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多要素認証(MFA)ツールの運用体制を整えるポイント|情シス1人体制・テレワーク・スマホなしの社員への対応策を解説

多要素認証(MFA)ツールの運用体制を整えるポイント|情シス1人体制・テレワーク・スマホなしの社員への対応策を解説

多要素認証(MFA)ツールは導入するだけでなく、日常的な運用体制をどう整えるかが長期利用のカギです。情報システム担当者が1名しかいない中小企業では、ユーザーの機種変更対応・アカウント追加・パスワードリセット依頼がすべて担当者に集中すると運用が破綻しかねません。一方、全国に支店がある企業では拠点ごとの管理が煩雑になります。この記事では、運用負荷を下げながらMFAを安全に継続するための体制づくりと製品選定のポイントを解説します。

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目次

    MFAツールを選ぶ前に確認すべき運用体制の前提

    MFAツールの選定は機能比較だけで判断せず、「誰が管理するか」「ユーザーがどこでどのように使うか」「トラブル時に誰が対応するか」という運用体制の前提から整理することが重要です。

    「管理者側」「ユーザー側」それぞれの運用負荷を整理する

    MFAツールの運用負荷は、管理者(情報システム部門)とユーザー(一般社員)の双方に発生します。管理者側の主な作業は、ユーザーアカウントの作成・削除・認証デバイスの登録・ポリシー変更・ログ確認・トラブル対応です。これらを手動で行う場合、社員100名規模でも入退社のたびに数十分の工数がかかり、専任担当者が不在になると滞りやすくなります。ユーザー側の負荷としては、初回の認証デバイス登録・スマートフォン機種変更時の再登録・ログインできなくなったときの問い合わせなどが挙げられます。

    MFAツールを選定する際は、これらの作業をどれだけ自動化・セルフサービス化できるかを確認することが、導入後の運用コストを大きく左右します。「管理者が手動で行う作業一覧」と「ユーザーが自分で行える作業一覧」をベンダーに確認してから比較することをおすすめします。

    初期設定・継続運用・有事対応の3フェーズで工数を見積もる

    MFAツールの運用工数は、「初期設定フェーズ(導入時の全社展開・ユーザー登録)」「継続運用フェーズ(日常のアカウント管理・ポリシー更新)」「有事対応フェーズ(ロックアウト解除・デバイス紛失対応・緊急のアクセス制御)」の3段階に分けて見積もることが大切です。初期設定で最もコストがかかるのは、全社員への認証デバイス配布と初回登録のサポートです。認証アプリのインストール手順書やオンボーディング動画が提供されているかどうかで、初期展開の工数が大きく変わります。

    有事対応では、「ユーザーがスマートフォンを忘れた・紛失した」「ログインできない」という問い合わせへの対応が情シスの工数を圧迫します。バックアップ認証コード・緊急ログイン手段の設計を導入前に決めておくことで、有事の対応時間を短縮できます。これら3フェーズの工数をベンダーに質問して試算しておきましょう。

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    情シス1人体制でも回せる自動化・セルフサービス機能

    専任の管理者が少ない企業でMFAを安定運用するには、自動化とセルフサービス化による「管理者への問い合わせ件数の削減」が最優先の選定基準です。

    セルフサービス登録・機種変更対応でヘルプデスク依頼を減らす

    ユーザーが自分で認証デバイスの初回登録・スマートフォン機種変更時の再登録・バックアップコードの確認を行えるセルフサービスポータルを持つMFAツールを選ぶことで、情シスへの問い合わせ件数を大幅に削減できます。スマートフォンの機種変更は、社員が多い企業では年間に相当な件数が発生します。これを情シスが一件ずつ対応するのではなく、ユーザーが本人確認を経て自分で再登録できる仕組みがあれば、担当者の工数を実質的にゼロに近づけられます。

    また、「パスワードを忘れた」「ロックアウトされた」という問い合わせに対応するセルフサービスパスワードリセット機能(ユーザーが自分で本人確認をしてパスワードを変更できる機能)も、情シス1人体制では特に重要です。これらのセルフサービス機能の充実度を、製品評価時に必ず確認しましょう。

    SCIM・AD連携によるアカウント管理の自動化

    入社・退社・異動のたびにMFAのユーザーアカウントを手動で作成・削除する作業は、情シスが少ない環境では特に負担です。SCIM(System for Cross-domain Identity Management:ユーザー情報を複数システム間で自動同期する規格)に対応したMFAツールを選ぶことで、人事システムやActive Directory(社内ユーザー管理システム)とのデータ連携によりアカウントの作成・無効化を自動化できます。退職者のアカウントが削除されないまま残るという「アカウントの放置リスク」も、SCIM連携で防止できます。

    クラウドSaaS型のMFAツールは、初期設定が管理コンソール上のGUIで完結するため、オンプレミスのサーバー構築が不要で、情シスが1名でも導入・設定を進めやすい利点があります。「セットアップに何日かかるか」「専門的なネットワーク知識が必要か」をベンダーのデモやトライアルで事前に確認しておきましょう。

