ETLとビッグデータの関係性は?
まずは、ETLとビッグデータの関係を見ていきましょう。
ビッグデータは分析しやすいよう加工しなければならない
社内に蓄積されたビッグデータは、それぞれのシステムの形式で保存されています。この状態では、データを形式ごとに分析しなければならないため非常に効率が悪いです。
実際に、各データ形式に合わせてプログラミングを行って、データ蓄積のシステムを開発しなければなりません。そのためには、データ形式の数に比例して要求される専門知識や開発工数が増えていきます。
その負担を減らして、ビッグデータを効率良く分析するためには、各データを特定の形式に加工することが求められるのです。
ETLツールは効率的にビッグデータを処理できる
ETLを活用すれば社内のさまざまなシステムからのデータ抽出を自動化できます。従来であれば、それぞれのシステムに応じた抽出プログラムの開発が必要でした。またデータソースの仕様変更にも対応しなければなりません。ETLを使えば、これらの負担が大幅に軽減できます。
また、ETLは抽出したデータを活用しやすい形式に加工・変換します。もし、ETLを使わずに手作業で加工を行えば人為的なミスが発生しやすく、貴重なデータの品質が悪くなります。ETLなら正確な変換が行え、また工程の自動化も可能です。
このように、ETLを活用することで自動的にビッグデータを処理でき、分析の効率化を図れるでしょう。
ETLとELTの違いは?
ETLとよく似た働きをするものに「ELT」があります。それぞれの特徴から、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
ETL:抽出・変換・格納の順に処理される
ETLとは「Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(格納)」の略であり、この順にデータを処理します。社内の各システムのデータをツールを使って抽出・変換し、DWH(データウェアハウス)に格納します。
注意点は、ETLを使えば知識がない人でも抽出・変換を自動化できるわけではないことです。既存のデータベースを処理する技術と、ETLを使いこなすために必要な技術は異なります。
ETLには既存環境にはない専用エンジンが必要になるため、プログラミングの知識や技術が求められます。
データ変換の環境を構築するために大きな時間と費用が必要です。既存の環境が複雑であればさらに負担が大きくなります。
ELT:抽出・格納・変換の順に処理される
ELTは、「Extract(抽出)・Load(格納)・Transform(変換)」の略であり、処理の順番がETLと異なります。ELTはETLのパフォーマンスを改善するために開発された手法であり、抽出してから格納までのサイクルをETLよりも短縮できます。
ETLとのもっとも大きな違いはデータを処理する場所です。ELTは抽出したデータを先にデータベース内に格納しそこで変換処理を実施します。そのため、ETLで必要だった変換処理のための専門エンジンはELTでは不要であり、データベースを処理する技術だけで対応できます。
しかし、加工前のデータをすべてデータベースに書き出すため、空き容量を圧迫してしまうことが多いです。また変換処理によりデータベースに大きな負荷をかけ、通常業務に影響を与える可能性もあります。
ビッグデータの分析に向いているのは?
現在では、ELTの方がビッグデータの活用に有利となってきました。その理由は大きくわけて2つあります。
1.ビッグデータの活用の幅がELTの方が広い
ETLの場合は、元データではなくクレンジングをした状態で保管されているため、入力ミスなどは排除されてしまいます。
しかし例えば、誤入力を改善するリストを作成するときは、ミスがあるビッグデータこそが必要になるでしょう。ELTの場合、ミスのままデータベースに保管され、活用する直前に目的にふさわしい変換を実施することが可能です。
2.クラウドのデータベースを利用しやすくなった
ELTは効率的ではあるものの、データベースの容量やリソースが重要となります。クラウドによって容量・リソースを柔軟に拡張できれば、負荷を気にせずデータ処理できるでしょう。
ETLとELTの違いを理解しビッグデータを有効活用しよう
ビッグデータを活用するためには、ETLやELTを利用するのが有効です。
もし、ツールを使わずに手作業で社内の多様なデータを処理すれば、膨大な時間とコストがかかるでしょう。そこでETLなどのツールを使えば、自動処理が可能となり効率化を図れます。中でも、よりパフォーマンスが高いELTの活用が注目されています。
ETLとELTの違いを理解し、自社に適した形でビッグデータを有効活用しましょう。