資料請求リスト
0

多要素認証(MFA)ツールの運用で失敗しないために|よくある4つの失敗パターンと事前対策

多要素認証(MFA)ツールの運用で失敗しないために|よくある4つの失敗パターンと事前対策

多要素認証(MFA)ツールは導入するだけではなく、「万が一MFAが使えなくなったときも業務を止めない」という運用設計まで考えておくことが重要です。情シス担当者が設定ミスで全社員をロックアウトしてしまうケース・オンプレミスサーバーの障害でMFA認証が止まるケース・ネットワーク障害時にログインできなくなるケース・テレワーク中に通信圏外でMFAを受け取れないケースなど、運用の落とし穴は複数あります。この記事では、MFA運用でよくある失敗パターンと防止策を解説します。

\ 先月は3,000人以上の方が資料請求しました /
目次

    MFA運用でよくある4つの失敗パターン

    MFAツールの運用失敗は「セキュリティ機能が逆に業務を阻害する」という皮肉な結果を招きます。導入前に代表的な失敗パターンを把握しておくことで、同じトラブルを未然に防げます。

    失敗パターン別の発生原因と影響

    MFA運用の失敗パターンは大きく4つに分類できます。(1) 設定ミスによる全社ロックアウト(MFAポリシーの誤設定で、管理者を含む全ユーザーがシステムにログインできなくなる)、(2) 単一障害点による認証停止(オンプレミスのAD同期サーバーやRADIUSサーバーが障害を起こすと、それに依存するクラウドMFAの認証も停止する)、(3) ネットワーク障害時の認証不能(クラウド型MFAがインターネットに接続できないとMFA認証自体が機能しなくなる)、(4) 通信環境の問題による認証不能(スマートフォンへのSMSやプッシュ通知が届かない場所ではMFAを完了できない)です。

    これらの失敗パターンは、いずれも「MFA機能は正常でも、外部依存のコンポーネントに障害が起きると認証できなくなる」という共通の構造を持っています。MFAツール自体の機能を選定するだけでなく、「MFAが使えなくなったときのフォールバック手順(代替の認証方法や一時的なMFAの無効化手順)」を事前に設計することが、運用失敗を防ぐための最重要ポイントです。

    ■全社ロックアウトの防止策
    管理者アカウントのMFA緊急バイパス手順を事前に設定・文書化。管理者が複数名いる場合は少なくとも1名は別の緊急アクセス手段を持つ
    ■単一障害点の解消
    AD同期・RADIUSサーバーを冗長化(複数のサーバーを用意)するか、クラウドネイティブのMFAを採用して単一サーバーへの依存をなくす
    ■ネットワーク障害時の対策
    オフライン認証に対応したMFA方式(TOTPはオフラインでもOTP生成が可能)やキャッシュ認証機能を持つ製品を選ぶ
    ■通信圏外・海外での認証不能対策
    SMS・プッシュ通知に依存しないTOTPアプリ(インターネット不要で使える)・ハードウェアトークンを代替手段として用意

    失敗を招く「設計の甘さ」の共通点

    MFA運用の失敗事例を見ると、いくつかの共通した設計の甘さが浮かび上がります。最もよくあるのが「緊急時の手順を事前に文書化していない」という点です。MFAが使えなくなったときに誰が・どの手順で対応するかを明文化しておかないと、障害発生時に対応できる人がいない、対応方法が分からないという事態になります。特に情報システム担当者が1~2名という中小企業では、担当者本人もロックアウトされて対応できなくなるリスクがあります。

    もうひとつの共通点は「テスト環境での十分な検証なしに本番に展開してしまう」という問題です。MFAポリシーの設定変更は、一部のユーザーや端末でテストしてから全社展開することが基本です。「全員に一気にMFAを義務化したところ、特定のVPNソフトとの相性問題で業務が止まった」というケースは、段階的なテスト展開で防げることがほとんどです。展開計画に「一部ユーザーでのパイロット運用期間(試験的に限定的なグループで先行導入する期間)」を必ず組み込みましょう。

    関連記事 多要素認証とは?多段階認証との違いや活用シーンを解説

    全社ロックアウトと単一障害点のリスク

    MFA運用の失敗の中でも特に深刻なのが、全社員が業務システムにアクセスできなくなる全社ロックアウトと、1箇所の障害が全体に波及する単一障害点の問題です。それぞれの発生メカニズムと防止策を解説します。

