AI契約書レビューサービスの機能エラーの種類と背景
機能のエラーには、製品の仕様による限界、利用者側の設定や入力、連携先の状況が重なる場合があります。まず、エラーと仕様上の限界の違い、法的な位置づけを整理します。あわせて、人が最終判断を行う前提も確認します。
エラーと仕様上の限界の違い
契約書の指摘が期待どおりに出ない場合でも、必ずしもエラーとは限りません。AIの読み取りには仕様上の限界があり、対象外の条文や形式では抽出されない場合もあります。例えば、対象外の言語や特殊な書式の契約書がこれに当たる場合があります。
提供会社の説明書で、対応する契約書の種類や言語、ファイル形式を確認しましょう。仕様の範囲外なのか、不具合なのかを切り分けると、問い合わせの内容も具体的です。確認した結果は、社内の手順書に残しておくと役立ちます。
複数の要因が重なって起こる不具合
機能の不具合は、製品側の問題だけでなく、利用者側の設定や連携先の状況が影響する場合があります。例えば、同じ契約書でも取り込むファイルの形式や保存状態によって、結果が変わることがあります。このため、原因の特定には複数の観点が必要です。
原因をひとつに決めつけず、製品側、利用者側、連携先側の順に確認しましょう。確認した内容を記録しておくと、ベンダーに問い合わせるときにも状況を正確に伝えられます。切り分けの手順を共有しておくと、担当者が替わっても対応できます。
法的な位置づけから見たAIの出力の扱い
法務省は2023年8月に、AIを用いた契約書の審査支援サービスと弁護士法第72条との関係について、考え方を公表しました。個別の事案に応じた法的リスクの有無や程度を表示する機能は、法律事務に該当し得る例として挙げられています。
一方、あらかじめ登録したひな形との相違部分を表示するにとどまる場合などは、通常は該当しないとされています。その後の2026年8月にも、生成AIの進展をふまえたビジネス分野向けのガイドラインが公表されているため、あわせて確認しましょう。
ファイルの読み取りとリスク条項の抽出で生じる誤り
リスク条項の自動抽出は、契約書のファイルを正しく読み取れることが前提です。ファイル形式による違い、抽出に漏れや誤りが出る場面、確認の方法を順に整理します。原文との照合が重要な理由にも触れます。表にまとめた確認の観点も参考にしてください。
| 確認する場面 | 起こり得る不具合 | 確認すること |
|---|---|---|
| Word形式の取り込み | 変更履歴やコメントの扱いの違い | 取り込み後の表示が原文と一致するか |
| PDF形式の取り込み | 文字の誤認識や、条文の区切りのずれ | スキャンした画像のPDFに対応するか |
| リスク条項の抽出 | 該当条項の漏れや、問題のない条項の抽出 | 原文と見比べる手順があるか |
WordとPDFの読み取りの違い
Word形式は文字情報を直接読み取れますが、PDFは作成方法によって読み取りの結果が変わる場合があります。紙をスキャンした画像のPDFは、文字認識が必要になるため、誤認識が起こる可能性があります。作成方法の違いは、見た目だけでは判断しにくい点に注意が必要です。
表組みや段組み、脚注を含む契約書では、条文の順序や区切りが崩れて取り込まれる場合もあります。自社が使う形式で試用し、取り込み後の表示が元の契約書と一致するかを確認しましょう。
リスク条項の抽出に漏れや誤りが出る場面
リスク条項の自動抽出では、該当する条項が拾われない漏れや、問題のない条項を拾う誤りが生じる場合があります。独特な言い回しや、関連する内容が複数の箇所に分かれている契約書で、影響を受けることがあります。
原因は、AIの読み取りの限界、登録した基準、取り込んだファイルの状態など複数が考えられます。抽出結果を契約書の原文と見比べて、確認する手順を運用に組み込みましょう。抽出の対象となる条項の範囲は、製品の説明資料でも確認できます。
抽出結果を原文と照らして確認する方法
抽出結果は、画面上の指摘だけで判断せず、契約書の原文と照らして確認します。損害賠償、解除、秘密保持、契約期間などの重要な条項は、人が目で見て確かめる手順を決めておきましょう。画面の指摘を過信しないことが重要です。
確認の結果、抽出の漏れが見つかった場合は、その内容を記録してベンダーに伝えます。同じ種類の漏れが繰り返されるときは、基準の登録内容や契約書の書式に原因がないかも見直しましょう。確認の担当者と手順は、文書で共有しておきましょう。
指摘と修正案の処理で確認したい点
自社に不利な条文の指摘や修正案の提示は、処理に時間がかかったり、止まったりする場合があります。起こり得る状況と確認の順序を整理します。処理が遅れた場合や、反映されない場合の見分け方も確認しましょう。最後に、修正案の採用前の確認を取り上げます。
不利な条文の指摘の処理が止まる場面
自社に不利な条文を指摘する処理は、契約書の量が多い場合や、サービスが混み合っている場合に、時間がかかったり止まったりすることがあります。エラーの表示が出ないと、処理中なのか停止なのかを判断しにくくなります。
処理の状況を示す表示や、失敗したときの通知があるかを確認しましょう。時間をおいても進まない場合は、同じ契約書を再度取り込む前にファイルの状態やサービスの稼働状況を確かめます。状況の確認方法は、事前に提供会社へ尋ねておくと役立ちます。
