CASBとは
CASBとは、従業員が業務利用で規定されている以外のクラウドサービスを利用してしまう「シャドウIT」という問題を可視化し、組織内での利用をコントロールするソフトウェアのことです。
複数のクラウドサービスとエンドユーザーの間にコントロールポイントを設置することで、データの流れを監視し、機密データの検出や保護を行います。
エンドユーザーがクラウド上でデータを共有する際や、セキュリティポリシーに違反する場合にはアクションを起こして管理者に知らせるため、複数のクラウドサービスを安全に運用できます。
詳しくは以下の記事でも解説しているため、あわせてご確認ください。
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CASBの活用例
CASBは企業がクラウドサービスを利用する際にセキュリティを強化するための重要なツールです。CASBを活用すると主に以下のような効果が期待できます。
- ■顧客情報のクラウドセキュリティ強化
- ■顧客情報の一括管理
- ■従業員のクラウドサービス利用状況の可視化
ここでは、CASBを活用した場合に期待できる例を解説します。
顧客情報のクラウドセキュリティ強化
CASBを導入することで、企業はクラウド上で管理する顧客情報のセキュリティ強化を図ることが可能です。
CASBには、アクセス権限や共有の設定、データの暗号化、エラーや不審な行動を検知した場合の通知などさまざまな機能が搭載されています。これによりCASBを導入した企業は不審なアクセスをリアルタイムで検出し、迅速に対処することが可能です。
また、従業員が誤って顧客情報を外部に漏えいさせてしまうことを防ぐためのポリシーの強化も実現できます。
CASBを導入することで、企業は顧客データをより安全に管理し、信頼性の高いビジネスを展開することが可能になるのです。
顧客情報の一括管理
CASBの導入で、クラウドサービスの一括管理が可能になります。
分散している顧客情報を一元的に管理し、セキュリティの整合性を高めることで、異なるクラウドサービス間でのデータの移動を監視し、不正なアクセスやデータ漏えいによる事故を未然に防ぐことができます。
例えば、あるクラウドストレージから別のクラウドアプリケーションへ、データの不正なコピーがあった場合にそれを検出し、即座にアクセスを遮断することが可能です。このようにCASBは、顧客情報の流出を未然に防ぎ、企業の信頼性を保つのに役立ちます。
また、複数のクラウドサービスを利用していたいとしても、一括で管理できれば、ITシステム管理責任者の業務負担改善にもつながります。
結果的に人件費の削減もでき、企業が効率よく業務を行えるようになるでしょう。
従業員のクラウドサービス利用状況の可視化
CASBはクラウドサービスを可視化できるという特徴があります。
クラウドサービスとエンドユーザーの間にコントロールポイントを設置すれば、社内の人間がどのサービスを使っているか、常に把握可能です。利用状況や行動パターンなどを明確にできれば、データの不正な共有や外部への漏えいを防げます。
企業は機密情報の保護ができ、安心してクラウドサービスの運用が行えるでしょう。
CASBが企業で活用されるようになったきっかけ
セキュリティの強化やデータ管理のしやすさなど、さまざまなメリットが期待できるCASBは、近年で多くの企業に導入されるようになりました。
ここでは、CASBが企業で活用されるようになった、主に以下2つのきっかけについて解説します。
- ■新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリモートワークの普及
- ■シャドーITのリスクが高まったこと
新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリモートワークの普及
新型コロナウイルスの感染拡大により、企業はリモートワークの環境を緊急で構築しました。それに伴い、CASBの活用も広がったのです。
リモートワークは、オフィス以外で会社用のパソコンを持ち出してさまざまなクラウドサービスを利用するため、従来とは異なる方法でセキュリティを確保しなければなりません。
機密データが外部へ漏れてしまうリスクが高まったことで、CASBでクラウドサービスの可視化やデータの保護を行う企業が増えていきました。
シャドーITのリスクが高まったこと
シャドーITは、従業員が組織で承認されていないクラウドサービスを利用することを指します。
従業員が管理者の目の行き届かないところでクラウドサービスを利用すると、セキュリティポリシーが守られなくなるというリスクが浮き彫りになったことも、CASBの需要増加につながりました。
CASBを導入する際の注意点
CASBを導入する企業は、主に以下のような点に注意する必要があります。
- ■エラーが起きた場合は別の調査が必要になる
- ■セキュリティポリシーを明確にする必要がある
あらかじめ注意点を把握しておき、クラウドサービスを安全に運用できるようにしましょう。
エラーが起きた場合は別の調査が必要になる
CASBを導入する際に留意すべき重要な点は、エラーが発生した場合は単なる技術的な問題だけでなく、より深い調査が必要であることです。
CASBは、不審な行動やエラーはすぐに検知しますが、その原因の追求まではできません。そのため、不審な行動やエラーを検知した後は、別なツールを用いて原因を特定する必要があるのです。
例えば、サイバー攻撃された場合の検知や原因を追求する場合は、XDRやSIEMなどのツールがよいとされています。
CASBとともに、異常な事象が起きている原因を特定できるようなツールをかけあわせると、より深いセキュリティ調査が行えるでしょう。
セキュリティポリシーを明確にする必要がある
セキュリティポリシーが明確でない場合、CASBを有効に活用することが難しくなります。
明確なポリシーがなければ、どのようなクラウドサービスが許可され、禁止されるか、データの取り扱い方法やアクセス許可のルールが不透明になるからです。
特に企業が重要な情報を扱う場合、CASBを使用してクラウド上で適切に管理するために、どの従業員がどのようなデータにアクセスできるか、具体的なポリシーが必要です。ポリシーを明確にしておくと、情報漏えいのリスクを防げるようになります。
CASBを導入する企業は、十分な時間をかけてセキュリティポリシーを明確にし、それをCASBに適切に適用することが大切です。
セキュリティを高めるためにはCASBを導入するのがおすすめ
CASBを導入すると、セキュリティが強くなったりデータの一括管理ができたりと、メリットがたくさんあります。
利用状況の可視化やデータの暗号化などセキュリティ面で安心できるため、自社のセキュリティをより高くしたい企業様は、ぜひ以下から資料請求をして、製品の導入を検討してみてください。