3D CADソフトの機能を選ぶ際に確認したいポイント
3D CADソフトは製品によって搭載機能や得意分野が異なります。導入目的や設計対象を明確にしたうえで、必要な機能が備わっているかを確認する視点が重要です。
設計対象や用途にあわせた機能の確認
3D CADソフトは、機械設計や建築設計、意匠設計など用途によって求められる機能が異なります。曲面を多用する製品デザインではサーフェスモデリング機能が重要になり、機械部品の設計では寸法や公差を正確に管理できる機能が求められます。
導入前には、自社の設計対象にあう機能が搭載されているかを製品情報やベンダーへの問い合わせで確認しましょう。用途に対応していない製品を選ぶと、後工程での修正作業が増える可能性があります。設計する製品の分野が複数にまたがる場合は、各分野の機能を個別に比較するだけでなく、社内の別部署でも使えるかという観点もあわせて検討すると、選定の失敗を減らせます。
パラメトリックモデリングとアセンブリ設計の機能
設計変更の多い業務では、パラメトリックモデリングとアセンブリ設計の機能が業務効率に影響します。それぞれの仕組みと確認したい観点を紹介します。
パラメトリックモデリングによる設計変更のしやすさ
パラメトリックモデリングとは、寸法や角度などの数値をパラメータとして管理し、値を変更すると形状が連動して更新される設計方式です。設計変更が発生した際に、関連する部分を手動で修正する手間を減らせる場合があります。
パラメータ同士の関連づけ方は製品によって異なるため、自社の設計フローにあう操作方法かを確認する必要があります。変更履歴を管理できる機能があわせて備わっていると、修正内容の把握がしやすくなります。設計変更の頻度が高い製品を扱う場合は、パラメータの数が多くなっても動作が安定しているかを、実際の設計データに近い条件で確認しておくと安心です。
アセンブリ設計で部品同士の干渉を確認する機能
アセンブリ設計は、複数の部品を組み合わせて一つの製品として組み立てる設計方法です。部品同士が想定どおりに接続できるか、干渉していないかを確認する機能があわせて搭載されている製品が多くあります。
干渉チェック機能を使うと、試作前の段階で部品同士の接触や隙間の過不足を発見できる場合があります。大規模なアセンブリを扱う場合は、動作の軽さやデータ管理のしやすさもあわせて確認しておきましょう。部品点数が多いアセンブリでは表示速度が低下するケースもあるため、扱う予定の規模で動作を確認したうえで導入を判断する方法が有効です。
構造解析などのシミュレーション機能の活用
試作前に強度や耐久性を確認できるシミュレーション機能は、設計の手戻りを減らす選択肢の一つです。代表的な解析機能の種類と確認したい観点を紹介します。
強度や耐久性を確認できる構造解析機能
構造解析機能とは、設計したモデルに荷重や圧力を加えた際の変形や応力を計算する機能です。試作品を作る前に強度不足の懸念がある箇所を把握できる場合があり、設計の見直しに役立ちます。
解析結果の精度は、メッシュの細かさや境界条件の設定によって変わります。解析専用ソフトと連携できる製品もあるため、自社が扱う解析の種類にあわせて連携範囲を確認しておくとよいでしょう。解析にかかる計算時間や必要なパソコンの性能は製品によって差があるため、実際の設計データに近い条件で動作を確認しておくと導入後のギャップを防ぎやすくなります。
熱や流体などその他のシミュレーション機能
構造解析以外にも、熱伝導や流体の流れを確認できるシミュレーション機能を備えた製品があります。放熱設計や流路設計が必要な製品開発では、これらの機能が判断材料の一つになる場合があります。
| シミュレーションの種類 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 構造解析 | 荷重や圧力による変形・応力を計算し、強度不足の懸念箇所を把握します。 |
| 熱解析 | 熱の伝わり方を確認し、放熱設計の検討に活用します。 |
| 流体解析 | 流体の流れを可視化し、流路設計の検討に活用します。 |
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高品質なレンダリングとビジュアル表現の機能
設計データを提案資料や検証用の画像として活用する場面では、レンダリング機能の表現力が確認したい観点です。用途にあわせた機能の違いを紹介します。
リアルな質感を表現するレンダリング機能
レンダリング機能とは、設計データに素材の質感や光の反射などを反映し、写実的な画像として出力する機能です。製品の完成イメージを社内外に共有する際に活用できる場合があります。
表現できる質感や光源設定の細かさは製品によって差があるため、用途にあった表現ができるかを事前に確認する必要があります。レンダリングにかかる処理時間も、業務での使いやすさに影響する要素の一つです。提案資料に使う画像の枚数や納期が決まっている場合は、処理にかかる時間を事前に見積もったうえで、業務スケジュールに組み込めるかを確認しておくとよいでしょう。
アニメーションやウォークスルーによる可視化
一部の3D CADソフトには、モデルを動かして見せるアニメーション機能や、内部空間を歩くように確認できるウォークスルー機能が搭載されています。動作確認や空間の使い勝手を検証する場面で活用できる場合があります。
