音声認識ソフトとは
音声認識ソフトとは、人間の話し言葉を解析し、テキスト化するソフトウェアです。もともと機械にとって人間の言語を理解することは困難でしたが、AI技術の進化により実用レベルにまで精度が向上しました。
会議音声を文字起こしして議事録を自動生成したり、電話応対で音声を認識し案内を行ったりするなど、ビジネスシーンでの活用が広がっています。従来は人が行っていた作業を機械が代行することで、業務効率化や人手不足の解消にも貢献しています。
音声認識ソフトの機能
ここでは、音声認識ソフトに搭載されている主な機能を紹介します。
機能 | 内容 |
---|---|
音声の文字起こし | 音声をリアルタイムまたは録音からテキスト化。会議、講演、面談、インタビューなどで活用。 |
話者識別(話者分離) | 誰が話したかを区別して記録。議事録や議論の整理に便利。 |
ノイズ除去・雑音処理 | 周囲の雑音を軽減し、認識精度を向上。オフィスや外出先など環境に左右されにくい。 |
句読点・改行の自動挿入 | 読みやすい文章構造を自動生成。手作業による修正の手間を削減。 |
辞書登録機能 | 固有名詞や専門用語を事前登録して認識率を向上。医療・法律・IT分野などで活用。 |
カスタム登録機能 | 自社用語や業界特有の表現も柔軟に追加可能。表記ゆれ対策にも有効。 |
翻訳機能 | 音声を他言語に翻訳。多言語会議やグローバル対応に活用可能。 |
音声コマンド認識 | 「保存して」「次へ」などの音声指示を実行。ハンズフリー操作が可能に。 |
【無料】おすすめの音声認識ソフト
音声認識ソフトには、無料で使える製品もいくつかあります。ただし、無料版は利用時間や機能が制限されているケースも多く、本格的な運用には向かない場合もあります。まずは使い勝手を試してみたい方や、簡易的に音声認識ソフトを利用したい場合におすすめです。
Notta
- 豊富な音声入力オプション
- 自在な文字処理・編集機能
- 多様な保存・共有方式
Notta株式会社が提供する「Notta」は、累計1,000万人に使われてきた文字起こしサービスです。オンライン会議やインタビューが、わずか5分で文字になります。音声ファイルのインポートのほか、ライブマイクによる入力やWeb会議録音など、多様な方法に対応。タグ付けや画像の追加など、編集機能も充実しています。
参考価格 | 月額1,185円~ ※無料プランあり | 対応言語 | 58 |
対応OS | Windows・MacOS・iOS・Android | 提供形態 | ブラウザ・アプリ |
文字起こしさん
株式会社さんが提供する「文字起こしさん」は、音声ファイルをアップロードするだけで内容を文字起こしできるサービスです。設定により、ITや医療・介護など、独特の用語が用いられる業界にも対応します。無料での利用も可能ですが、音声の尺が限られるため、本格的に使うには有料版が必要です。
参考価格 | 月額1,000円~ ※無料版あり | 対応言語 | 約100 |
対応OS | Windows・MacOS・iOS・Android | 提供形態 | ブラウザ |
Sloos
株式会社Quantumcoreが提供する「Sloos」は、発言者ごとに文字起こしするサービスです。わずか10秒程度の音声を登録するだけで、話者を正確に識別できるようになります。誰が何を言ったのか整理する必要がある、議事録の作成などに役立つソリューションです。
参考価格 | 無料 | 対応言語 | 日本語 |
対応OS | Windows・MacOS・iOS・Android | 提供形態 | ブラウザ |
ユーザーローカル音声議事録システム
株式会社ユーザーローカルが提供する「ユーザーローカル音声議事録システム」は、議事録作成に特化したサービスです。ミーティングの開催から文字起こしまで、会議をワンストップで行えます。音声そのものが保存されることはなく、テキストも削除可能なため、セキュリティの観点から安心して使えます。
参考価格 | 無料 | 対応言語 | ー |
対応OS | Windows・MacOS・iOS・Android | 提供形態 | ブラウザ |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
Google Docs
Google社が提供する「Google Docs」は、オンラインドキュメント編集ツールです。テキスト入力方法の1つとして、音声入力機能が用意されています。マイクボタンをクリックし、話しかけるだけで発話内容のテキスト化が可能です。そのほか、スペル候補の提示や翻訳機能など、多くの便利な機能が備わっています。
参考価格 | 無料(※グループウェアの「Google Workspace」は月額800円~) | 対応言語 | ー |
対応OS | Windows・MacOS・iOS・Android | 提供形態 | ブラウザ・クラウド |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
【有料】おすすめの音声認識ソフト
音声認識ソフトを業務で本格的に活用したい場合は、有料版の導入がおすすめです。有料版は、利用時間や機能に制限が少なく、話者識別や自動議事録作成、専門用語への対応など、高精度かつ多機能な製品が揃っています。業務効率化や情報共有を強力にサポートしてくれる点が魅力です。
PKSHA Speech Insight
- リアルタイムで顧客対応を自動テキスト化しACWの業務負荷を削減
- 使い方は簡単!会話ボタンを押すだけで記録が完了!