修正案の表示が遅れる場面
修正案の提示は、契約書の長さや登録した基準の数、利用が集中する時間帯によって表示までの時間が変わる場合があります。反映が遅れても、すぐに不具合と決めつけず状況を確認します。表示を待つ間は、別の契約書の確認を進める運用も有効です。
画面の更新や再読み込みで表示される場合もあります。ネットワークの状態やブラウザの設定が影響することもあるため、利用者側の環境も確かめましょう。解消しないときは、発生した時刻と操作の内容を記録して問い合わせます。
修正案を採用する前に人が確認する手順
修正案はあくまで検討の材料であり、そのまま契約書に反映するものではありません。自社の事業や取引先との関係によっては、提示された案が適さない場合があります。提示された案が相手方に受け入れられるかも、あわせて検討が必要です。
AIの指摘や修正案を最終判断とせず、法務担当者や責任者が内容を確認してから採用しましょう。判断が難しい契約書は、弁護士などの専門家に相談する基準をあらかじめ決めておくと安心です。採用した案と理由は、記録しておくと後から確かめられます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でAI契約書レビューサービスの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
審査基準の反映エラーを確認する方法
自社の審査基準、いわゆるプレイブックはAIの指摘の土台となる設定です。反映に不具合が疑われるときに、どこから確認するかを整理します。基準を登録した後の変更や、反映されない場合の切り分けも取り上げます。製品によって画面や用語が異なる点にも注意が必要です。
基準の登録内容と反映状況の確認
プレイブックとは、自社の契約審査の基準をまとめたもので、サービスに登録して指摘に反映させる場合があります。登録した内容が反映されないときは、保存の操作が完了しているか、適用の対象が正しいかを確認します。手順はマニュアルでも確認できます。
基準の書き方があいまいだと、意図と異なる指摘になる場合もあります。登録後に、簡単なサンプルの契約書で結果を確かめ、期待した指摘が出るかを試しておきましょう。基準の登録は、少しずつ増やして結果を確かめる方法もあります。
基準を変更したときの再確認
基準を変更した後は、変更前に作成したレビュー結果と、変更後の結果が異なる場合があります。変更がすぐに反映されない場合もあるため、反映のタイミングをベンダーに確認しておきましょう。古い結果を参照して判断しないよう、更新日の確認が必要です。
変更の日付と内容、変更した担当者を記録し、変更後に確認用の契約書で結果を見直します。複数の担当者が基準を編集できる場合は、変更の権限を限定すると意図しない変更を防ぎやすくなります。確認用の契約書は、複数の種類を用意すると安心です。
反映されないときの切り分け
基準が反映されないときは、設定、契約書の形式、サービス側の状況に分けて確認します。設定では適用範囲や有効にする操作、契約書側ではファイル形式や契約書の種類が確認の対象です。切り分けの順序を決めておくと、確認の漏れを防ぎやすくなります。
サービス側の障害や更新が影響する場合もあるため、提供会社の障害情報やお知らせも確かめましょう。切り分けの結果をまとめてベンダーに伝えれば、原因の特定が早まりやすくなります。問い合わせの際は、確認済みの項目も伝えましょう。
機能エラーが起きたときの記録と問い合わせ
エラーが起きたときは、慌てずに状況を記録し、必要な手順を踏むことが大切です。記録、代替手段、データの扱いの3点を整理します。原因を特定する手がかりが残るよう、記録の取り方を先に決めておきましょう。下の一覧が対応の全体像です。
- ■記録
- 日時、操作の内容、契約書の形式、画面の表示を残す
- ■代替手段
- 重要な契約書を従来の方法で確認できるよう備える
- ■データの扱い
- 契約書や画面を共有してよいか、社内ルールで確認する
発生状況の記録と問い合わせ内容の整理
エラーが起きたときは、発生した日時、操作の内容、対象の契約書の形式、画面の表示を記録します。機密情報が含まれる場合は、画面や契約書をベンダーに渡してよいかを社内ルールに照らして確認しましょう。画面のキャプチャも、状況を伝える材料です。
記録が整っていると、ベンダーも原因を特定しやすくなります。問い合わせの窓口や回答までの目安、サポートの範囲も導入前に確かめておくと安心です。記録の様式を決めておくと、担当者が替わっても対応できます。
手動での確認や再実行の手段
サービスが利用できない間も、契約業務を止めないための代替手段を決めておきます。例えば、重要な契約書は人が従来の方法で確認する、再実行の手順を用意しておくといった対応です。手順を事前に決めておけば、慌てずに対応できます。
エラーの後に未処理の契約書が残っていないか、再実行で結果が重複していないかも確認しましょう。履歴や通知の機能があれば、状況を把握しやすくなります。復旧後は、原因と対応の内容を振り返り、再発の防止策を検討します。
機密情報を含むデータの取り扱い
契約書には取引条件や相手先の情報が含まれるため、エラー対応でもデータの扱いに注意が必要です。入力した契約書の保存期間や削除の方法、AIの学習に利用されるかどうかを提供会社に確認しましょう。提供会社の利用規約も、確認の対象です。
