セキュリティシステムとは
セキュリティシステムとは、外部の攻撃者による資産の不正入手や破壊、データの改ざんや流出などを防ぎ、資産を守るために使用されるシステムのことです。
セキュリティシステムが防御する資産には、建物や物品などの物理的な資産だけではなく、情報や技術などもあります。
IT化が進む昨今、顧客や取引先の情報、製品やサービスに関する重要なデータなど、さまざまな情報をシステムで管理している企業は多いでしょう。情報資産の重要性がますます高まっているなか、企業には情報を保護するための取り組みが不可欠です。
情報セキュリティシステムの種類
情報セキュリティシステムには、以下のような種類があります。
- ■ウイルス対策ソフト
- ■ファイアウォール
- ■UTM
- ■VPN
- ■IPS・IDS
それぞれのシステムの特徴や機能などについて解説します。
ウイルス対策ソフト
ウイルス対策ソフトとは、危険なコンピュータウイルスを検知し、除去するシステムです。
具体的には、安全性が低いWebサイトやウイルスメールの表示をブロックしたり、外部に送信するデータにウイルスが含まれていないかをチェックしたりします。コンピュータがウイルスに感染している場合、ウイルスの隔離や駆除を行えるのもポイントです。
コンピュータウイルスに感染すると、個人情報や機密情報の流出や、端末の操作がロックされて身代金を要求される被害に遭うリスクがあります。ネットワークを通じてほかのシステムやデバイスにまで感染が拡大する恐れもあります。
このような被害を防ぐためには、ウイルス対策ソフトの導入が効果的です。
ファイアウォール
ファイアウォールは、外部からの不正アクセスを防ぐためのシステムです。防火壁のような役割を果たすことから、ファイアウォールと呼ばれます。
ファイアウォールは、外部からの通信のパケット情報をもとに、接続を許可するかを判断します。不正アクセスと判断した場合は接続を拒否し、管理者に通報する仕組みです。
不正アクセスによる情報漏えいやデータの改ざんなどのリスクを防ぐためには、ファイアウォールの導入をおすすめします。
UTM
UTM(Unified Threat Management)は、1つのデバイスに複数のセキュリティシステムを統合し、ネットワークを包括的に保護する管理手法です。日本語では統合脅威管理と呼ばれます。
UTMには、ファイアウォールやアンチウイルス、アンチスパム、IPS(不正侵入防御システム)やIDS(不正侵入検知システム)などが集約されているのが特徴です。
従来、複数の脅威に対応するためには個別にシステムを導入する必要がありました。UTMならセキュリティ対策を一括で行えるようになり、コストや管理負担を軽減できます。
VPN
VPN(Virtual Private Network)は、既存のネットワークのなかに仮想ネットワークを構築し、安全性の高い接続を実現できる技術です。日本語では仮想専用ネットワークや仮想専用通信網と呼ばれます。
VPNは、特定の人のみがアクセスする専用のネットワークを仮想で構築できるのがポイントです。VPNを利用することで、データの安全な送受信が実現します。
また、専有型のネットワークを物理的に構築する場合に比べて、安価で安全なネットワーク環境を構築できるのもメリットです。
さらに、モバイル端末からも企業内のネットワークに接続可能なため、リモートワークにも柔軟に対応できます。
IPS・IDS
IPS(Intrusion Prevention System)とIDS(Intrusion Detection System)は、不正な侵入を検知・防御するシステムです。
IPSは通信の異常を監視し、異常を検知した場合は管理者に報告して通信を遮断します。IDSは通信の異常を検知するシステムですが、昨今では通信遮断機能を持つIDSも登場しており、両者に大きな違いはありません。
IPS・IDSを導入することで、通信の異常に迅速に気づき、速やかに対処できるのがメリットです。とくに、DDoS攻撃やバッファーオーバーフロー攻撃などによるシステム障害を未然に防止するために役立ちます。
情報セキュリティシステムを導入するメリット
情報セキュリティシステムを導入するメリットは、以下のとおりです。
- ■情報漏えいリスクの対策につながる
- ■データの管理に関わるコストの削減につながる
- ■信用の向上につながる
それぞれのメリットについて解説します。
情報漏えいリスクの対策につながる
情報セキュリティシステムを導入する大きなメリットは、情報漏えいリスクの対策につながる点です。
情報漏えいは、企業にとって大きな損失です。自社の重要な技術に関するデータが外部に流出したり、顧客の個人情報が流出して信用を失ったりする恐れもあります。
