3D CADソフトとは
3D CADソフトとは、3次元モデルをもとにしており、コンピュータ上でデータの作成・設計ができるソフトです。製品設計や建設設計、機械設計などで活用されています。作成した図面は、コンピュータ上で立体的なモデルの断面および平面図の閲覧が可能です。
モデルの状況をより視覚的に再現できることから、建築業をはじめとして、製造業・航空業などの幅広い業界に普及しています。また、最近では建築用CADや機械用CADなど、特定の用途に特化した製品も増えています。
3D CADソフトをお探しの方へ
ITトレンドでは、人気の3D CADソフトを多数掲載しています。この記事では、以下のタイプ別に製品を紹介するので、導入検討の参考にしてください。
▼製品を一覧でチェックしたい方はこちら!
【比較表】おすすめの3D CADソフト
3D CADソフトのメリット・デメリット
3D CADソフトを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- ●図面を視覚的に理解しやすくなる
- ●試作品の作製工程を簡略化できる
- ●設計の精度を高められる
- ●二次元図面へ変換できる
一方、3D CADソフトには以下のようなデメリットもあります。
- ●カスタマイズ性や汎用性があるものは導入時のコストが高くなる
- ●2D CADソフトと比較して必要な作業が増える
- ●ソフトの操作性が難しく慣れるのに時間がかかる
以下の記事では、3D CADソフトのメリット・デメリットについて詳しく解説しています。導入検討の前に理解を深めておきたい方は、あわせて参考にしてください。
3D CADソフトのタイプ
3D CADソフトは、大きくわけて以下の3つのタイプに分類されます。
このなかで最も性能がよいタイプは、ハイエンド3D CADです。複雑な設計や高度なカスタマイズに対応しているものが多く、価格も高額です。製造業や自動車業界などを中心に活用されています。
ローエンド3D CADは初心者やCADの勉強で活用するのに向いています。搭載機能が少ないため、実現できる設計の幅は狭くなりますが、価格の低さが魅力です。無料ソフトもローエンドCADに含まれます。
ハイエンド3D CADとローエンド3D CADの間にあたるのが、ミドルレンジ3D CADです。幅広いCADがこのタイプに該当するので、企業側のニーズに沿って機能や価格を選定できることが強みです。家電業界などで使用されるケースもあります。
3D CADソフトの選び方
自社に最適な3D CADソフトを導入するには、どのような点に着目して製品を比較すればよいのでしょうか。ここでは、3D CADソフトを選ぶ際の比較ポイントについて詳しく説明します。
利用目的と機能
まずは、目的や業界に適した製品から選びましょう。例えば建築業界向けのCADでは、住宅などの設計に特化した図面のツールが数多くそろえられています。また、複数人での設計作業が可能な機能や、2Dに対応している仕様など、必要な機能があるかを確認しましょう。
操作性やサポート体制
3D CADソフトは、図面を立体的にしたデータを作成するため、2D CADソフトと比べて操作のコツをつかむことが難しい傾向にあります。そのため、無料体験版やトライアル期間を利用してCAD担当者が実際に使用し、操作性を確認するのがおすすめです。
また、便利な機能を多数搭載した3D CADソフトを導入しても、使用方法がわからない場合もあります。電話やチャットなどで、速やかに疑問点を解消できるサポート体制があるかも大切なポイントです。定期的にセミナーを行っているベンダーであれば、3D CADソフトに対する知識の吸収・アップデートが可能になります。
【比較表】おすすめの3D CADソフト
ITトレンドおすすめの3D CADソフトを比較表にまとめました。また、この記事で紹介している主要な製品を細かく調査して見えてきた、3D CADソフトの特徴や傾向を以下にまとめています。ぜひ製品の比較検討にお役立てください。
- ●レンダリング機能が搭載されている製品は約5割。
- ●コラボレーション機能はミドルレンジタイプに搭載されている傾向にある。
- ●無料トライアルや無料プランが利用できる製品は半数ほど。
- ●すべての製品がパッケージかオンプレミスでの提供。一部サービスでの提供が可能なものもある。
▶ハイエンド3D CADソフトを比較
まずは、最も性能の高いハイエンド3D CADソフトを紹介します。
《Creo Parametric》のPOINT
- ARやモデルベース定義、ジェネレーティブデザインなど機能が充実
- 新機能の追加により継続的に進化
- サポートや製品トレーニングが充実
PTCジャパン株式会社が提供する「Creo Parametric」は、製造業向けのCADソリューションです。設計の作成や解析・表示などのほか、拡張機能でモデリングを可能とする3D CAD機能が活用できます。また、2D CADやAR機能も搭載しています。
【参考価格】
・要問い合わせ
《Creo Elements/Direct》のPOINT
- 導入実績5000社以上!充実したサポートサービス
- 設計サイクルの短縮化を実現!
