クラウドサービスとDX支援を軸に事業を展開する株式会社fonfunは、2026年3月期第3四半期において売上・利益ともに大幅な成長を実現しました。特に、M&Aを通じた事業拡張により、単体から連結へと構造が大きく変化している点が特徴です。
本記事では、同社の市場環境、業績構造、直近決算のポイントを整理しながら、「どの業務プロセスに関わる企業か」「IT導入とどのように接続するか」を明確にします。IT・業務視点では、“レガシー脱却と業務デジタル化を実行する支援企業”としての位置づけが見えてきます。
1. 市場背景と業界構造
株式会社fonfunが属するのは、DX支援およびクラウドサービス市場です。この市場は、高成長が期待されており、企業のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが加速しています。
背景には、経済産業省が提示する「2025年の崖」という課題があります。これは、老朽化・複雑化した既存システムが企業の競争力低下を招くリスクを指しており、企業はシステム刷新や業務デジタル化を迫られています。
その結果、以下のような業務領域でIT化が進んでいます。
- 顧客対応(SMS、メール、電話などのデジタル化)
- 業務コミュニケーションのクラウド化
- 店舗・業務データのリアルタイム管理
- レガシーシステムからの移行支援
業界構造としては、SaaS提供企業、SI(システム開発)企業、DXコンサル企業が混在する領域です。その中で株式会社fonfunは、
- SaaS(クラウドソリューション)
- SI・人材(DXソリューション)
の両方を持つ「ハイブリッド型」のポジションにあります。
つまり同社は、DXの影響を“受ける側”ではなく、“推進する側”の企業です。特に、既存システムからの脱却支援という文脈では、業務変革の実行部分に関与する立ち位置にあります。
2. 過去数年の業績推移
2026年3月期第3四半期累計の売上高は1,401百万円となり、前年同期(個別)857百万円と比較して63.5%増となりました。営業利益は195百万円で118.9%増、経常利益は231百万円で117.8%増、純利益は254百万円で232.0%増と、利益面でも大幅な成長となっています。
この成長の背景には、2025年12月1日付で完全子会社化した株式会社マイクロウェーブデジタルの連結化も含まれますが、同社の業績寄与は当第3四半期累計期間において1ヶ月分(2025年12月)のみにとどまります。むしろ、MWD社を含まないクラウドソリューション事業においても前年同期比29.3%増と伸長しているほか、DXソリューション事業では同社の連結化に加え、2025年6月1日付で実施したITフリーランスマッチング事業の譲受なども寄与しており、今回の増収増益は既存事業の成長と複数の施策が重なった結果といえます。
セグメント別に見ると、
- クラウドソリューション事業:売上722百万円(29.3%増)
- DXソリューション事業:売上679百万円(127.5%増)
となっており、特にDXソリューション事業の成長率が高いことが特徴です。
IT視点で見ると、株式会社fonfunは一般的に、「ストック型(SaaS)」と「フロー型(開発・人材)」を併せ持つ構造と考えます。クラウド事業で継続収益を積み上げつつ、DX支援で案件単位の売上を拡大するモデルであり、収益の安定性と成長性の両立を志向している形です。
3. 直近決算の重要ポイント
今回の決算で最も重要なのは、「M&Aによる事業再編」と「DX領域の拡張」です。
会社側は、マイクロウェーブデジタルの完全子会社化により、グループ一体体制を確立したことを強調しています。これにより、
- 技術力の強化
- 経営資源の最適配分
- ガバナンス体制の強化
が図られるとされています。
また、2025年中には複数の事業取得が実施されています。
- ITフリーランスマッチング事業の譲受
- オンライン診療福利厚生サービス「らく診」の取得
さらに、2026年3月31日にはマイクロウェーブデジタルの吸収合併も予定されており、単なるグループ化ではなく、統合によるシナジー創出を志向していることがわかります。
一方で、通期業績予想は据え置かれており、現時点では計画通りに進捗していると整理できます。
IT視点では、同社はDX人材の拡大を進めており、これは「システム導入」だけでなく「運用・開発・定着」まで担う体制構築を意味します。つまり、ツール提供企業ではなく、業務変革の実行パートナーとしての位置づけが強まっています。
4. 事業構造と収益モデルの解説
同社の事業は大きく2つに分かれます。
クラウドソリューション事業
SMS配信、Webメール、クラウド電話、飲食向け日次決算などのSaaSを提供しています。この領域はストック型収益であり、継続的に売上が積み上がる構造です。
DXソリューション事業
ソフトウェア開発や技術者派遣を通じて、企業のDXを支援する事業です。こちらは案件ごとに収益が発生するフロー型といえるでしょう。
売上構成はほぼ半々(クラウド約51%、DX約49%)であり、バランス型の構造です。
この構造が意味するのは、
- SaaSで安定収益を確保
- DX支援で成長機会を取り込む
という役割分担です。
IT・業務視点では、同社が関与する業務は明確です。
- 顧客コミュニケーション(SMS・メール)
- 業務連絡・電話対応
- 店舗・業務データ管理
- システム開発・運用
つまり、「フロント業務」と「基幹業務の間」をつなぐ領域に強みがあります。
5. 業界の注目ポイント
ポイント1:レガシーシステムからの脱却需要
企業の既存システムの老朽化がDX需要の根本にあります。この課題はIT導入で改善可能です。同社はこの領域で実行支援を担う立場にあります。
ポイント2:ストック型とフロー型のハイブリッド化
SaaS単体ではなく、開発・人材と組み合わせるモデルが増えています。この構造はIT導入の継続性を高める点で有効です。
ポイント3:DX人材不足への対応
企業内でのIT人材不足が続く中、外部委託やパートナー活用が重要になっています。この課題もITサービス導入で解決可能な領域です。
6. ITトレンド編集部の考察
株式会社fonfunは、「SaaSベンダー」でも「SIer」でもなく、その中間に位置する企業です。
導入検討者にとって重要なのは、同社が関与できる業務範囲の広さです。単なるツール提供ではなく、開発・運用・人材まで含めて支援できるため、「部分導入」ではなく「業務単位の改善」に向いています。
一方で、M&Aによる拡大フェーズにあるため、サービスの統合状況や提供体制は今後の重要な比較ポイントになります。
IT投資余地という観点では、同社自身がDX推進企業であり、今後も人材投資・事業拡張を継続する構造です。したがって、導入側企業にとっては「長期的なパートナー候補」になり得る一方、提供サービスの整理や統合の進展を見極める必要があります。
7. まとめ
株式会社fonfunを一言で表すと、「SaaSとDX支援を組み合わせた業務変革パートナー型IT企業」と考えます。
市場としてはDX需要の拡大が続く中、同社はM&Aを通じて事業領域を広げ、売上・利益ともに大幅成長を実現しています。
IT・業務観点では、
- レガシー脱却支援
- 業務デジタル化
- SaaSと開発の一体提供
という点で、実務に近い領域をカバーする企業です。
導入検討においては、「単一ツール」ではなく「業務全体の改善」を前提に比較することが重要になります。