学習への利用を止める設定の有無や、取引先との秘密保持契約への影響も整理します。不明な点は、法務部門や情報システム部門と相談しながら、ベンダーに書面で確認すると安心です。確認した日付を記録に残しておきます。
機能の範囲を確認したい製品の例
ここでは、リスク箇所の判定、自社基準の反映、形式面の作業支援といった機能の違いがわかる製品を、確認しておきたい点とあわせて紹介します。
マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー
- 弁護士監修AIが契約書のリスクを判定し、変更条文例や解説を表示
- 取引先毎の注意点などを参照できる、自社基準でのリスクチェック
- Web上だけでなく、Word画面上でもAI契約書レビューが可能
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー」は、契約書の審査を法律のプロが監修したAIがサポートするサービスです。条文ごとのリスク箇所を判定し、変更条文例や解説を表示するほか、自社の審査ナレッジを反映したチェックにも対応するとされています。異なるファイルを比較して、条文の差分や一致点をハイライトする機能も紹介されています。Wordの画面上で使うにはオプションの契約が必要とされており、利用形態の確認が欠かせません。
クラウドサイン レビュー
- 弁護士が監修した高精度AIが契約書チェック・作成業務を支援
- 様々な規模の企業で導入しやすいリーズナブルな価格体系
- 豊富な導入支援経験に基づくサポート体制で安心
弁護士ドットコム株式会社が提供する「クラウドサイン レビュー」は、弁護士が監修したAIによるリスクチェックと自社のひな型との差分チェックで、契約書の確認を支援するサービスです。修正や追加が必要な箇所の解説と、変更条文例を表示するとされています。英語の契約書にも対応するとされており、対応する契約書の範囲を事前に確認する際の参考情報です。弁護士が作成したひな型のダウンロードも紹介されており、作成から確認までの範囲を確かめる材料です。
BoostDraft
- Microsoft Word上で動作が完結、法的文書作成の無駄を自動化
- 端末数に応じた月額費用で、費用対効果高く法務業務を効率化
- インターネット基本不要なため、機密文書データの外部送信なし
株式会社BoostDraftが提供する「BoostDraft」は、法的文書の形式面で生じる作業を自動化するソフトウェアです。定義の確認やインデントの調整、条項のずれの修正といった作業を支援するとされています。Microsoft Wordのプラグインとして使うため、内容の判断は人が行う運用との組み合わせを検討できます。機能の範囲を見きわめる際は、対応する作業が形式面の支援である点を、AIレビュー型の製品と比べて確認しましょう。
GVANDAチェック (GVA TECH株式会社)
- 2019年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞を受賞
- 立場に応じた修正例や譲歩案を提案し、修正作業を効率化。
- 段階ごとのリスク判定と契約書の有利不利を視覚的に判定。
LawFlow (LawFlow株式会社)
- 弁護士監修AIが契約条項の抜け落ちを瞬時に検出。
- 多様な契約書に対応し、法務知見を蓄積。
- ひな形設定・変更点ハイライトでレビュー効率化。
AI契約書レビューサービスに関するよくある質問
AI契約書レビューサービスの機能のエラーについてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:指摘が出ないとき、エラーなのか仕様なのか見分ける方法はありますか?
- A:提供会社の説明書で、対応する契約書の種類やファイル形式を確認します。範囲内なのに指摘が出ない場合は、操作の内容と契約書の形式を記録して、ベンダーに問い合わせましょう。
- ■Q2:スキャンしたPDFの契約書は、そのまま取り込めますか?
- A:画像のPDFは文字認識が必要となり、誤認識が起こる場合があります。取り込める形式と文字認識への対応は製品ごとに異なるため、試用で自社の契約書を確認しましょう。
- ■Q3:エラーが起きている間、契約審査はどう進めればよいですか?
- A:重要な契約書は、従来の方法で人が確認できるよう備えておきます。復旧後は、未処理の契約書がないか、結果が重複していないかを確認しましょう。
- ■Q4:同じエラーが繰り返されるとき、どこまで自社で確認すればよいですか?
- A:発生の日時、操作、契約書の形式、画面の表示を記録し、設定や契約書の側に原因がないかを確かめます。それでも解消しない場合は、記録をそろえてベンダーに相談しましょう。
まとめ
AI契約書レビューサービスの機能エラーは、製品の仕様、利用者の設定、連携先の状況が重なって起こる場合があります。リスク条項の抽出、不利な条文の指摘、修正案の反映、審査基準の反映の各場面で、原文との照合や記録を習慣にすることが大切です。AIの出力を最終判断とせず、人が確認する運用を前提に、複数の製品を資料請求して比較してみてください。

