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多要素認証(MFA)ツールの機能エラーと対処法|プッシュ通知遅延・誤検知・時刻ズレなど4つのよくある不具合

多要素認証(MFA)ツールの機能エラーと対処法|プッシュ通知遅延・誤検知・時刻ズレなど4つのよくある不具合

多要素認証(MFA)ツールは、適切に設定されていても機能エラーや不具合が発生することがあります。例えば、始業時間帯のアクセス集中によるプッシュ通知の遅延・リスクベース認証による正規ユーザーの誤ブロック・PCログオンMFAでのオフラインキャッシュ不動作・TOTPのスマートフォンとサーバーの時刻ズレによる認証失敗などです。原因と対処法を事前に把握しておくことで、エラー発生時の対応を素早く行えます。この記事では、MFAツールでよくある4つの機能エラーと対処法を解説します。

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目次

    MFAツールで発生する主な機能エラーの種類

    MFAツールのエラーは「通信・通知系」「認証ポリシー系」「オフライン・キャッシュ系」「時刻同期系」の4つに分類できます。それぞれの原因と影響を把握しておくことが、迅速な対処につながります。

    エラーの種類と発生原因の整理

    MFAツールの機能エラーが発生する主な原因は、大きく4つに分類できます。

    (1) プッシュ通知の遅延・未着(スマートフォンへの通知が届くまでに数分かかる、または届かない):クラウドMFAサーバーへのアクセス集中・プッシュ通知配信サービス(Apple APNs・Google FCM)の遅延・スマートフォン側のバッテリー節約設定による通知抑制が原因。(2) リスクベース認証の誤検知(正規ユーザーが不正アクセスとして誤ってブロックされる):リスク判定のしきい値の設定が厳しすぎることが原因。(3) PCログオンのオフラインキャッシュ不動作(ネットワーク障害時にPCにログインできない):MFAツールのWindows/Macクライアントの設定ミスまたはキャッシュ機能の非対応が原因。(4) TOTPの時刻ズレエラー(正しいOTPを入力しているのに「無効なコード」と弾かれる):スマートフォンの時刻とMFAサーバーの時刻が数十秒以上ズレていることが原因です。

    これらのエラーは、利用者から見ると「正しいパスワードと認証コードを入れているのにログインできない」という症状として現れるため、「MFAツールが壊れた」「認証アプリが誤動作している」という誤解につながりやすい問題です。エラーの種類ごとに確認すべき箇所と対処手順が異なるため、情報システム担当者がエラーの分類を把握しておくことで、ユーザーからの問い合わせ対応が迅速になります。

    ■プッシュ通知の遅延・未着
    原因: アクセス集中・通知配信サービスの遅延・スマホの通知設定オフ。対処: TOTPへの一時切り替え・スマホの通知設定確認
    ■リスクベース認証の誤検知
    原因: リスク判定しきい値が厳しすぎる・IPアドレスの変化やVPN利用を不審とみなす。対処: ポリシーの調整・信頼できるIPアドレス・デバイスの許可リスト登録
    ■PCログオンのオフラインキャッシュ不動作
    原因: MFAクライアントの設定ミス・キャッシュ有効期間切れ・製品がオフライン認証に非対応。対処: キャッシュ設定の確認・TOTPなどオフライン認証方式への切り替え
    ■TOTPの時刻ズレエラー
    原因: スマートフォンの時刻がMFAサーバーと数十秒以上ズレている。対処: スマートフォンの「自動時刻設定」をオンにしてNTP同期を有効化

    エラー発生時の初動対応チェックリスト

    MFAツールのエラーが発生したとき、情報システム担当者が最初に確認すべきポイントを整理しておくことで、対応時間を短縮できます。まず「エラーが特定ユーザーのみで発生しているか、全員に発生しているか」を確認します。全員に影響がある場合はMFAサービス自体の障害の可能性があるため、ベンダーのステータスページ(サービス稼働状況を公開しているページ)を確認します。特定ユーザーのみの場合は、そのユーザーのスマートフォン設定・登録済みデバイス・認証ポリシーの設定に問題がある可能性があります。

    次に「いつから・どの操作で・どんなエラーメッセージが表示されるか」を具体的に聞き取ることが重要です。「プッシュ通知が来ない」「OTPが弾かれる」「ログイン画面でエラーコードが表示される」など、症状によって確認箇所が異なります。MFAツールの管理コンソール(管理画面)の認証ログで「認証失敗の理由(エラーコード・エラーメッセージ)」を確認できる製品では、ログを見るだけで原因が特定できることが多くあります。認証ログの確認方法を事前に把握しておきましょう。

    関連記事 多要素認証とは?多段階認証との違いや活用シーンを解説

    プッシュ通知の遅延とリスクベース認証の誤検知

    日常的に発生しやすいエラーとして、プッシュ通知の遅延とリスクベース認証の誤検知があります。どちらも「ユーザーは正しい操作をしているのにログインできない」という症状のため、クレームになりやすいエラーです。

    始業時間帯のプッシュ通知遅延と対処法

    プッシュ通知によるMFA認証では、ユーザーがログインしようとすると、MFAサーバーからAppleのAPNs(Apple Push Notification service)またはGoogleのFCM(Firebase Cloud Messaging)を経由して、ユーザーのスマートフォンに「承認しますか?」という通知が送られます。このプッシュ通知配信は、始業時間帯(9時前後)のように多くの社員が一斉にログインする時間帯に遅延が発生しやすくなります。さらに、スマートフォン側でバッテリー節約モードがオンになっていたり、通知設定でアプリの通知がオフになっていたりすると、プッシュ通知が届かない状態になります。