- ダイレクトモデリングシステムで設計変更にも柔軟に対応可能!
PTCジャパン株式会社が提供する「Creo Elements/Direct」は、ダイレクトモデリング手法を採用した3D CADシステムです。直感的な操作で設計でき、既存製品の再利用や大幅な設計変更にも柔軟に対応します。設計や開発時間を効率化し、複数ソースのCADデータを簡単に活用可能です。
【参考価格】
・要問い合わせ
CATIA V5
ダッソー・システムズ社が提供する「CATIA V5」は、拡張性に優れたハイエンド3D CADソフトです。製品作成から終了までのライフサイクルを一元管理できる、PLM製品の中心に位置するアプリケーションです。自動車・航空をはじめ、産業機械を扱う業界などで幅広く使用されています。また、操作性がよく、設計者がITに詳しくなくても使いやすいでしょう。
【参考価格】
・初期導入費用:1,898,000円~
・年間ライセンス:265,500円~
・使用期間限定ライセンス:814,800円~
NX
Siemensが提供する「NX」は、設計から解析までのサポートが可能な3D CADソフトです。家電や精密機器などを扱う製造業など、さまざまな業界で利用されています。3D CADならではのモデリング機能に柔軟性があり、設計者の負担軽減につながるでしょう。CADによって製造プロセスを効率化し、生産性をあげたい場合におすすめです。
【参考価格】
・要問い合わせ
COLMINA 設計製造支援 iCAD SX
富士通株式会社が提供する「COLMINA 設計製造支援 iCAD SX」は、機械装置の設計に適した3D CADソフトです。世界最速のエンジンが搭載されており、アクセス処理速度の速さが特徴です。大規模な機械装置の3次元データもスムーズに設計できます。また、設計から製造やサービスまで一元管理も可能です。
【参考価格】
・要問い合わせ
▶ローエンド3D CADソフトを比較
ここでは、価格帯の低さが魅力のローエンド3D CADソフトを紹介します。
《DesignSpark Mechanical》のPOINT
- チュートリアル動画やマニュアルなどサポートコンテンツが充実
- ライブラリから豊富なモデルをインポート可能
- STLやOBJ、SKPなど業界標準のファイル形式に幅広く対応
アールエスコンポーネンツ株式会社が提供する「DesignSpark Mechanical」は、無料で利用できる手軽な3D CADソフトです。プリント基板CADや製造図面などの設計工程間でのスムーズな連携が特徴で、商用利用にも対応します。数万点の部品ライブラリや部品手配機能を搭載し、設計から製造までの効率化をサポートします。
【参考価格】
・要問い合わせ(無料プランあり)
BricsCAD
Bricsysが提供する「BricsCAD」は、柔軟性のあるCADで、AutoCAD2021と互換性があります。AutoCADで作図した場合、拡張子として策定される「dwg」のファイル形式をベースに構築されます。慣れ親しんだCADの操作方法を受け継いで利用できるため、スムーズな業務への導入が可能になるでしょう。なお、30日間の無料トライアルが提供されています。
【参考価格】
・48,000円~/年
▶ミドルレンジ3D CADソフトを比較
ここでは、機能性と価格帯のバランスがよいミドルレンジ3D CADソフトを紹介します。
《IRONCAD》のPOINT
- フィーチャベースのダイレクトモデリング
- アセンブリ作業に拘束は不要
- トップダウン設計が簡単
株式会社クリエイティブマシンが提供する「IRONCAD」は、機械類の開発や設計に特化し、簡単操作で使用可能な3D CADです。部品カタログを参照して、立体図面のスピード設計を行えます。また、2Dでの設計との連携も可能です。制作した図面はファイルにまとめられるため、データの参照や管理も容易です。
【参考価格】
・要問い合わせ
《Inventor》のPOINT
- クラウド環境上で関係者同士のフィードバックが可能
- パラメトリックやダイレクトなどモデリング機能が充実
- 最大で3台のデバイスにインストール可能
