EAIとは?
EAI(Enterprise Application Integration)は、異なるシステム間のデータやプロセスを統合する手法やツールを示し、EAI製品は各システムの間に入り「システム連携」の仕組みとして、変換・統合などの各種機能で構成されています。
EAIでは、個別のシステム間の連携ではなく、1対複数、複数対複数の連携を可能にする柔軟なシステム基盤を作ることができます。
例えば企業内には、勘定系や事務系、あるいは販売管理や在庫管理などのシステムがばらばらに導入されアップデートされてきています。もちろん、システム環境もUNIX系であったり、Windows系であったりと様々です。アプリケーションもオフィス系、データベース系、ウェブ系とこれも様々です。

これらの異なる環境のデータを有機的に連携し、社内の情報資産をより有効に活用できることによって、意思決定や経営判断のスピード、精度を上げることがEAIによって可能になります。
EAIは、主に以下のツールで構成されています。
- ・アダプタ: 各システムへのインターフェイスを提供する
- ・フォーマット変換: 異なるシステム間のデータ形式を吸収する
- ・プロトコル変換: データの受け渡しルールの違いを変換吸収する
- ・ルーティング: データの内容によって適切なシステムに振り分ける
- ・プロセス制御: 実際の業務に合わせて各ツールを組み合わせて構築する

EAIが必要とされてきた背景
企業内には、部門ごとあるいは業務ごとに最適化されたITシステムを個別に導入してきた結果、企業内に複数のシステムが独立して運用される状態ができあがってきました。
しかし市場のニーズが多様化し、競争がグローバル化することで、経営判断にはより一層のスピードが求められるようになりました。企業内で個別に存在する経営情報を統合して素早くアウトプットする必要に迫られるようになったのです。
そこで個別にシステム間の連携を実現するための開発が行われてきましたが、いくつかの問題が出てきました。それは、システムごとに増加していく開発費、連携ごとに必要な技術者の育成、場当たり的な開発によるシステムの信頼性低下などです。
これらの問題を解決するために、EAIの必要性が高まってきました。
EAIに必要な機能
EAIには、単純なタイプと、より高度なタイプの2種類があります。
単純なタイプは、複数のシステムが管理しているデータを、業務が行われていない夜間などに、バッチ処理的にデータ統合する仕組みです。この仕組みがあるだけでも、社内のデータが統合され、重複の無い精度の高いデータが用意され、経営プロセスの効率を高めることができます。
一方、より高度なタイプでは、リアルタイムで複数のシステム間のデータ交換を可能にし、あるシステムでの処理結果を瞬時で別のシステムに反映させる事ができます。
このタイプでは、システム間の中央に、統合データベースを構築することで、全社的な最新データが蓄積されていく機能が含まれます。このことによって、データの重複や不整合を防止することができ、スムーズなシステム連携を実現します。
EAIをクラウドデータと連係する
企業のクラウドサービス利用が広がりを見せる中で、EAIとクラウドの組合せのニーズも生じてきています。
しかし、多くのユーザーが、クラウドにデータを置くことに問題はないのだろうか、といった理由で躊躇しています。この懸念は、管理するデータ量に対する不安と、セキュリティーに対する不安に分かれます。
クラウドに膨大なデータを保存しようとすると、データ量に対する課金制度により、利用料が上がり続けてしまいます。
一つ目の管理するデータ量の不安に対する解決方法は、EAIを利用して、実データは社内のシステムに保存し、クラウドには最小限のデータあるいはデータの所在に関する情報をアップさせる方法です。ユーザーはクラウドを利用しているにも係わらず、実データは社内のシステムから提供されている、といったことが行えます。
次に二つ目のセキュリティーに対する不安ですが、これも様々な対策が採られており、問題は無いでしょう。
例えば、アクセス時にグローバルIPによる制限を掛ける、ログインできる時間帯に制限を設ける、パスワードの有効期限や複雑さのポリシーを設定する、などの対策が行われています。
また、クラウドサービスの提供事業者が実施しているセキュリティ対策は非常に高く、その信頼性はサービスの根幹でもあり、一般的なセキュリティレベルのユーザ企業内のシステムと比較して、その安全性が低いとは考えられません。
以上の様に、EAIとクラウドとの組み合わせは、今後導入例が増えていくと考えられます。