「データ統合基盤」としての機能を向上

従来、ETL(Extract、Transform、Load)ツールは、企業で活用する複数のシステムから必要なデータを抽出し、適切な形式に変換・保存するための処理を施す、言わばデータウェアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)ツールへの効率的な橋渡しをするプロセスを担うシステムとされてきました。
しかし、ビッグデータの言葉で象徴されるようにオンラインとオフライン両面からの情報デバイス・情報接点・情報量の飛躍的な拡大により、ETLツールには次第にDWHなどのビジネスインテリジェンスツールとの連携性を強化し、そのパフォーマンスを向上させることが求められるようになりました。
この期待に応えるべく、現在、ETLツールは、企業内に分散するビジネスデータを集約・統合する「データ統合基盤」としての機能を向上させています。その先進的な事例を、いくつか紹介します。
進化1:データ統合基盤を構築し、データを資産化

三菱電機インフォメーションテクノロジーが開発した「データセントリックソリューション」は、社内で活用するさまざまな情報システムのデータソースを連携させる機能に優れたプラットフォームを活用して、PCやデバイスから漸次送られてくるデータを統合し、分析し、ログを管理して、データ抽出の効率化と統制を図ります。
これにより、社内システムの部分最適化を図り、抽出したデータをBIやERPといった基幹情報システムに即時活用可能な情報資産として活用していく、統一的なデータ統合基盤として機能していきます。
進化2:リアルタイムなデータ活用を推進

オラクル社では、独自に開発したETLツール「Oracle Data Integrator」とDWH「Oracle GoldenGate」の連携により、従来のETLツールのアーキテクチャ(構造)を組み換え、Extract(抽出)→ Load(格納)→ Transform(加工)のプロセスで処理を行うことにより、高速でのデータ変換とデータ変換処理コストの削減を同時に実現しています。
オラクル社は、これまでETLツールが行っていた、中間サーバにデータを取り込んでデータ変換や出力先システムとの突き合わせを行うプロセスをDWH側に集約することで、各システムのデータベースから常に必要なデータを送り続け、受信側でデータを高速に変換する仕組みを構築。リアルタイムに近いかたちでデータを処理・活用するデータ統合基盤を完成させています。
進化3:分散するデータをグラフィカルに可視化

IBMと日立製作所が協働して提供する「DataStage」は、ビジネスインテリジェンスのリソースとなるデータがERPやCRMなどのシステム単位に分散されていることに着目し、各データの所在をアイコンやフローチャートで表示するGUIベースのプラットフォーム上でデータ処理を行う開発者向けのETLツールです。
システムごとに異なるデータ形式やカテゴリーを一元的に集約し可視化することにより処理の流れを明確にし、ETLのプロセスに大規模開発や仕様変更に対応する柔軟性と、開発工数を1/2〜1/4レベルまで軽減する生産性の向上を実現しています。
ビジネス価値を見出すためのETLツールへ
“社内に分散するスモールデータの抽出”から“ビジネス価値を見出すためのデータ統合基盤”へと、進化を加速するETLツール。
ETLツールでのデータ統合は、分析やビジネスインテリジェンスのプロセスに、より高次元の価値創出に集中する機会を提示し、IT投資の最適化へと結びつきます。
そして、ビジネスインテリジェンス・プロセスの最適化は、ビジネスのチャンスを的確に捉える迅速な経営判断や業務執行を実現します。
ぜひ、皆様の企業に最適なETLツールを導入し、新たなビジネス価値を見出してください。