業種によって異なるアプリ解析ツール導入時の懸念
まずは利用者数の多いECアプリを例に、購買データの計測やアクセス集中時に起こりやすい懸念を確認しましょう。
ECアプリで購買データの計測にズレが生じる要因
ECアプリでは、閲覧から購入までの計測にズレが生じる場合があります。原因は計測タグの設定漏れやアプリ側の実装だけでなく、決済連携先の仕様変更など複数の要因が考えられます。
ズレに気づかずに施策を評価すると、誤った判断につながる可能性があります。数値の異常に早く気づけるよう、日次で確認する担当を決めておくことも有効な対策です。異常値を検知した際に自動で通知される仕組みがあれば、気づきの遅れを防ぎやすくなります。定期的に実際の売上データと計測結果を突き合わせて確認し、差異が生じた場合は原因を切り分けて対応する運用が重要です。特にセール時期は計測負荷が高まるため、通常時とは別に確認する体制を整えておくとよいでしょう。決済連携先が複数ある場合は、それぞれの計測ロジックの違いも踏まえて確認することで、原因の切り分けがしやすくなります。データのズレが繰り返し起きる場合は、単発の対応で終わらせず、根本原因を洗い出す運用の見直しが必要になります。
EC特有のセール時アクセス集中への対応
セール開催時など、短期間にアクセスが集中するECアプリでは、データ処理が一時的に遅延する可能性があります。処理能力は製品によって設計が異なるため、事前の確認が欠かせません。
アクセス集中時の挙動は、通常時のトライアルだけでは確認しにくい場合があります。過去の同規模イベントでの実績や、負荷が高まった際の対応事例を製品側に確認しておくと、本番運用での不安を減らしやすくなります。事前に想定アクセス数を共有し、必要であれば負荷試験の実施可否についても相談しておくと安心です。負荷試験は本番環境に影響を与えない範囲で、ベンダーの許可する方法にもとづいて実施することが望まれます。
ゲーム業界での導入における懸念
ゲームアプリは他業種と比較してイベント数が多くなりやすく、データ量やリリース頻度に関する懸念が生じる場合があります。
ゲーム業界でアプリ解析ツールの導入に失敗する要因
ゲーム業界での導入失敗は、想定より多いイベント数によって料金が跳ね上がるケースや、頻繁な新機能追加のたびに計測タグの再設定が必要になり、運用負荷が高まるケースなどが考えられます。
導入前に、自社のイベント数や機能追加の頻度を具体的に見積もり、それに見合った料金プランと運用体制を整えることが重要です。過去の機能追加ペースを振り返り、今後の見込みを踏まえて余裕をもったプランを検討することも一つの方法です。開発チームと分析担当者が連携し、計測設計をあらかじめ統一しておくことも有効です。新機能をリリースする際は、計測タグの追加や見直しを開発フローに組み込んでおくことで、対応漏れを防ぎやすくなります。リリース前のチェックリストに計測設定の確認項目を含めておくことも、有効な対策の一つです。
ゲームアプリ特有のデータ量への対応
ランキングやガチャなど、ゲームアプリ特有の機能は、通常のアプリよりもイベント発生量が多くなる傾向があります。データ量が想定を超えると、処理や集計に時間がかかる場合があります。
データ量の増加を見据えて、契約前に大量データを扱った実績のある製品を選ぶことが望まれます。リリース直後や大型アップデート時にアクセスが急増するケースも多いため、そうした場面での処理実績もあわせて確認しておくとよいでしょう。過去の障害事例やその際の対応内容をベンダーに確認しておくことも、判断材料の一つになります。障害発生時の通知の速さや、復旧までにかかった時間の実績も、あわせて把握しておくと安心です。
金融・メディア業界での運用上の懸念
金融業界では情報管理の厳格さ、メディア業界ではアクセス集中への対応など、業種特有の懸念があります。
金融アプリでのアプリ解析ツール運用トラブル
金融関連のアプリでは、個人情報や取引情報の取り扱いに関する運用トラブルが懸念されます。計測データに口座情報などが誤って含まれてしまうと、社内規程や規約に反する可能性があります。
運用トラブルは、ツール側の設定だけでなく、連携する金融システム側の仕様や、社内のセキュリティポリシーとの整合性が影響する場合もあります。責任の所在を一方に限定せず、関係部署が連携してトラブルの原因を確認する体制を整えておくことが望まれます。導入前に情報システム部門や法務部門と連携し、計測項目を慎重に設計することが重要です。個人情報が計測データに含まれないよう、開発担当者と分析担当者が計測仕様を事前にすり合わせておくことも欠かせません。定期的に計測項目を棚卸しし、不要なデータを取得していないかを確認する運用も有効です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でアプリ解析ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