建築分野では完成後の空間イメージを施主に伝える手段として、機械分野では可動部の動作確認として使われるケースがあります。必要な表現方法にあわせて、対応機能の有無を確認しておきましょう。データ量が大きいモデルではアニメーションの再生に時間がかかる場合もあるため、扱うデータの規模にあわせて動作を確認しておくと安心です。
図面自動作成とデータ変換の機能
3Dモデルを図面や他システムのデータへ展開する場面では、自動化機能の対応範囲が作業効率に影響します。図面作成とデータ変換それぞれの確認点を紹介します。
3Dモデルから図面を自動作成する機能
3Dモデルから2次元図面を自動で作成する機能を使うと、モデルの形状変更に図面が連動して更新される場合があります。手作業での図面修正にかかる工数を減らせる可能性がある機能です。
寸法線や公差の自動配置に対応している範囲は製品によって異なります。自社が求める図面様式にどこまで対応できるかを、導入前に確認しておくとよいでしょう。社内や取引先で図面のフォーマットが決まっている場合は、自動作成された図面をそのまま使えるか、レイアウトの調整が必要になるかもあわせて確認しておくと安心です。
他フォーマットとのデータ変換のしやすさ
設計データを取引先や他部署とやり取りする際には、STEPやIGESなど汎用フォーマットへの変換機能が必要になる場合があります。対応フォーマットの種類は製品ごとに異なります。
変換時に形状情報の一部が欠落するケースもあるため、重要なデータを扱う場合は、変換後のデータを確認する運用も整えておくと安心です。取引先が指定するフォーマットに対応しているかも、事前に確認しておきましょう。変換作業を頻繁に行う場合は、対応フォーマットの種類だけでなく、変換にかかる処理時間や一括変換の可否もあわせて確認すると業務の効率化につながります。
モデリング方式やデータ変換に対応する3D CAD製品例
ここまで紹介したパラメトリック設計やダイレクトモデリング、サーフェス表現、他フォーマットとのデータ変換など、機能の切り口にあわせて代表的な3D CADソフトを紹介します。
IRONCAD
- フィーチャベースのダイレクトモデリング
- アセンブリ作業に拘束は不要
- トップダウン設計が簡単
株式会社クリエイティブマシンが提供する『IRONCAD』は、直感的な操作性を重視した3D CADソフトです。TriBallと呼ばれる操作ツールを使い、形状の移動・回転・拡大縮小といった編集をマウス操作で直感的に行えるほか、パラメトリックモデリングとダイレクトモデリングを組み合わせた設計に対応しています。あらかじめ用意された部品カタログを活用しながらドラッグ&ドロップでアセンブリを組み立てられる点も特徴で、設計変更が発生しやすい機械設計や、スピーディな形状検討が求められる場面での活用に適しています。
Creo Elements/Direct Modeling (PTCジャパン株式会社)
- 履歴や拘束に縛られない直感的な3D設計
- 既存の設計データを読み込み、再利用可能。
- 無期限無料で高機能なオープンソース3D設計ツール
Rhinoceros (Robert McNeel & Associates)
- 3Dプリンター用ファイル出力機能が豊富
- Grasshopper連携でパラメトリックデザインを実現
- Mac/Windowsで同一ファイル形式に対応
XVLStudioHybrid (ラティス・テクノロジー株式会社)
- 3D CADと点群を統合し、実態を反映した設計・検証が可能
- 点群データ取込、編集、検証により課題を可視化。
- 3Dファイル共有で部門間コミュニケーションと意思決定を効率化。
iCADMX (富士通株式会社)
- 30年以上継続開発された2D設計・製図機能
- 2D延長で短期間に3D効果、高品質な製品開発を支援
- 2D/3Dの柔軟な設計環境
3D CADソフトの機能に関するFAQ
3D CADソフトの機能について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:パラメトリックモデリングとダイレクトモデリングの違いは?
- パラメトリックモデリングは寸法などのパラメータで形状を管理し、変更が連動して反映される方式です。ダイレクトモデリングは形状を直接操作する方式で、履歴や拘束にとらわれず修正しやすい点が特徴です。製品によっては、パラメータ管理の機能と組み合わせて利用できます。
- ■Q2:構造解析機能は専門知識がなくても使えますか?
- 基本的な解析機能は搭載されていても、境界条件の設定や結果の解釈にはある程度の知識が求められる場合があります。不明な点は情報システム部門や解析の専門部署へ相談する方法が有効です。
- ■Q3:図面自動作成機能があれば図面の確認作業は不要ですか?
- 自動作成された図面であっても、寸法や注記の抜け漏れがないかは人による確認が推奨されます。自動化は作業工数の削減につながる場合がありますが、最終確認の工程は残しておくとよいでしょう。
- ■Q4:無料の3D CADソフトでも業務に使えますか?
- 簡易な設計や学習用途であれば無料版でも対応できる場合があります。ただし、機能範囲やサポート体制に制限があるため、業務での本格利用を検討する場合は有料版とあわせて比較する方法がおすすめです。
まとめ
3D CADソフトには、パラメトリックモデリングやアセンブリ設計、構造解析、レンダリング、図面自動作成、データ変換などさまざまな機能があります。自社の設計対象や業務フローにあう機能を備えているかを確認したうえで選定を進めましょう。複数製品の資料をあわせて比較し、自社にあう製品を検討してください。

