社員の皆さん(男性左から原社長、車川氏、中本氏、鳥山氏)
1962年創業の株式会社精和工業所は、ステンレス薄板の溶接をコア技術として、板金・溶接・組立によって電気温水器などの住宅設備機器、恒温槽などの環境試験装置、リチウムイオン電池用ケース、燃料電池用構造体などを製造する企業である。
1990年代後半、同社は生産管理に関連するシステム(以下、旧システム)を導入した。「生産管理システムというよりも、発注在庫管理システムという感じのものでしたが、ある時期までは重宝していました」と話すのは原克彦社長。以前の同社の業務は、貯湯タンクの繰り返し生産が中心で、マスター件数もそれほど多くなかったものの、2000年代に突入すると多品種少量生産の引き合いが増加し、マスター件数が増えたことにより旧システムのMRPの能力では対応しきれなくなってしまった。
課題はシステムだけでなく、職務体制にもあった。当時、同社では本社伊丹工場、奈良工場での製造を行っており、部門単位、製品単位毎に生産管理の担当者がいて、生産管理以外にも発注、出荷、在庫管理まで行っていた。つまり、調達のために10人ほどがMRPを実行していたのだ。そのため同じ部品が重複して発注されることがあった。その結果、それらをまとめる後処理が必要になり、それに膨大な時間がかかったという。「とくに一品物の生産管理担当者は大変な仕事量になってしまい、忙しいときには深夜近くまで発注処理に追われていました。私も当時は生産管理担当者の一人であり『こんなことは、長くは続けられない』と思ったものです」(原社長)。
また、「それぞれの担当者が各々の負荷を減らすため、外付けのプログラムをいろいろ作っていたことで、業務の属人化が進み、同じ製造部内でも仕事を手伝えなくなっていました」(第一製造部係長の中本次朗氏)。こうした状況を打開し、適切な生産管理を行うために2008年、旧システムに替えてTPiCS3.1を導入したのである。