AI契約書レビューサービスの機能の全体像
機能は、審査の流れに沿って見ていくと整理しやすくなります。ここでは、流れと機能の対応、類似ツールとの違い、機能の位置づけと人による最終確認を取り上げます。全体像を先に押さえておくと、個々の機能の比較で迷いにくいでしょう。
| 審査の段階 | 主な機能 |
|---|---|
| 読み取りと指摘 | リスク条項の抽出、不利な条文の指摘 |
| 修正と基準 | 修正案の提示、審査基準の反映 |
| 交渉と管理 | 差分比較、版とコメントの履歴 |
| 言語 | 英文契約書のレビュー |
審査の流れと機能の対応
AI契約書レビューサービスの機能は、審査の流れに沿って整理すると理解しやすくなります。契約書を取り込んで条文を読み取り、リスクのある箇所を指摘するところまでが基本の流れです。製品によって、どこまでを機能として備えるかは異なります。
その後に、修正案の提示、自社の審査基準の反映、修正前後の差分比較が続きます。英文契約書への対応は、製品によって有無や範囲が分かれます。各機能は、自社の審査の手順に当てはめて確認しましょう。
類似ツールとの機能の違い
契約書を扱うツールには、文書比較ソフトや契約書管理システム、電子契約サービスもあります。これらは、変更点の表示、保管と期限管理、締結といった役割が中心です。ツールごとの役割を分けて考えると、比較の軸が定まります。
AI契約書レビューサービスは、条文の内容を読み取って指摘する点が特徴です。既存のツールと役割が重なる部分もあるため、自社でどの業務を置き換えたいかを整理してから比較します。重なる機能がある場合は、併用も検討できます。
機能の位置づけと人による最終確認
法務省の2023年8月の指針は、審査支援サービスを機能や表示の内容で整理しています。リスクの程度の表示や、個別の事案に応じた修正案の表示は、整理の分かれ目となる機能です。各機能の位置づけは、提供会社の説明で確認しましょう。
どの機能を使う場合でも、AIの指摘は最終判断ではなく、判断材料です。採否の決定と修正は、社内の担当者や弁護士など人が行う運用を前提にしましょう。確認した担当者と日付を記録に残すと、後から経緯をたどれます。
リスクと不利な条文を見つける仕組み
リスクのある条項や不利な条文を見つける機能は、AI契約書レビューサービスの中心となる機能です。抽出の仕組み、指摘の基準、根拠の表示の三つを確認すると、製品ごとの違いが見えてきます。試用で確かめる前提で読み進めてください。
リスク条項を自動で抽出する仕組みを知る
リスク条項の自動抽出は、契約書の中から確認が必要な条項を見つけて一覧にする機能です。損害賠償、秘密保持、契約期間、解除、管轄、準拠法などが主な対象です。抽出の対象は、製品によって異なります。
抽出の仕組みには、登録した基準との照合や、AIによる文章の意味の解析、両者を組み合わせた方式などがあります。契約書の書式や言い回しによって、抽出の結果が変わる場合もあります。実際に使う契約書で試せるかを、導入前に確認しましょう。
自社に不利な条文の指摘を見極める
自社に不利な条文を指摘する機能では、自社が委託側か受託側かといった立場の設定が前提です。立場によって、不利と判断する条件が変わるためです。契約ごとに立場を切り替えられるかを確認しましょう。
指摘の基準が、製品共通の汎用的なものか、自社で登録した基準かも重要です。基準が示されない指摘は判断の根拠を確認しにくいため、理由の表示の有無とあわせて比較します。基準を自社向けに調整できる範囲は、製品により差があります。
指摘の根拠と表示方法を確かめる
指摘された箇所に、理由や根拠が示されるかは、確認の効率を左右します。関連する条項の解説や、一般的な条項例が表示される製品もあります。表示される情報の種類や量は、製品ごとに異なります。
指摘の重要度が色や段階で示されると、優先して読む箇所を判断しやすくなります。ただし、指摘が誤っていたり漏れていたりする場合があるため、最終的には人が条文全体を確認しましょう。指摘の件数が多い場合の並べ替えや絞り込みの機能も、確認します。
修正案とプレイブックの反映
指摘に加えて、修正案の提示や、自社の審査基準を反映できる機能があると、確認と修正の作業を進めやすくなります。ここでは、修正案、プレイブック、基準の更新運用に関する機能を整理します。人の判断を支える機能として、一つずつ確認しましょう。
修正案と代替条文の提示機能
修正案の提示機能は、指摘した条文に対して、代わりとなる文言の候補を示すものです。代替条文の元になるのは、自社のひな形、登録済みの条文集、AIが作成した文案など、製品によって異なります。元になる情報の種類を確かめておきましょう。
修正の理由が添えられていれば、担当者が採否を判断しやすくなります。提示された文言は、そのまま使わず、取引の背景に照らして人が調整します。編集した結果をWord形式で出力できるかも、確認したい点です。
プレイブックの反映機能