オートデスク株式会社が提供する「Inventor」は、設計からシミュレーションまで幅広い作業を効率化するCADソフトウェアです。寸法変更による設計操作が可能なパラメトリックモデリングや、部品の組み合わせを検証するアセンブリモデリングに対応。コメントの付与や朱書きを通じて関係者同士のやりとりも行えます。
【参考価格】
・1か月契約:46,200円
・1年契約:367,400円
・3年契約:1,047,200円
《Solid Edge》のPOINT
- シンクロナス技術による柔軟性&制御性
- 形状モデリングカーネルにはSiemens社のParasolidを採用
- 高機能な解析モジュール「Solid Edge Simulation」
株式会社エヌ・エス・ティが提供する「Solid Edge」は、シンクロナス手法を採用した高性能な2D/3D CADソフトです。ヒストリモデリングとノンヒストリモデリングの利点を組み合わせ、柔軟性と高速性を実現。外部CADデータのスムーズな編集やFemapとの連携により、設計から解析まで効率的に行えます。
【参考価格】
・要問い合わせ
《CADWe’ll Tfas》のPOINT
- 優れたメモリ管理機能により大規模建築物にも対応
- 設備設計に不可欠な静圧計算・揚程計算機能を搭載
- シートとフロアを紐づけてBIMモデルを管理
株式会社ダイテックが提供する「CADWe’ll Tfas」は、直感的な操作性と高度な3D表現技術を備えた3D CAD製品です。干渉検査や複雑な施工確認に役立ち、BIMモデル管理や他CADとの高いデータ互換性も魅力です。大容量図面を効率的に扱えるメモリ管理や、配管・ダクトの自動サイジング、静圧計算といった実務支援機能を搭載しています。
【参考価格】
・要問い合わせ
Onshape
PTCが提供する「Onshape」は、CADやリアルタイムコラボレーション機能などが集約されたプラットフォームです。設計から管理・分析までのデータを一元管理できるのが特徴です。製品開発のデータ移行にかかる手間を削減し、設計に時間を費やせるでしょう。プランによっては利用者同士での同時設計編集機能もあり、チームでの開発にも向いています。
【参考価格】
・$1,500~/年(無料プランあり)
SOLIDWORKS 3D CAD
ダッソー・システムズ社が提供する「SOLIDWORKS 3D CAD」は、設計業務だけでなく、データ管理やCAMなど幅広い業務に対応できるソフトです。ものづくり全体に対応できるソリューションのため、製造部門との意思疎通も可能です。さらに設計から製造を統合することで、プロセスの効率化および標準化・コスト削減をはかります。3種類のパッケージからニーズにあったものを選択して使用できます。
【参考価格】
・永久ライセンス:ライセンス価格1,035,000円~、年間保守契約255,816円~
・期間利用ライセンス:1年(YLC)528,216円~、3カ月(QLC)158,465円~
Vectorworks
ベクターワークスジャパン株式会社が提供する「Vectorworks」は、設計者の環境を重視した操作性に優れているソフトです。モデラーやBIM・プレゼンテーションを行う際にも使用可能なツールです。また、3D ・2D CADの基本機能以外にも、図面に応じた複数の作業画面作成もできるなど、利用者が作図しやすい環境を意識した設計も特徴です。
【参考価格】
・永続ライセンス:676,500円~
ZW3D
ZWSOFT JAPAN株式会社が提供する「ZW3D」は、製品開発向けの統合ソリューションです。中小企業でも導入しやすい価格の低さが特徴で、298,000円から利用できます。3Dモデリングのほか、機械加工などが基本機能として搭載されています。なお、3Dモデリングでは、2D図面にも対応した2Dスケッチ機能が利用可能です。
【参考価格】
・ソフトウェア認証:298,000円~
・ハードウェア(ドングル)認証:318,000円~
・ネットワーク版:298,000円~
まとめ
3D CADソフトを導入することで、設計制度の向上や試作品の制作工程簡略化などのメリットが得られます。設計業務を効率化したいと考えている方は、この機会に3D CADソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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