情報セキュリティシステムを導入することで、悪意のある第三者による不正な情報入手や改ざんなどを防げるでしょう。また、社員による内部不正やミスによる情報漏えいのリスクも軽減できます。
仮に情報漏えいが発生した場合でも、システムによって異常を迅速に感知し流出源を素早く特定できれば、被害の拡大を抑えられます。
データの管理に関わるコストの削減につながる
情報セキュリティシステムの活用により、データの管理に関わるコストの削減につながるのもメリットです。
情報セキュリティ対策では、社内のデータを集約し、必要なときにデータをすぐに参照できるよう適切に管理しなければなりません。セキュリティ担当者のみで行おうとすると、データの管理ミスが発生する可能性があります。
情報セキュリティシステムを導入することで、データを効率よく管理できます。アクセス権限の設定や多要素認証によるログイン、データの暗号化などが可能なシステムもあり、安全性をさらに高められるのもポイントです。
信用の向上につながる
情報セキュリティシステムを導入することで、セキュリティ対策を強化している企業だと信用向上につながる可能性があります。
企業が保有する情報には、自社に関する情報だけではなく、顧客の個人情報や取引に関するデータも含まれます。情報漏えいが発生した場合、顧客に大きな損失を与えてしまうリスクも否定できません。
セキュリティ対策に注力していると評価されれば、顧客や取引先から信用を獲得できます。結果的に、契約や購入につながるでしょう。
情報セキュリティシステムで予防できる具体的なリスク
情報セキュリティシステムで予防できる具体的なリスクは、以下のとおりです。
- ■重要な情報への不正アクセス
- ■データやWebサイトの改ざん
- ■ランサムウェアなどマルウェアの感染
それぞれのリスクについて解説します。
重要な情報への不正アクセス
1つめは、重要な情報への不正アクセスリスクです。悪意のある第三者が情報システムの内部やサーバに侵入することで、機密情報や個人情報の漏えい、システムの停止といった被害を受ける恐れがあります。
ファイアウォールやIPS・IDSのように外部からの異常な通信を検知・ブロックするシステムがあれば、不正アクセスによる被害を防止できます。
データやWebサイトの改ざん
2つめは、データやWebサイトの改ざんリスクです。不正アクセスにより、データやWebサイトが管理者の意図しない内容に書き換えられることがあります。データが改ざんされていることに気づかないまま送受信してしまうリスクがあり、非常に危険です。
昨今では、Webサイトのリンクやファイルの参照先などを書き換え、サイトの訪問者をウイルスに感染させてしまうケースも見られます。
改ざんを防ぐためには、情報セキュリティシステムを使った不正アクセスの防止が重要です。
ランサムウェアなどマルウェアの感染
3つめは、マルウェア感染リスクです。マルウェアは、ウイルスやワーム、トロイの木馬など、悪意のあるプログラムやソフトウェアの総称です。マルウェアに感染した場合、さまざまな被害が想定されます。例えば、情報の漏えいや悪用、メールサーバの不正操作によるスパムメールの送信などがあげられるでしょう。
マルウェアの感染を防ぐためには、情報セキュリティシステムを活用して感染経路を徹底的に防御することが大切です。
導入するセキュリティシステムの選び方
セキュリティシステムを導入する際は、以下のようなポイントをチェックしましょう。
- ■対策したいセキュリティ上の課題を解決できるか
- ■利用しているOSに対応しているか
- ■システムを利用するパソコンの台数
- ■予算内であるか
まずは、システムを導入してどのような課題を解決したいのかを洗い出し、目的に合ったシステムを選ぶ必要があります。
自社で使用しているOSに対応しているか、複数のパソコンで利用できるかなども重要なポイントです。無理なくシステムを使い続けるためには、さらに予算内で導入・利用可能かも確認しましょう。
セキュリティシステムの選び方について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
セキュリティシステムを導入してリスクを予防しよう
セキュリティ体制を効率的に強化するためには、セキュリティシステムの導入が重要です。システムにより、不正アクセスによる情報漏えいやデータの改ざん、マルウェアの感染などを防ぎましょう。
セキュリティシステムには多くの種類があります。自社の課題を解決してくれる、使いやすいシステムを導入することが大切です。複数のシステムを比較検討したい方は、以下より各社製品の資料を一括請求してはいかがでしょうか。