プレイブックとは、自社の契約審査の基準をまとめたものです。許容できる条件、修正を求める条件、承認が必要な条件などを条項ごとに整理して、サービスに登録します。登録の方法には、文章やチェックリスト、設定画面などがあります。
登録した基準が指摘や修正案に反映されると、担当者による判断のばらつきを抑える助けとなります。立場別や契約類型別に基準を分けられるかは、製品によって異なります。基準の数が増えた場合の管理のしやすさも確認しましょう。
基準の登録と更新の運用
基準は一度登録して終わりではなく、法改正や取引の変化に応じた更新が必要です。更新を担当する人と、更新内容を承認する人を分けておくと、基準の品質を保ちやすくなります。更新の頻度も、先に決めておきます。
更新の履歴が残るか、過去の版に戻せるかも、機能の比較ポイントです。複数の部門やグループ会社で使う場合は、共通の基準と個別の基準を分けて管理できるかを確認しましょう。更新の通知を受け取れるかも、確認しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でAI契約書レビューサービスの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
差分比較や履歴を扱う機能
契約書の交渉では、修正前後の違いを正しく把握することが欠かせません。差分比較、相手方の修正版の確認、版とコメントの履歴を、機能の観点で整理します。契約の交渉が続く場合は、履歴の機能が運用の負担に影響します。
- ■差分比較
- 修正前後の変更箇所を並べて表示する機能
- ■修正版の確認
- 取引先から戻った版との違いを洗い出す使い方
- ■履歴の保存
- 版ごとの保存と、変更理由のコメントを残す機能
修正前後の差分を比較する
差分比較の機能は、修正前と修正後の契約書を並べて、変更された箇所を示すものです。追加された文言と削除された文言を色分けして表示する製品がありますが、表示の仕方は異なります。表示を切り替えて、変更箇所だけを抜き出せる製品もあります。
文字の違いだけを示す機能と、変更の内容にまで触れて指摘する機能は別のものです。どこまでを求めるかを決めたうえで、実際のファイルで表示を確かめましょう。比較できるファイルの形式も、あらかじめ確かめます。
相手方の修正版との変更点を確かめる
取引先から戻ってきた修正版は、こちらが送った版からどこが、どのように変わったかを確かめる必要があります。差分比較で変更点を洗い出し、AIレビューの対象を変更箇所に絞ると、確認の負担を抑えられます。
取引先が独自に編集したファイルでも比較できるかは、対応する形式によって異なります。Wordや文書ファイルの形式に対応しているかを、事前に提供会社へ質問しましょう。対応形式が限られる場合の代替の手順も、聞いておくと安心です。
版管理とコメント履歴を残す
契約書の交渉では、版が増えると、どれが最新でどこを変えたのかが、担当者にも分かりにくくなります。版ごとの保存と、変更理由のコメント履歴を残せる機能があると、経緯を追いやすくなります。経緯が残っていれば、判断の理由も説明しやすくなるでしょう。
履歴は、担当者が交代した際の引き継ぎにも役立ちます。閲覧できる人の範囲や、履歴の保管期間、出力できる形式も、あわせて確認しましょう。不要になった履歴の削除方法も、確認項目に加えます。
英文契約書への対応と比較の確認項目
英文契約書のレビューは、対応の範囲が製品によって大きく分かれる機能です。英文対応の確認点、必要な機能の優先順位、提供会社に聞く質問を整理して、機能の比較に役立てます。選定の最終段階で使えるよう、チェック項目としてまとめます。
英文契約書をレビューする機能の確認
英文契約書のレビュー機能では、日本語の契約書と同様に、条項の抽出や指摘が使えるかを確認します。準拠法、管轄、表明保証、補償、責任制限などを対象にできるかも、確かめたい項目です。対応する契約類型の範囲も、あわせて確認します。
原文を直接審査するのか、日本語に翻訳したうえで審査するのかで、指摘や表示が変わる場合があります。海外の法制度に関する判断は、現地の弁護士など専門家へ相談する前提で運用しましょう。対応言語は、英語以外が必要な場合に別途確認します。
必要な機能の優先順位づけ
機能の数だけで製品の良し悪しを決めることはできません。自社が扱う契約の種類と件数、レビューにかかる手間の大きさから、必要な機能に優先順位をつけます。必須の機能と、あれば便利な機能に分けると整理できます。
例えば、秘密保持契約が中心なら抽出と指摘、交渉が多いなら差分比較と履歴を重視するといった考え方があります。優先順位は、運用を始めた後も、利用状況に応じて見直しましょう。運用で使わない機能の費用が発生しないかも、確認しましょう。
提供会社に聞く質問の整理
資料に書かれた機能名だけでは、実際の動きが分かりにくい場合があります。指摘の対象となる契約類型、根拠の表示、修正案の出どころ、基準の登録方法を、質問項目として整理しておきます。質問は、事前に一覧にしてから送ります。
