RPAとは?
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、ロボット(ソフトウェア)による業務自動化のことです。自動化は、機械学習や人工知能、ルールエンジンなどを駆使して行われます。そのソフトウェア自体をRPAと呼ぶこともあります。
デスクワークにおけるパソコンを使った単純作業を、ソフトウェアに代行させる際に役立っています。
デスクワークには、誰がやっても結果が変わらない単調な作業が多く存在します。あるシステム上のデータを他システムに転記する作業などはその良い例といえるでしょう。こうした単純作業をソフトウェアに一任できれば、従業員はより重要な業務に専念できます。
EAIとは?
EAIは「Enterprise Application Integration」の略で、個別の業務アプリケーションをデータ連携する仕組みや技術のことです。
所在とフォーマットが異なるデータ同士を連携させるものです。これにより、アプリケーションが分断されていることによる多くの不都合を解消できます。
たとえば、給与計算ソフトと勤怠管理システムがそれぞれ独立している場合、勤怠管理情報を給与計算ソフトに手入力しなければなりません。しかし、この2つのシステムをデータ連携できれば転記作業は必要なくなります。
ちなみに、EAIにおけるデータ連携にはプログラミングは必要ありません。EAIツールには処理フローのGUI化やアダプター機能など、ノンプログラミングでデータ連携する機能が備わっています。
RPAとEAIの違いは?
RPAとEAIは、従来は人手が必要だった作業を自動化できる点で共通しています。では両者の違いはどこにあるのでしょうか。
RPAは画面操作が得意
RPAは人の画面操作を認識し、それを真似ることで業務を自動化するものです。認識段階では、人の画面操作が何を意味するのか把握します。
たとえば、人が画面上で行う操作の例として、アイコンをクリックする場合やExcelのセルを選択・コピーする場合を考えてみましょう。この操作は、RPAに学習させて自動化可能です。その際、RPAは以下の3種類の方法で人の動作を認識します。
- 【座標指定】
- クリックした場所が画面上に何もない場所だった場合は、画面の端から「横に〇ピクセル」「縦に〇ピクセル」をクリックしたと認識します。
- 【画像認識】
- 基幹システムの操作画面が表示されているのであれば、特定のアイコンをクリックしたと認識します。
- 【構造的に検出】
- Excelブックのあるシートが表示されている画面だった場合は、シート上の特定のセルをクリックしたと認識します。
RPAは、このようにして人の画面操作を学習して、自動化します。具体的には以下のような作業が得意です。
データ出力
基幹システムの操作画面にデータダウンロード機能があれば、RPAでダウンロードして利用できるのでレポート作成などの業務で効果を発揮するでしょう。
たとえば、売上情報や支払情報などをレポートとして出力するには、それらの情報を収集しなければなりません。RPAを活用すればデータの収集からレポート出力までの一連の業務を自動化できます。
また、この機能はWebマーケティングにおいても有効です。
たとえば、自社Webサイトのアクセス解析やレポート作成をすべて手作業で行うのは大変です。RPAによってそれらの作業を自動化すると、レポート作成後に行うプロモーション企画の立案などに、より注力できるでしょう。
データのコピペ作業
デスクワークにおいて、あるシステムから別のシステムへデータを転記する作業は少なくありません。そこでRPAを活用すれば、そのコピペ作業をすべて自動化できます。手間だけでなく人為的ミスも減らせるでしょう。
たとえば、複数あるExcelファイルの内容を、1つのExcelファイルにまとめなければいけない場面があるでしょう。これを手作業で行う場合、元のExcelファイルを開いて内容をコピーし、まとめ先のExcelファイルにペーストするのを何度も繰り返さなければなりません。
しかし、コピーするExcelファイルの数やフォーマットが常に同じであれば、一連の操作を記録し、それを再生することで作業を自動化できます。
ただし、コピーするExcelファイル数やフォーマットが変わるのであれば、こうした対処は不可能です。その場合はExcel・RPAツールのいずれの場合もマクロを組まなければなりません。
EAIはデータの移動や操作が得意
画面の操作によってデータを扱うRPAに対し、EAIはデータそのものを扱うことに長けています。EAIが備えている以下の特徴がそれを実現しています。
- アダプタ機能
- 接続先のシステムやデータベースに合わせた接続口を用意します
- フォーマット変換機能
- データの形式を変換します
- フロープロセッサ機能
- 出力されたデータを目指すシステムに振り分けます
- ワークフロー機能
- 上記の一連の機能を統合してデータを流します
では、これらの特徴が業務にどのような影響を及ぼすのか見ていきましょう。
データ連携
EAIのアダプタ機能を使うことで、異なるシステム間でのデータ連携が実現します。特に、画面上の操作ではデータ連携が難しい場合に効果を発揮します。
RPAでもデータ連携は不可能ではありません。しかし、RPAはあくまで画面上の操作を代行するものです。したがって、繰り返しやエラー制御など、画面上の操作でデータ連携ができない場合は、RPAによるデータ連携は困難になります。
一方、EAIならそういった制約を受けることなく連携可能です。EAIの具体的な活用場面としては、基幹システムと各業務システムの連携などがあります。連携することで情報を基幹システムに一元化できます。
データ変換
いくらシステム同士を接続しても、それぞれのシステムで扱えるデータの形式やプロトコルが異なれば、データの受け渡しは不可能です。しかし、EAIに備わっているフォーマット変換機能がその問題を解決します。
この機能があれば、CIIやUN/EDIFACTを始めとしたEDI標準から各種RDB、そのほかXMLやSAP IDocなど多種多様なデータ形式やプロトコルを変換可能です。
なお、フォーマット変換の性能がデータ連携の処理速度を左右しますので、性能確認が不可欠です。フォーマット変換機能はアダプタ機能とともにEAIの両輪をなす機能といえるでしょう。
RPAとEAIのどちらを使う?
RPAは人が画面上で行う操作をソフトウェアに代行させるものです。したがって、画面上での操作が可能な作業の自動化に適しています。例として、以下のようなケースに向いています。
- ■IDやパスワードの入力を自動化したい
- ■画面上で行うダウンロードを自動化したい
- ■既存のアプリケーションをそのまま利用したい
- ■データベースには直接アクセスできない
一方、画面上の作業にこだわることなくシームレスなデータ連携を行いたい場合はEAIが適しています。たとえば、以下のようなケースにはEAIが良いでしょう。
- ■複数のシステムを連携させたい
- ■データの分析や加工も行いたい
- ■既存のアプリケーションは廃止したい
それぞれに適している場面があるため、どちらを導入すべきかは、どのような成果を得たいのかによって変わります。場合によっては両者を併用したほうが良いこともあるでしょう。
必要に応じてRPA・EAIを導入し、業務の効率化を!
RPAは、パソコンを用いた単純なデスクワークを代行するソフトウェアです。パソコン画面を操作して行う定型業務を自動化できます。一方、EAIはシステム間のデータを連携する技術や仕組みのことです。さまざまなシステムがシームレスにつながるため、入力されたデータは全てのシステムで利用できるようになります。
それぞれに長所があるため、自社が実現したいことを明確にしたうえで適しているほうを導入しましょう。