- 通話内容のテキスト化・データ化で、業務の工数を効率化
株式会社PKSHA Communicationが提供する「PKSHA Speech Insight」は、オペレーターの後処理時間削減を支援するサービスです。高精度な音声認識AIによって顧客との会話をリアルタイムでテキスト化します。応対品質の向上やコンプライアンス違反の自動検知にも対応し、コンタクトセンター業務の効率化とリスク低減に貢献します。
参考価格 | ー | 無料トライアル | ー |
対応言語 | ー | 対応OS | ー |
提供形態 | DL |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
もじこ
吉積情報株式会社が提供する「もじこ」は、AI音声認識を利用した文字起こしツールです。自治体や上場企業、大学などさまざまな組織での導入実績を誇ります。複数のエンジンが搭載され、言語などに応じて選択できます。エディタ機能も充実し、メモの挿入やサムネイル画像の確認などが可能です。
参考価格 | 初期費用無料 月額15,000円、従量課金25円/分 | 無料トライアル | ○(14日間) |
対応言語 | 125か国以上に対応 | 対応OS | Windows・MacOS・iOS・Android |
提供形態 | クラウド |
おこし名人
アイネット株式会社が提供する「おこし名人」は、ワープロとプレイヤーが一体となった文字起こしツールです。音声を聞きながら手動で文字起こしを行えるほか、マイクに向かって発話すると、自動的に文字が入力される機能も搭載されています。
参考価格 | 個人:39,900円(税込み) 法人:79,800円(税込み) | 無料トライアル | ○(30日間) |
対応言語 | 要問い合わせ | 対応OS | Windows |
提供形態 | CD-ROM |
Excel聞き取り上手
有限会社エスワイシステムが提供する「Excel聞き取り上手」は、Excelの音声入力に特化したツールです。マイクで読み上げた数値や言葉が、選択中のセルに自動で入力されます。入力後は自動で復唱されるため、間違いにもすぐに気づけます。ユーザー辞書機能が搭載されているので、専門用語や業界用語にも対応可能です。
参考価格 | 3,300円(税込み) | 無料トライアル | ◯ |
対応言語 | ー | 対応OS | Windows |
提供形態 | DL |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
音声認識ソフトの選び方
ここでは、音声認識ソフトの選び方を紹介します。
登録言語数の多さ
音声認識ソフトは、聞き取った音声をそのまま文字に変換しているわけではなく、あらかじめ登録された語彙のなかから最も近い単語を選んで変換しています。そのため、登録語数が多いほど、幅広い表現に対応でき、より自然で正確な文字変換が可能です。
基本的には、100万語以上登録された音声認識ソフトが望ましいとされています。また、特定の業界で使うのであれば、その業界の専門用語や固有名詞に対応した音声認識ソフトを選ぶと、より高精度な音声認識が期待できます。
声の登録が必要か
音声認識ソフトには、声の登録が必要なものがあります。事前に話者の声を登録しなければ、その人の声を認識できません。一方、声の登録が不要で、導入後すぐに使いはじめられるものもあります。手間がかからないうえ、不特定多数の発話が入った音声もテキスト化でき、幅広い用途に利用可能です。
ただし、事前に声を登録する音声認識ソフトよりも、精度が低いことがあります。特定の話者による発言を高精度でテキスト化したいのであれば、声の登録が必要な音声認識ソフトを選びましょう。
Bluetoothに対応しているか
Bluetoothに対応した音声認識ソフトであれば、ワイヤレスマイクやヘッドセットと連携して音声入力が可能です。ケーブル接続が不要なため、作業中の動きが制限されず、快適な環境で音声認識を行えます。
日常的に音声入力を行う場合や、業務で頻繁に使う予定がある場合は、Bluetooth対応の製品を選ぶと利便性が向上します。
音声認識ソフトの感度を高めるおすすめのマイク
音声認識ソフトの感度は、ソフトそのものだけでなく、マイクによっても左右されます。そこで、おすすめのマイクを2種類紹介します。
バッジ型マイクデバイス
バッジ型のマイクは首からかけて使う、小型のデバイスです。口元から発せられる音声をキャッチしやすい位置に装着するため、高い精度で音声を認識できます。身体の動きの邪魔になりづらく快適です。
超指向性ピンマイク
超指向性ピンマイクは、話者の口元から放たれる発言を、ピンポイントで収音します。感度調節機能を使うことでノイズを消し去り、クリアな音声を入力可能です。多くの人が集まる会議室や、カフェなどの場所でも安心して使えます。
Windows・Macに搭載されている音声認識機能とは
実は、音声認識機能はWindowsとMacに標準搭載されています。それぞれの機能について解説します。
Windows搭載の音声認識機能
Windowsに搭載されている音声認識機能は、Windowsキーを押しながらHキーを押すことで立ち上がります。マイクボタンをクリックして話しかけると、その内容を文字に起こします。メモ帳やWordなどで文書を作成する際、キーボードを使うことなく入力できるのが特徴です。手元の資料を見ながらパソコン上でメモを取りたい場合や、議論の内容を自動的に記録したい場合などに役立つでしょう。
MacOS搭載の音声認識機能
macOSに搭載されている音声認識機能は、アプリの制限がないのが特徴です。Windowsではメモ帳やWordなどに限られますが、macOSではどのアプリにもテキストを入力できます。テキスト入力のみならず、アプリの操作が可能なほか、録音機能にも対応しています。
まとめ
音声認識ソフトとは、話者の音声を認識し、文字起こしするソフトウェアのことです。会議を録音して議事録を作成するなど、多くのビジネスシーンで活躍します。
音声認識機能は、WindowsやmacOSに標準搭載されていますが、できることが限られます。より本格的にビジネスへ利用したいのなら、専用ソフトの導入がおすすめです。以下のボタンから各社製品の資料請求が可能なため、導入を検討する際はぜひお役立てください。