EAIとは
EAIとは、さまざまなシステムのデータを連携する技術・仕組みのことです。システム間のデータ連携が求められてきた1990年代後半にEAIツールが誕生しました。EAIツールが誕生する前は、企業内のシステムがそれぞれ独立していて、データ連携は簡単ではなかったのです。
データ活用が広まる中、企業は複数のシステム間でデータ連携するため、各システムに連携機能を拡張していました。しかし、開発に時間とコストがかかり、連携が複雑化することが課題として浮き彫りになりました。
そこで、システム間の接続口として誕生したのが、EAIツールです。EAIツールに連携処理を集中させ、スムーズなデータ連携を実現します。
ETLとは
ETLとは、データの抽出・変換・格納処理を行う技術・仕組みのことです。EAIよりもその歴史は古く、1970年頃に提唱されました。
企業内にある大量のデータをBIなどの分析に活かすため、DWHというデータベースにデータを集約します。その際に必要となるのがETLツールです。
各システムにあるデータはフォーマットが異なり、形式を統一させる必要がありました。専門知識がないとそれが困難でしたが、ETLツールによってデータは変換され、スムーズにDWHへ格納できます。
【使用目的別】EAI・ETLツールの違い
データ連携の観点では、EAI・ETLツールは同じようにみえますが、使用目的でみると違いがわかりやすいでしょう。

EAIの目的:システム間のデータ連携を高速で行うこと
各システム間のデータ連携を行うには、データの内容が重複しないようリアルタイムに同期させることが重要になります。システムの仕様変更やデータの更新などにより、データの内容が変わってしまうため、不定期にその都度データ連携しなければならないのです。
EAIツールは、イベント指向のデータ処理を得意としていて、複数の箇所に渡るデータとデータをつなぐために用いられます。つまり、システム間のデータ連携をスピーディーに行うならEAIツールが適しているのです。
ただし、データ処理にリアルタイム性が求められることから、処理できるデータ量には制限があります。
ETLの目的:企業内データを単一のDBに集約すること
「データをつなぐこと」を目的としているEAIツールに対して、ETLツールは「データを集約すること」が目的です。1つのデータベースにさまざまなシステムにあるデータを集約して、データ分析などに活用します。
そのため、処理できるデータ量は、EAIツールよりも多くなります。反面、高速なデータ連携には不向きです。定期的にデータを連動させるような処理は、ETLツールを用いるのが効果的でしょう。
【メリット別】EAI・ETLツールの違い
EAI・ETLツールともに、異なるシステム間のデータを連携し、業務改善や意思決定の迅速化が図れるという点では導入効果は同じです。しかし、その過程で得られるメリットは違います。それぞれ見ていきましょう。
EAIのメリット:多種多様なデータを連携できる
企業内で利用しているシステムは多種多様で、データ連携が難しい場合があります。しかし、EAIツールのアダプタ機能でほぼ対応できるでしょう。
アダプタとは、各システムとEAIツールをつなぐ接続口です。ほとんどのEAIツールでは、種類豊富なアダプタを搭載し、さまざまなシステムと連携できます。クラウド型EAIツールを使えば、クラウドサービスとの連携も容易になります。
ETLのメリット:大量のデータを整理できる
大量のデータをひとつにまとめる、というのは技術的に難しいことでした。データを集約するにあたり、やるべきことが多く、担当者の負担が大きかったのです。複数のシステムからデータを収集し、それをクレンジングして、まとめなければなりません。
こういった面倒な作業は、ETLツールによって簡潔化されます。ノンプログラミングで大量のデータを整理できることは、ETLツール最大のメリットといえるでしょう。
EAIとEDIの違いとは
EDIとは、企業間でデータをやり取りする際に使われる技術・システムのことです。専用回線を使って、企業同士をつなぎ、互いの情報を交換できます。紙ベースだったBtoBの受発注取引を電子化し、効率を上げることを目的としています。

EAIツールも外部のシステムデータと連携できることから、企業合併などに用いることもあり、EDIと似ているかもしれません。しかし、基本的にはEDIは企業間とのデータ連携、EAIは社内システム間のデータ連携、と考えられています。
EAIとETLの違いを理解して目的に応じたツールの選択をしよう
EAI・ETL・EDIの違いは以下のとおりです。
- ■EAI
- 社内システム間のデータ連携をスムーズにする
- ■ETL
- 大量のデータを整理して集約する
- ■EDI
- 企業間のデータ連携をスムーズにする
それぞれ目的・機能が異なりますので、データ処理の目的に応じたツールの選択が求められます。最適なツールを導入して、データ処理を効率化させましょう。