質問への回答は、書面やデモ画面で受け取ると比較しやすくなります。あわせて、入力した契約書の取り扱いやAIの学習への利用についても、提供会社に確認しましょう。回答の日付も記録に残し、比較表に反映させます。
機能の観点で選ぶ製品の特徴
リスクの検出、修正案、自社基準の反映、差分比較といった機能面の特徴を、製品ページの情報から取り上げます。
マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー
- 弁護士監修AIが契約書のリスクを判定し、変更条文例や解説を表示
- 取引先毎の注意点などを参照できる、自社基準でのリスクチェック
- Web上だけでなく、Word画面上でもAI契約書レビューが可能
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー」は、条文ごとのリスク箇所の判定と、変更条文例や解説の表示を行うAI契約書レビューのサービスです。取引先ごとの注意点を参照できる自社基準でのリスクチェックに対応し、リスク条項自動検出や多言語対応が対応機能に挙げられています。製品ページでは、異なるファイルの差分を比較してハイライト表示する機能も紹介されています。Word上で使う場合は、オプションの契約が別途必要です。
Lisse法務AI Cowork
- 総勢30名以上の弁護士監修による法務特化AI
- 弁護士設計のフローで、レビュー手順を自動化
- 社内外への返信・説明文作成まで自動化
株式会社リセが提供する「Lisse法務AI Cowork」は、法務特化AIが契約書のレビュー手順を実行するサービスです。リスク条項自動検出や法令遵守チェック、類似契約書検索が対応機能として挙げられています。法令確認や修正文案、コメント案の作成といった手順を弁護士設計のフローで自動化し、提示される修正提案を確認して反映できるとされています。提供形態はクラウド型で、全ての規模の企業が対象とされ、対応する契約書の範囲は資料で確かめられます。
ContractS AI Agent Platform
- 過去契約や法令を参照し背景を踏まえたAIレビュー
- 自社プレイブックを学習し独自基準で一次チェック
- 修正文作成や通知まで一連の作業を自動化
ContractS株式会社が提供する「ContractS AI Agent Platform」は、契約書の一次レビューから修正文の生成までを自動化するAIレビュー基盤です。ContractS CLMに蓄積された過去の契約や最新法令をAIが参照するとされています。自社のプレイブックを学習して独自基準でチェックするため、プレイブックの反映を重視する場合の比較対象です。対応機能として、リスク条項自動検出や類似契約書検索、編集履歴管理が挙げられています。
GVANDAチェック (GVA TECH株式会社)
- 2019年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞を受賞
- 立場に応じた修正例や譲歩案を提案し、修正作業を効率化。
- 段階ごとのリスク判定と契約書の有利不利を視覚的に判定。
LawFlow (LawFlow株式会社)
- 弁護士監修AIが契約条項の抜け落ちを瞬時に検出。
- 多様な契約書に対応し、法務知見を蓄積。
- ひな形設定・変更点ハイライトでレビュー効率化。
AI契約書レビューサービスに関するよくある質問
AI契約書レビューサービスの機能についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:プレイブックは、どのように登録して使いますか?
- A:自社の審査基準を、条項ごとに整理して登録します。登録方法には文章やチェックリスト、設定画面などがあり、製品によって異なります。立場別や契約類型別に分けられるかも確認しましょう。
- ■Q2:差分比較は、文書作成ソフトの比較機能と何が違いますか?
- A:文字の違いを示す機能と、変更の内容にまで触れて指摘する機能は別のものです。どこまで求めるかを決めたうえで、実際のファイルで表示を確かめましょう。
- ■Q3:AIが示す修正案は、そのまま使ってよいですか?
- A:そのまま使わず、取引の背景に照らして人が調整します。修正の理由が添えられているかは、採否を判断する材料です。
- ■Q4:英文契約書のレビューは、どの範囲まで任せられますか?
- A:対応範囲は製品によって異なります。原文を直接審査するのか、翻訳を介するのかを確認しましょう。海外の法制度に関する判断は、現地の専門家へ相談する前提で運用します。
まとめ
AI契約書レビューサービスの機能は、リスク条項の抽出、不利な条文の指摘、修正案の提示、審査基準の反映、差分比較、英文契約書への対応に整理できます。どの機能も、AIの指摘を最終判断とせず、人が確認する前提で使うことが大切です。自社の審査の流れに必要な機能を絞り込み、気になる製品を資料請求して比較してみましょう。