    情シス自身もロックアウトされる全社ロックアウトの防止

    全社ロックアウトは、MFAツールの管理者がポリシー設定を誤ったときに発生します。例えば「全ユーザーにMFAを強制する」というポリシーを有効にした際に、緊急時のバイパス手順(MFAを一時的にスキップして管理画面に入る方法)を設定していなかった場合、設定ミスがあっても修正するために管理画面に入れないという最悪の事態が起きます。情報システム担当者が1名しかいない環境では、担当者自身もロックアウトされて誰も対応できない状況になります。

    全社ロックアウトを防ぐには、(1) 管理者アカウント専用の「緊急アクセスアカウント(Break Glass Account:MFAを免除した緊急用の管理者アカウント。通常はロックした状態で保管)」をMFAツールで作成・保管しておく、(2) ポリシー変更は必ず「一部のテストユーザーグループのみに適用→問題がなければ全体に適用」という段階的な手順で行う、(3) ベンダーサポートが緊急時に管理者認証をリセットしてくれる手順を確認しておく、という3点が重要です。特に緊急アクセスアカウントは、紙に印刷して金庫で管理するなど「絶対に失わない方法」で保管することが推奨されます。

    AD同期サーバーの障害がMFA認証を停止させる問題

    オンプレミスのActive Directory(AD:社内のユーザー管理基盤)とクラウドMFAツールを同期させている環境では、RADIUSサーバーやパススルー認証・フェデレーションなど認証処理に関わるオンプレミスコンポーネントが停止すると、MFAやログインに影響するケースがあります。

    社内サーバーが物理障害・OSアップデート・メンテナンスで停止した瞬間に、クラウドのMFAも連鎖して認証不能になるという「単一障害点(Single Point of Failure:1か所の故障が全体の障害を引き起こす設計上の問題)」です。

    この問題の対策は、(1) AD同期ツールやRADIUSサーバーを2台以上の冗長構成(どちらかが止まっても認証を継続できる設計)にする、(2) クラウドネイティブのMFAに全面移行して、オンプレミスサーバーへの依存を排除する、(3) AD同期サーバーの障害を監視・アラートする仕組みを整える、のいずれかで解決できます。特に情シス担当者が少なく障害対応に時間がかかる環境では、クラウドネイティブのMFAに移行してオンプレミスサーバー依存を減らすことが、運用の安定性向上につながります。

    関連記事 多要素認証とは?メリット・デメリット、認証方式も解説

    ネットワーク障害と通信圏外での認証不能

    クラウド型MFAはインターネットとの通信を前提とするため、ネットワーク環境に依存します。社内ネットワーク障害・テレワーク中の通信問題・海外出張時の通信制限など、通信環境の問題でMFAが使えなくなるケースを解説します。

    社内ネットワーク障害でMFA認証が止まるリスク

    クラウド型MFAツールは、ユーザーがログインする際にMFAサーバー(クラウド上にあるMFAの認証基盤)と通信して認証処理を行います。社内ネットワークに障害が発生してインターネットに接続できない状態になると、クラウドMFAサーバーとの通信ができなくなり、「目の前の社内PCにすらログインできない」という事態が起きることがあります。オフィス内の業務は継続したいのに、MFAの通信障害でシステムが一切使えなくなるという逆説的な問題です。

    この問題への対策として、(1) TOTP方式やローカルキャッシュ認証など、ネットワーク障害時にも利用できる認証方式・運用手順を確認する、(2) ネットワーク障害時の業務継続手順(特定システムへの一時的なMFAバイパス手順)を文書化しておく、(3) 障害発生時に利用できる代替ネットワークや緊急連絡フローを整備するなどの対策が有効です。

    関連記事 2faとは?認証方法の仕組みについて解説!

    テレワーク・海外出張でのSMS・プッシュ通知不能

    テレワーク中にスマートフォンの電波が届かない場所にいるユーザーや、海外出張中で現地のSIMを使っているユーザーが、SMSやプッシュ通知によるMFA認証を受け取れず、VPNや業務システムにログインできなくなるケースがあります。「海外のホテルのWi-Fiは使えるが日本の携帯番号にSMSが届かない」「地下の会議室でスマホの電波がない」という状況では、SMSやキャリア回線に依存したMFA方式は機能しません。