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    テレワーク・多拠点展開でのMFA一元管理

    リモートワークが定着した環境では、VPN経由や直接クラウドへのアクセスでのMFA運用が必要です。全国に拠点がある場合は、本社から全拠点のアクセスポリシーを一括管理できる体制が求められます。

    VPN+プッシュ通知認証でリモートアクセスを安全に保護する

    テレワーク環境では、社員が自宅や外出先から社内VPN(Virtual Private Network:暗号化されたリモートアクセス回線)や社内システムにアクセスする際のセキュリティが課題です。ID・パスワードのみのVPN認証はパスワード漏えいによる不正アクセスのリスクがあるため、MFAの追加が推奨されます。スマートフォンへのプッシュ通知認証(ログイン要求が届き、承認ボタンを押すだけで認証できる方式)は、ワンタイムパスワードの入力が不要なため、テレワーク中の社員にとって操作が簡単で受け入れやすい認証方式です。

    VPNとMFAを連携させる方法としては、RADIUSプロトコル(ネットワーク機器への認証を実現する標準プロトコル)を使う方式か、SSO(シングルサインオン)経由でVPNクライアントと連携する方式があります。既存のVPN機器やSSO環境との互換性を確認してから製品を選ぶことで、追加のネットワーク機器を導入せずに済むケースもあります。

    全国拠点から本社でアクセスポリシーを一括管理する方法

    全国に支店・営業所を持つ企業では、拠点ごとに別々のMFA設定を管理するのではなく、本社の情報システム部門が単一の管理コンソールから全拠点のアクセスポリシー・ユーザー管理・ログ確認を一括して行える体制が理想的です。クラウド型のIDaaS(Identity as a Service)は、拠点を問わずインターネット経由でアクセスできるため、全国どこの支店のユーザーでも同じ認証基盤で管理できます。「支店ごとに管理者を置く必要があるか」「本社から全ユーザーのアカウントを操作できるか」を製品評価時に確認しましょう。

    また、拠点ごとに異なるアクセス要件(本社は高セキュリティポリシー、営業外勤はモバイル端末からのアクセスを許可など)に対応するため、グループ・部署・場所に応じた条件付きアクセスポリシーの設定が柔軟にできるかどうかも選定ポイントです。シンプルすぎる管理画面では細かいポリシー設定ができず、後から制約が発覚するケースがあります。

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    スマートフォンを使わない社員への代替認証手段

    MFAツールを全社展開する際に必ず直面するのが、「個人スマートフォンを業務に使わせたくない」または「スマートフォンを持っていない」社員への対応です。スマホ認証以外の代替手段をあらかじめ用意しておくことが、全社展開の成否を左右します。

    派遣・アルバイト向けのハードウェアキー・ICカード代替

    派遣社員やアルバイトに個人スマートフォンを業務の認証に使わせることに抵抗がある場合や、スマートフォン自体を持っていないスタッフがいる場合には、ハードウェアセキュリティキー(YubiKeyなど)またはICカードを代替認証手段として採用することが有効です。ハードウェアキーはUSBポートに挿す、またはNFCでタッチするだけで認証できるため、IT知識がない派遣スタッフでも直感的に使えます。「PCに挿したまま使える」タイプのキーは、デスクワーク環境での運用に向いています。

    ただし、ハードウェアキーには1本あたりの購入コストが発生するため、派遣・アルバイトスタッフの入れ替わりが多い環境ではキーの回収・再発行の管理ルールを整備しておく必要があります。紛失時の対応フロー・鍵の管理台帳の整備を導入前に決めておくと、運用がスムーズに進みます。

    経営陣・ITが苦手なユーザー向けの生体認証活用

    パスワードの管理が苦手な経営幹部や年配の社員に対して、顔認証や指紋認証でワンタッチでログインできる生体認証を採用すると、パスワード入力の手間を完全に省きながら高いセキュリティを維持できます。Windows 10・11に標準搭載されているWindows Hello for Business(顔認証・指紋認証でWindowsへのサインインを実現する機能)を活用することで、対応するPCであれば追加デバイスなしで生体認証によるMFAを実現できます。FIDO2に準拠したWindows Hello for Businessは、パスワードレス認証の国際標準規格に対応しているため、セキュリティ強度も高い選択肢です。

    生体認証を導入する際は、対象PCのハードウェア要件(顔認証用カメラ・指紋リーダーの搭載有無)を事前に確認し、対応していないPCへの別の認証手段も準備しておくことが重要です。生体認証が使えない端末向けのバックアップ認証(PINコード・ハードウェアキーなど)の設計をあわせて検討しておきましょう。

    関連記事 多要素認証ツール13選を徹底比較!選び方のポイントも解説

    まとめ

    多要素認証(MFA)ツールの運用体制を整えるには、セルフサービス機能・SCIM連携・管理コンソールの使いやすさを選定基準に加えることが重要です。情シス1名体制ではセルフサービス化、テレワーク環境ではVPN連携とプッシュ通知認証、スマートフォンを使わない社員にはICカードや生体認証の代替手段を用意することで、導入後の運用負荷を最小限に抑えられます。ツール選定時は無料トライアルや問い合わせをあわせて活用し、自社の運用体制に合った製品を選んでください。

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