・純利益10億円(-8.0%)とさらに減少を見込んでいます。ただし、減少幅は今期の-10.1%・-25.2%から大幅に縮小しており、底打ちの兆しがうかがえます。

HULFT Squareが成長ドライバーとして収益化の段階に入るまでの「調整期間」として翌期を位置づけているものと見られます。


4. 通期実績が示す収益モデルの現在地

セゾンテクノロジーの収益モデルは現在、「成熟した高収益のHULFT事業が利益を生み出し、その利益でHULFT Squareの先行投資を賄う」という構造にあります。HULFT事業は-2.4%と微減ながら、OI率41.3%という高い収益性を維持しており、投資原資としての役割を安定して果たしています。

問題は、受託システム開発事業が-20.8%と大幅に落ち込んでいる点です。この部門の減収がHULFT単独では補いきれない全社売上の減少につながっています。

中長期のROE20%達成という目標に向けては、HULFT Squareの収益化加速が不可欠です。同事業は今期+6.2%の増収ながら-33億47百万円という大幅損失にあり、損益分岐点到達までにはさらに一定の期間が必要と見られます。

翌期の売上-3.7%という予想は、HULFT Squareの成長が損失を縮小させながらも、全社売上の減少を完全にカバーするには至らないシナリオを示しています。長期的な評価の軸は、HULFT Squareが損益分岐を超えて本格的な収益貢献に転換するタイミングです。


5. 業界の注目ポイント

ポイント1:クラウドネイティブのデータ連携プラットフォームは高成長市場
生成AI・LLMの活用には、様々なシステム・データベース・クラウドサービス間でのデータ連携が不可欠であり、クラウドネイティブのETL・データ連携プラットフォームへの需要は今後も拡大が続くと見られます。HULFT Squareはこの需要に対応する製品として開発されており、今投資している先行コストが将来の市場獲得に結びつけば、大きなリターンをもたらす可能性があります。

ポイント2:SAPのEOL(サポート期限)到来がデータ連携需要を押し上げる
SAP ECC 6.0の延長サポート期限(2027年を目途)が近づく中、S/4HANAへの移行プロジェクトが国内企業で相次いでいます。ERP移行に際しては周辺システムとのデータ連携の見直しが必要となるケースが多く、HULFTをはじめとするデータ連携ソフトウェアへの需要が高まります。

この需要の一部がセゾンテクノロジーの受託システム開発事業の落ち込みを補完する可能性があります。

ポイント3:自社プロダクトとIT人材不足が高収益化の鍵
データ連携市場は競合ベンダー(MuleSoft・Informatica・Talend等)が多く、差別化が重要です。日本市場でのHULFTのブランド認知と長年の導入実績は強みですが、クラウドネイティブの次世代製品(HULFT Square)での競争力をいかに確立するかが中期的な市場地位を決定します。

また、IT人材不足が続く環境でのソフトウェア製品による自動化・効率化提案が受託事業の付加価値向上につながります。


6. ITトレンド編集部の考察

FY2026通期を一言で表すなら「HULFT事業の高収益でHULFT Square投資を支える橋渡しの年」です。売上-10.1%・OI-25.2%という数字は厳しいですが、HULFT事業のOI率41.3%という圧倒的な収益力が存在する事実は、投資家に対して「HULFT Squareへの先行投資が報われれば、大きなアップサイドがある」というシナリオを示しています。

翌期の減収縮小(-3.7%)と配当90円維持は、経営陣の長期的な収益力への自信の表れです。中期目標のROE20%達成に向けては、HULFT Squareが損益分岐を超えて本格的な収益貢献に転換するタイミングが最大の分岐点となります。

IT・業務視点では、ETL・データ連携市場はAI活用の拡大とともに重要性が高まる領域であり、セゾンテクノロジーが持つ技術的な深みとHULFTブランドの強みは、中長期的な競争力の源泉として機能し続ける可能性があります。


7. まとめ

株式会社セゾンテクノロジーを一言で表すと、「高収益のHULFT事業を基盤にHULFT Squareという次世代データ連携プラットフォームへの投資を続けるデータ連携ソフトウェア企業」です。

2026年3月期通期(2025年4月〜2026年3月)の業績は、

  • 売上高219億17百万円(前期比-10.1%)
  • 営業利益16億2百万円(同-25.2%)
  • 経常利益16億20百万円(同-25.0%)
  • 純利益10億86百万円(同-27.9%)

と減収減益での着地となりました。HULFT事業はOI率41.3%の高収益を維持する一方、Data Platform事業(HULFT Square)の先行投資損失-33億47百万円が全社利益を圧迫しています。

自己資本比率は66.2%と財務健全性は維持されています。

翌期(FY2027)は売上高211億円(-3.7%)・営業利益15億円(-6.4%)と減少幅の縮小を計画しており、配当90円を維持する予定です。IT・業務視点では、HULFT Squareがいつ損益分岐を超えて収益貢献に転換するかが、中期的な成長シナリオの実現を占う最も重要な観察ポイントとなります。

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