マルチホーミング導入前に見られる課題
今日の企業にとって、インターネット回線は業務上欠かすことのできない重要なインフラとなっています。しかしながら、以下のような課題が起こってきます。
- 回線障害に対する対策がない
- 回線の切り替え時にダウンタイムが発生する
- 高価な専用線契約が難しい
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■回線障害に対する対策がない
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インターネット回線は現在「常時接続」の回線として使用されていますが、トラブルと無縁ではありません。契約している回線が1回線のみの場合、障害が発生後、その回線が復旧するまで外部との通信が途絶してしまいます。障害が長引いてしまうと、その機会損失は図りしれない大きさとなります。
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■回線の切り替え時にダウンタイムが発生する
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複数のインターネット回線を契約しておけば、通常使用している回線に障害が発生しても、切り替えによって業務を継続することができます。しかし、通常回線からバックアップ回線への切り替え作業が必要になるので、ダウンタイムが発生することは避けられません。
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■高価な専用線契約が難しい
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専用線を契約すれば、広帯域で高い信頼性を持つ回線を使用できます。しかし、専用線を使うためには、一般的なインターネット回線とは文字通り桁の違う料金が必要となります。この料金が承認されないこともあるでしょう。
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■インターネット回線の帯域が不足する
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クラウド上に多数のサーバを設置していくと、社内ネットワークからのアクセスが増加します。同時に通信するデバイスが増えると、以前は問題なかったインターネット回線の帯域が不足し、Webアプリケーションのレスポンスが低下するといった事態も起きます。
これらの課題解決に役立つのが、インターネットに複数経路で接続するマルチホーミングです。マルチホーミングでできることによって、それぞれどのように解決するのか見ていきましょう。
マルチホーミングの導入メリット
導入メリット1. 複数回線により停止しないネットワークを実現
マルチホーミングは専用機器で提供されます。マルチホーミング機器に複数のインターネット回線を接続しておけば、1つの回線に障害が発生しても、他の正常な回線で通信を継続することができます。ダウンタイムは発生しません。
導入メリット2. 専用線並みの信頼性を低コストで実現
マルチホーミングでは、ISPと契約した一般的なインターネット回線を冗長化して信頼性を向上させることができます。高価な専用線を契約しなくても、同等の信頼性を持つ回線を使用することが可能になります。一般的なインターネット回線なら、複数回線の契約も承認されやすいでしょう。
導入メリット3. マルチホーミングによる帯域の確保
マルチホーミング機器は、予備回線を保持するアクティブ—スタンバイ構成だけでなく、複数の回線を稼働させておくアクティブ—アクティブ構成に対応しています。アクティブ—アクティブ構成では複数回線の帯域を使えるため、インターネット回線のみでも帯域を確保することができます。
導入メリット4. マルチホーミングでアクセスラインを最適化
マルチホーミング機器には、アプリケーションや送信先IPアドレスによって回線を切り替える機能が備わっています。この機能では、業務上で重要なアプリケーションにはより高速な回線を割り当て、速度を求めない通信には低速な回線を割り当てることが可能です。通信が集中して帯域のほとんどを消費する状況でも、重要なWebアプリケーションの快適度が維持されます。
マルチホーミング機器は、使用する回線帯域に合わせて多数の製品がラインアップされています。スループットは数百Mbpsから数十Gbpsまで対応しているので、あらゆる事業規模で導入可能です。自社の通信状況に最適な製品を選択するため、まずは詳細な資料を使って比較検討することから始めてみましょう。