ETLとは
ETLとは、「Extract (抽出)」「Transform (変換)」「Load (書き出し)」の略語です。社内外に分散するデータソースから必要なデータを抽出し、扱いやすいフォーマットに変換して、DWH(データウェアハウス)に書き出します。一般的に、DWHにデータを保存する際の前処理として実施されます。
ETLの課題
従来、データ処理を行うためには、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを活用するのが一般的でした。しかし、企業が扱うデータの量や種類が大きくなった昨今、これらのデータフローを手動で行うには、多くの手間と労力を要します。さらに、ExcelやGoogleスプレッドシートで加工処理するには、関数やマクロなどの知識も必要です。
そのため、気づけば各システムにデータが散在したままの状態や、格納されたデータが長期間手つかずとなった状態が多くありました。
ETLツールの必要性・メリット
ETLツールは、データ抽出から変換、加工、書き出しまでのETLプロセスを自動化するツールです。ETL処理工数の大幅な削減が可能になるほか、誰でも簡単かつ正確にデータ統合できるようになります。ETLツールを活用する主なメリットは、以下のとおりです。
- ●データ処理にかかる時間やコストが大幅に短縮する。
- ●フォーマットや蓄積場所の異なるデータを統合的に整理できる。
- ●データの重複や誤り、表記揺れなどが自動で修正されるため、高いデータ品質を確保できる。
- ●直感的な操作性のツールが多く、専門知識がなくても容易に扱える。
- ●自社独自のデータ連携ツールやデータ分析基盤として、ETLツールを活用できる。
ETLツールの必要性やメリットについては以下の記事でもまとめているので、あわせてご覧ください。
ETLツールの基本機能
ETLツールの主な機能を紹介します。
データ抽出機能(Extract)
複数のデータソースから必要なデータを収集する機能です。データベースやAPI、ログファイル、スプレッドシートなど対象ソースは多岐にわたります。一貫性を保つために、正確な形式でデータを取得することが重要です。抽出機能では、データの欠損や冗長データの確認が行われます。
データ変換・加工機能(Transform)
抽出されたデータを目的の形式や仕様にあわせて整形する機能です。通貨の単位を統一したり日付形式を変換したりするなど、クリーニングや標準化、結合、集約などが行われます。変換・加工機能によりデータの品質が向上し、分析や利用に適したデータ形式に整えられます。
データ書き出し機能(Load)
変換後のデータをDWHや分析ツール、データベースなどに保存する機能です。書き出し方法は、インクリメンタルロード(更新分のみ)やフルロード(全データの上書き)など、プロジェクトの要件にもとづいて選択します。
データの書き出しでは、大量データの迅速かつ効率的な処理が必要です。そのためDWHへ格納する際には、DWHが備える「インポート命令」機能を利用するのが一般的です。SQLのもつ「行追加命令」よりも、一度に大量のデータを高速で取り込めます。
ETL機能は、製品ごとに性能や強みが異なります。ETLへの理解を深めるためにも、資料請求を活用して情報収集してみましょう。
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ETLツールとDWH・BIツール・EAIツールの違い
ここでは、ETLを理解するうえで不可欠な関連システムについて解説します。
- ■DWH(Data Ware House:データウェアハウス)
- さまざまなシステムからデータを集めて整理するデータベース。ETLツールによって抽出・変換処理されたデータがDHWに統合される。定期的にデータを取得し、時系列に蓄積してデータを整えるのが役割。
- ■BIツール(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)
- 企業に蓄積されている膨大なデータを集約し、経営や業務に活用できるように分析・共有するためのツール。DWHに蓄積されたデータを活用して、BIツールで分析を行う。ビジネス上の問題点の分析や検証、経営計画・予算編成のためのシミュレーションなどに活用される。
- ■EAIツール(Enterprise Application Integration:エンタープライズアプリケーション統合)
- 複数の社内システムを連携し、データやプロセスの統合を図るツール。ETLツールが分散したデータを集約しDWHに保存する一方、EAIツールはシステム間のアプリケーションを統合しデータ連携するのが目的。
ETLツールとEAIツールの違いは以下の記事で詳しく紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
ETLツールの選び方
ETLツール選定時に抑えておくべき5つのポイントを紹介します。
- ■スムーズな接続性
- ETLツールが多様なデータソース(クラウド・オンプレミス・APIなど)と統合可能かを確認する。特にコネクトの有無が重要。必要なデータソースのコネクタが用意されていれば、スムーズなデータ連携が実現する。
- ■処理可能なデータ量
- ツールごとに対応可能なデータ量やパフォーマンスは異なるため、自社のデータ規模と処理ニーズにあったツール選択が必要。特に、膨大な量のデータを処理する場合には、処理可能なデータ量の確認が不可欠。
- ■高い操作性
- 特に一般従業員が利用する場合、非エンジニアでも扱いやすいUIかどうかが重要。操作性が高いほど導入効果が高まる。
- ■利用規模にあった料金体系
- ETLツールの料金体系は月額定額制と従量課金制があり、初期費用やランニングコストの総合的な検討が必要。無料版を提供する製品もあるが、データ量や処理回数に制限をもつ場合が多いため小規模利用に有効。
- ■サポートの質と範囲
- ツールによりサポート内容に差があるため、担当者の知識レベルによっては、導入後のトラブル対応や技術支援が受けられるかどうかが重要。海外製ツールは英語によるサポートが一般的のため注意が必要。
ツール選びのポイントをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。国内製や海外製の人気製品も紹介しているので、導入を検討したい方におすすめです。
まとめ
ETLとは、さまざまなデータソースからデータを抽出し、扱いやすいフォーマットに変換・加工し、DWHに書き出す処理です。ETLツールを活用すれば、各プロセスを自動化し、正確かつ効率的なETL処理が可能になります。ETLへの知識を深め、自社のデータ活用スピードを向上させましょう。
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