メディア・出版業でのアクセス集中時の計測不具合
ニュースアプリや電子書籍アプリでは、速報時やキャンペーン時にアクセスが急増し、計測データの反映が遅れる不具合が起こる可能性があります。単一の原因に限らず複数の要因が関係します。
不具合の原因は、アクセス集中による処理遅延だけでなく、配信システム側の設定や外部連携先の応答遅延など複数の要因が考えられます。原因を単一に決めつけず、ログを確認しながら切り分ける体制を整えておくことが望まれます。速報配信のタイミングであらかじめアクセス増加が見込まれる場合は、事前にベンダーへ共有しておくことも一つの対策です。
業種を問わず起こりやすい懸念への向き合い方
業種特有の懸念に加えて、どの業種でも共通して起こりやすい懸念点を整理します。
計測タグの設定ミスによるデータのズレ
計測タグの設定にミスがあると、業種を問わずデータにズレが生じる場合があります。特に複数人で設定を管理している場合、変更履歴が残っていないと原因の特定に時間がかかることがあります。
設定変更の履歴を確認できる機能があるかを比較しておくと、トラブル発生時の原因究明がしやすくなります。定期的に計測結果を検証し、想定した数値と一致するかを確かめる運用も重要です。特定の担当者だけが設定内容を把握している状態は避け、複数人で共有できる体制を整えておくと安心です。
外部連携先の仕様変更による影響
広告プラットフォームや決済サービスなど、外部システムの仕様変更によって、計測やデータ連携に影響が出る場合があります。ツール側の問題と決めつけず、連携先の情報もあわせて確認する必要があります。
仕様変更の情報を早期に把握できる体制があると、影響を受ける前に対応を検討しやすくなります。連携先の更新情報を定期的に確認する運用ルールを設けておくとよいでしょう。仕様変更の告知を見落とさないよう、担当者間で情報共有の仕組みを整えておくことも有効です。
懸念を防ぐための導入前チェック
ここまでの懸念点を踏まえ、導入前に確認しておきたいチェック項目を整理します。
業種特有の要件を整理する方法
自社の業種で起こりやすい懸念を洗い出し、それに対応できる機能があるかを製品ごとに確認することが重要です。同業種での導入事例があれば、具体的な運用イメージをつかみやすくなります。事例の内容が自社の課題と一致するかを丁寧に確認することで、比較の精度を高めやすくなります。
要件を整理する際は、現場担当者だけでなく、情報システム部門やセキュリティ担当者の意見も取り入れると、見落としを減らしやすくなります。業種特有の要件をリスト化しておくと、複数製品を比較する際の基準が明確になります。
検証環境でのテスト運用の重要性
本番環境に影響を与えない検証環境で、実際の業務に近い条件でテスト運用を行うことが、懸念点の事前発見につながります。ベンダーが許可する方法で検証を進めることが望まれます。
検証結果をもとに、想定した数値と実際の計測結果を比較し、差異があれば原因を特定してから本番運用に移行することで、導入後のトラブルを減らしやすくなります。検証作業は自社だけで判断せず、必要に応じてベンダーのサポートを受けながら進めると安心です。
業種特有の懸念に対応するアプリ解析ツール
EC・ゲーム・金融・メディアそれぞれで起こりやすい懸念点を踏まえ、比較先の候補になるアプリ解析ツールを紹介します。自社の業種で懸念される課題に対応できるかを確認する参考にしてください。
APPBOX
- 0から作るよりもスクラッチ開発で早期にアプリの提供が可能
- 他社開発の既存アプリも好みの機能を組み込んで更に進化できる
- アプリにモジュールを組み込むことで既存アプリの活用が可能
株式会社アイリッジが提供する「APPBOX」は、アプリ内の行動ログを収集し、画面遷移や離脱状況を確認できる解析ツールです。セグメント別のプッシュ通知配信にも対応しており、業種を問わず取得したデータを施策に反映しやすい構成になっています。計測項目の設計を自社の業種特性にあわせて確認したい企業の比較先候補になります。
Adjust (adjust株式会社)
- キャンペーンの自動最適化で広告運用を効率化
- 単一のビューで複数アプリの情報を確認・比較
- グローバル基準のセキュリティ環境でデータとユーザーを保護
ThinkingData (シンキングデータ株式会社)
- グローバルでの豊富な支援実績(1,500社、8,000アプリ以上)
- ノーコードで誰でもデータアナリストになれるUI
- ゲームカテゴリー別の最適化ソリューション
まとめ
アプリ解析ツールの懸念点は、EC・ゲーム・金融・メディアなど業種によって異なる部分と、計測タグの設定ミスなど共通する部分があります。自社の業種特性を踏まえて要件を整理し、検証環境でのテストも行いながら、複数の製品を比較検討し、資料請求を通じて具体的な対応範囲を確認してみてください。


