Salesforceは、AIの同僚として使える「Agentforce Coworker」の機能拡張を発表した。利用者は18万5,000人を超え、利用量は3か月で21倍に伸びたという。Adecco Group、Fulton Bank、BACA Systemsなどが、社内での利用を広げているとしている。
今回の発表では、Microsoft Teamsからの利用、新しいモバイルとデスクトップのアプリ、再利用できるSkillsなどが示された。あわせて、エージェントの記憶機能「Agentforce Memory」の改善についても、同社の研究ブログで説明されている。ここでは、この2つの発表を合わせて整理する。
3か月で21倍に伸びたAgentforce Coworker
Agentforce Coworkerは、従業員が仕事を任せるためのAIの同僚である。利用者は、どのエージェントを使うかを考えなくてよい。やりたい仕事を伝えると、手順を計画し、適切なAgentforceのエージェントやワークフローを組み合わせて、結果と推奨アクションを返す。
公式の例では、営業担当者が「更新リスクのある契約を調べて」と依頼する。Coworkerはサービス履歴や未解決のケースを集め、顧客へのフォローアップを準備する。Salesforceの既存のデータやメタデータ、権限をそのまま使うため、ゼロから作り直す必要はないとされる。
セキュリティ面では、従業員の権限、共有ルール、設定済みのアクセス制御の範囲で動く設計だという。対応する操作については、承認と監査の機能も使える。
Teams・モバイル・デスクトップで使える新機能
今回の拡張は、利用場所を広げる内容が中心である。Microsoft Teamsの会話の中で仕事を任せられるようになり、同じSalesforceの文脈と権限、ガバナンスのもとで実行される。商談レビューや、エスカレーションの調査をチャットから依頼できる。
Google WorkspaceとMicrosoft 365との新しい接続も加わった。メールや予定表、ファイルをSalesforceのデータと組み合わせ、会議の事前資料や更新計画に反映できる。iOS、Mac、Windowsの新しいアプリも用意され、パソコンで依頼した仕事を、スマートフォンで確認し承認することもできる。
会話履歴(Conversation History)を使えば、SalesforceやTeams、新しいアプリをまたいで会話を続けられる。Skillsは、優れた担当者の手順をチームの標準にする機能である。更新交渉の進め方を一行の依頼で実行できるようになる。
月額50ドルの料金と、12月開始の定期タスク
料金は、1ユーザーあたり月額50ドルの選択肢が新たに示された。Salesforceは、小さく始めて効果を測り、広げやすくするためだと説明している。なお、日本での提供時期や日本円での価格は、示されていない。
12月からは、定期的な仕事を任せられる「スケジュールタスク」が始まる。戻ったときに結果が待っている形にする機能である。毎朝の優先事項をまとめる「Daily Digest」も紹介されている。
記憶機能Agentforce Memoryは何が良くなったのか
Salesforce AI Researchは、エージェントがどれだけ覚えているかを測る評価の枠組みを作った。長い複数回の会話に特定の事実を埋め込み、実際のAgentforceで動かし、その事実に依存する質問をする方法である。会話は、同社が2025年に公開したベンチマーク「ConvoMem」から作られている。
この枠組みを使い、9月に一般提供となったAgentforce Memoryの「記憶のルール」を更新した。更新後は、顧客が明示した事実を従来の1.8倍、時間とともに変わる事実を2.2倍の割合で思い出せたという。変更点は方針(ポリシー)で、土台のアーキテクチャは変えていないとされる。
たとえば、顧客が3月に「事務所は旧所在地」と伝え、6月に「移転した」と伝えたとする。7月の質問で古い情報を使うと、ケータリングの配送先を誤るような問題が起きる。新しい方針は、更新を「訂正」として扱い、古い事実の隣に事実を足すだけにしない。
日本企業への示唆
企業の情シスやDX推進の担当者が確認すべき点は、大きく3つある。1つ目は権限とガバナンスである。Coworkerは従業員の権限の範囲で動くとされるため、既存の共有ルールや権限設計が整っているかが、そのまま安全性に影響する。
2つ目は費用の見え方である。月額50ドルは、利用者を増やすほど負担が積み上がる。まず小さな部門で効果を測る前提で、どの業務を任せるかを決めておくとよい。
3つ目は記憶の扱いである。記憶機能は便利だが、顧客に関する情報を保持する以上、保持期間や削除の考え方を社内で決めておく必要がある。今回の数値は、Salesforce自身の評価環境での結果である。自社の業務で同じ効果が出るかは、試して確かめたい。
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まとめ
Salesforceは、Agentforce Coworkerの利用が3か月で21倍、18万5,000人超になったと発表した。Teams対応、新しいアプリ、Skills、会話履歴、12月開始のスケジュールタスクが加わり、料金は月額50ドルの選択肢が示された。
あわせて、Agentforce Memoryは記憶のルールを見直し、明示された事実を1.8倍、変わる事実を2.2倍の割合で思い出せるようになったという。導入を検討する企業は、権限設計、費用、記憶する情報の扱いを先に確認しておきたい。