    プッシュ通知の遅延・未着への対処として、(1) ユーザーにTOTPアプリ(インターネット不要で端末内でOTPを生成できる認証アプリ)を代替手段として登録させ、プッシュ通知が来ない場合はTOTPで認証できるように設定しておく、(2) スマートフォンの設定で「MFAアプリへの通知」を許可し、バッテリー節約モードでも通知が届くように設定するようユーザーに案内する、(3) MFAツールの管理コンソールでプッシュ通知のタイムアウト時間を確認・調整するという3つの対策が有効です。

    関連記事 多要素認証とは?メリット・デメリット、認証方式も解説

    リスクベース認証で正規ユーザーが誤ブロックされる問題

    リスクベース認証(アクセス状況に応じてリスクを判定し、高リスクと判断した場合に追加認証やアクセスブロックを行う機能)は、誤検知(正規ユーザーを不正アクセスと誤って判断してブロックすること)が発生することがあります。国内出張中の役員が普段と異なるホテルのネットワークからアクセスしたときや、自宅から普段使っていないPCでアクセスしたとき、VPNを経由してIPアドレスが変わったときなどに「不審なアクセス」と判定されてブロックされるケースがあります。

    誤検知の防止策として、(1) 「信頼できるIPアドレスリスト」に会社のオフィスIPや主要拠点のIPを登録してリスク判定から除外する、(2) 「信頼できるデバイス登録」を活用して、登録済みの会社支給PCやスマートフォンからのアクセスはリスク判定を緩和する設定を入れる、(3) リスクベース認証のしきい値(何を「高リスク」とみなすかの基準)を調整し、「不審なアクセスはブロック」ではなく「不審なアクセスは追加のMFAを要求する」という設定に変更するという3つが有効です。

    特に役員・管理職が出張・在宅での利用頻度が高い場合は、誤ブロックで業務が止まると影響が大きいため、展開前にパイロット運用でポリシーの調整を行いましょう。

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    PCログオンのオフラインキャッシュとTOTP時刻ズレ

    PCへのログオン時のMFAエラーとTOTPの時刻ズレによる認証エラーは、原因が技術的で分かりにくいため、ユーザーからの問い合わせ対応が難しいエラーです。それぞれのメカニズムと対処法を解説します。

    PCログオンMFAのオフラインキャッシュが動かない問題

    WindowsやMacへのローカルログオン(PCの電源を入れてOSにサインインする操作)にMFAを適用する場合、PCがインターネットに接続していない状態(ネットワーク障害中・オフライン環境・出張先で社内ネットワーク未接続)でのログイン処理をどうするかが設計上の課題です。クラウドのMFAサーバーと通信できない状態でも、事前にキャッシュ(一定時間有効な認証情報を端末内に一時保存すること)された認証情報を使ってログインできる「オフラインキャッシュ機能」に対応した製品があります。しかし、この機能が正しく設定されていないか、キャッシュの有効期間が切れていると、ネットワーク障害時にPCにログインできなくなるという事態が発生します。

    この問題への対処として、(1) PCログオンMFAを導入するMFAツールが「オフラインキャッシュ機能」に対応しているかを選定段階で確認する、(2) キャッシュの有効期間(例:24時間・72時間・7日間など)を業務の実態に合わせて設定する(頻繁に出張があるユーザーには長めのキャッシュ設定が必要)、(3) ネットワーク障害を想定した緊急アクセス手順(ローカル管理者アカウントへの切り替え方法)をユーザーに案内しておく、という3点が重要です。PCログオンMFAの導入前に、ネットワーク未接続環境でのログイン動作を必ず実機でテストしておきましょう。

    TOTPの時刻ズレで正しいOTPが弾かれるエラー

    TOTP(Time-based One-Time Password:時刻ベースのワンタイムパスワード)方式は、現在の時刻とシークレットキーを組み合わせて30秒ごとに変わるOTPをスマートフォン上で生成する認証方式です。このTOTPが機能するためには、スマートフォン(OTPを生成する端末)とMFAサーバー(OTPを検証する側)の時刻が同期していることが前提条件です。スマートフォンの時刻が数十秒以上ズレていると、端末が生成したOTPとサーバーが期待するOTPが一致せず、「正しいコードを入力しているのに『無効なコード』と弾かれる」という症状が発生します。

    この問題の原因確認と対処はシンプルです。ユーザーのスマートフォンの設定で「日付と時刻」の設定を開き、「自動設定」または「ネットワーク時刻の使用」がオンになっているかを確認します。オフになっていた場合はオンにするだけで解決することがほとんどです。ただし、Wi-Fiのみの環境で電波が弱い場所にいる場合はNTP(Network Time Protocol:インターネット経由で正確な時刻を同期する仕組み)による時刻同期がうまく行われていない可能性があります。その場合は、別のWi-Fiネットワークに接続してから再同期させるか、スマートフォンを再起動することで解決することが多くあります。一部のMFAツールはTOTPの検証時に「前後30秒のズレ」を許容する設定が可能で、管理者がこの設定を有効にすることで、軽微な時刻ズレによるエラーを防げます。

    関連記事 2faとは?認証方法の仕組みについて解説!

    まとめ

    多要素認証(MFA)ツールの機能エラーは、プッシュ通知の遅延・リスクベース認証の誤検知・PCログオンのオフラインキャッシュ不動作・TOTPの時刻ズレの4つが代表的です。それぞれ原因と対処法が異なるため、情報システム担当者がエラーの種類別の対処手順を事前に整理しておくことが重要です。複数の認証方式に対応し、詳細な認証ログを確認できる製品を選ぶことで、エラー発生時の原因究明と対応が迅速になります。導入前に無料トライアルでエラー時の挙動も確認してください。

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