    この問題の解決策として、(1) SMSではなくTOTPアプリ(Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticatorなど:インターネット接続なしでもOTPを生成できる)を標準の認証方式として採用する、(2) ハードウェアセキュリティキー(YubiKeyなど:通信不要でFIDO2認証ができる物理デバイス)を出張が多い社員に支給する、(3) バックアップコード(緊急時に使えるワンタイムパスワードのリスト:事前に発行して安全な場所に保管しておく)を用意する、という3つのアプローチが有効です。テレワークや海外出張が多い企業では、通信に依存しない認証手段を必ず代替オプションとして提供しておきましょう。

    多要素認証(MFA)ツール の製品を調べて比較 /
    製品をまとめて資料請求! 資料請求フォームはこちら

    MFA運用失敗を防ぐ事前設計のポイント

    MFA運用の失敗は、多くの場合「導入後の対応ではなく、導入前の設計で防げる」問題です。展開前に確認すべきポイントを整理します。

    展開前に用意すべき緊急時対応手順

    MFAツールを全社展開する前に、「MFAが使えなくなったときにどうするか」を具体的な手順として文書化しておくことが不可欠です。緊急時対応手順には、(1) 緊急アクセスアカウントの場所と利用手順、(2) ベンダーサポートへの緊急連絡先(電話番号・対応時間帯・対応可能なトラブルの範囲)、(3) 特定のシステムへのMFAバイパス手順(業務継続性の観点から一時的にMFAを解除できる操作)、(4) MFA障害発生時の社内連絡フロー(誰が誰に何を連絡するか)を含めておきましょう。

    特に「ベンダーサポートが緊急時に対応可能かどうか」は製品選定の段階で確認すべきポイントです。夜間・休日に障害が発生したときに電話サポートが繋がるかどうかは、情シス担当者の休日出勤リスクに直結します。SLA(サービスレベル合意)に緊急対応時間(例:重大障害は4時間以内に対応)が明記されているか、日本語での緊急サポートがあるかを選定基準に加えると安心です。

    パイロット運用から始める段階的な展開計画

    MFAツールの全社展開を一度に行うと、設定の問題・ユーザーの操作習熟度・既存システムとの相性など、複数の問題が同時に発生するリスクがあります。全社展開で失敗しないための基本は「パイロット運用(先行導入)→課題の洗い出しと修正→段階的に対象を拡大する」という3段階アプローチです。パイロット対象は「ITリテラシーが高い部署の数名~十数名」が適切で、運用開始後1~2週間は問い合わせ対応の体制を強化しておきましょう。

    パイロット運用中に確認すべき事項は、(1) ユーザーが自分でMFAアプリを設定できるか(セルフエンロールメントの手順が明確か)、(2) 既存の業務システム・VPN・グループウェアとの認証がスムーズに動作するか、(3) 認証に失敗した場合の再試行・ヘルプデスクへの問い合わせ手順が機能しているか、(4) MFAの通知遅延・未着が発生していないかです。パイロット期間中に問題を修正してから全社展開することで、大規模な運用失敗を防げます。

    関連記事 多要素認証ツール13選を徹底比較!選び方のポイントも解説

    まとめ

    MFAツールの運用失敗を防ぐには、全社ロックアウト対策(緊急アクセスアカウントの用意)・単一障害点の解消(サーバー冗長化またはクラウドネイティブ移行)・ネットワーク障害時のフォールバック手段(TOTPやハードウェアトークン)・海外・通信圏外での代替認証手段の4点を事前に設計することが重要です。パイロット運用から段階的に展開し、緊急時の手順を文書化してから全社展開することで、運用の安定性を高めることができます。

    \ 先月は3,000人以上の方が資料請求しました /
    新NISAに関する実態調査アンケート

    アンケート回答者の中から毎月抽選で10名様に

    Amazonギフトカード1,000円分が当たる!

    電球

    ITトレンドMoneyみんなのおサイフ事情では

    「新NISAに関する実態調査」をしております。

    ぜひご協力ください。

    it-trend moneyロゴ
    新nisaアンケートロゴ
    \匿名OK!カンタン2分で完了/アンケートに答える
    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「多要素認証(MFA)ツールの運用で失敗しないために|よくある4つの失敗パターンと事前対策」というテーマについて解説しています。多要素認証(MFA)ツールの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
    このページの内容をシェアする
    facebookに投稿する
    Xでtweetする
    このエントリーをはてなブックマークに追加する
    pocketで後で読む
    ITトレンドへの製品掲載・広告出稿はこちらから
    多要素認証(MFA)ツールの製品をまとめて資料請求