企業データベースに求められるセキュリティとは
企業データベースのセキュリティとは、保存されている情報を外部や内部の脅威から守り、正しく利用できる状態を維持するための取り組みです。システムの機能といった技術的な仕組みだけでなく、運用ルールの整備や組織としての管理体制まで含めて、総合的に考えることが重要になります。
企業データベースに求められるセキュリティの役割
企業データベースのセキュリティは、情報を保護しながら業務を安定して継続するための基盤として機能します。顧客や取引先の情報が安全に管理されていることは、企業の信頼性や事業継続性に直結します。
万が一、情報漏えいが発生した場合、個人情報保護法などの法令違反となる可能性があり、行政処分や社会的信頼の低下につながるおそれがあります。そのため、技術的な対策に加えて、内部不正や操作ミスを防ぐための運用体制まで含めたセキュリティ対策が求められます。
企業データベースで扱う情報の種類
企業データベースでは、顧客の氏名や連絡先といった個人情報をはじめ、契約内容や取引履歴、従業員情報など、さまざまなデータが一元的に管理されます。これらの情報は、不正利用や漏えいが発生した場合の影響が大きいため、情報の重要度に応じて適切なセキュリティレベルを設定することが重要です。
企業データベースで想定されるセキュリティリスク
企業データベースを安全に運用するためには、想定されるセキュリティリスクを把握し、優先的に対策すべきポイントを明確にする必要があります。ここでは、代表的なリスクについて解説します。
情報漏えいリスク
情報漏えいリスクは、外部からのサイバー攻撃だけでなく、従業員の誤操作や情報の持ち出しによっても発生します。特に個人情報や機密情報が漏えいした場合、個人情報保護法に基づく対応が必要となり、社会的信用の低下や損害賠償のリスクが生じる可能性があります。
こうしたリスクを抑えるためには、暗号化やアクセス制御の強化といった技術的対策に加え、情報の取り扱いルールを明確にするなど、運用面での対策も欠かせません。
不正アクセスリスク
不正アクセスは、第三者が正規の利用者になりすまして企業データベースに侵入するリスクです。弱いパスワードの使用や、退職者のアカウントが削除されていない状態は、被害を拡大させる要因となります。
アクセス制御の見直しや多要素認証の導入により、なりすまし対策を行うことが重要です。あわせて、ログ管理を行い、不審なアクセスを早期に発見できる仕組みを構築する必要があります。
データ改ざんリスク
データ改ざんリスクとは、意図せずデータの内容が変更される、または不正に書き換えられるおそれを指します。取引情報や数値データが改ざんされると、業務判断を誤る原因となり、経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ログ管理や監査体制を整備し、誰がどのような操作を行ったのかを把握できる状態を維持することで、不正な操作を早期に発見し、リスクの低減につなげられます。
企業データベース導入時に確認したいセキュリティ対策
企業データベースのセキュリティ対策は、システム側で実装する技術的対策と、企業として取り組む組織的対策に分けて考える必要があります。両者をバランスよく組み合わせることで、セキュリティ事故の発生リスクを抑えやすくなります。ここでは、主に技術面の対策について解説します。
アクセス制御の強化
アクセス制御とは、誰がどの情報にアクセスできるかを制限する仕組みです。利用者ごとに権限を設定し、業務に必要な範囲のみ操作を許可することで、内部不正や誤操作のリスクを抑えられます。
さらに、多要素認証を導入すれば、第三者によるなりすましへの対策として有効です。アクセス権限を定期的に見直しながら運用することで、セキュリティ水準の維持につながります。
通信と保存データの暗号化
暗号化は、データを第三者に読み取られないようにするための重要な技術です。インターネット通信時の暗号化に加えて、データベース内に保存されている情報そのものを暗号化することで、万が一情報が漏えいした場合でも被害の拡大を抑えられます。
こうした暗号化の取り組みは、国際標準の情報セキュリティ規格であるISO/IEC 27001でも推奨されています。セキュリティ対策の妥当性を判断する際の指標として、これらの規格を参考にする企業も多く見られます。
参考:ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)概要|日本品質保証機構(JQA)
ログ管理と監査体制
ログ管理とは、誰がいつ、どのような操作を行ったのかを記録し、後から確認できるようにする仕組みです。操作履歴を定期的に確認することで、不審なアクセスや操作ミスを早期に検出しやすくなります。
あわせて監査体制を整え、第三者の視点でチェックを行うことで、セキュリティ対策が適切に機能しているかを客観的に評価できます。外部監査の代表例としては、米国公認会計士協会が定めるSOC2レポートがあり、サービス提供事業者の内部統制を評価する指標として活用されています。
参考:SOC 2® - SOC for Service Organizations: Trust Services Criteria|AICPA
企業データベースを運用する際の管理ポイント
高度なセキュリティ機能を備えていても、日々の運用が適切でなければ十分な効果は期待できません。ここでは、企業データベースを安全に利用するために、実務担当者が意識しておきたい運用管理のポイントを紹介します。
権限管理ルールの明確化
権限管理は、企業全体で取り組むべき重要な組織的対策の一つです。役職や業務内容に応じて権限を定義し、申請や承認のルールを明確にすれば、特定の担当者に業務が集中する属人化を防げます。
あわせて、定期的に権限の棚卸しを行い、不要となったアカウントや権限を削除する運用を徹底することで、不正利用のリスク低減につながります。
定期的なデータ更新
データの更新や整理を怠ると、不要な情報が蓄積し、管理が煩雑になるだけでなく、セキュリティリスクも高まります。利用頻度の低いデータや保存期限を過ぎた情報を定期的に見直せば、万が一事故が発生した場合でも影響範囲を限定できます。
また、バックアップ運用と復旧手順をあらかじめ確認しておけば、システム障害やトラブル発生時にも迅速な対応が可能になります。
セキュリティ教育の実施
セキュリティ事故の多くは、人為的なミスがきっかけとなっています。そのため、従業員向けのセキュリティ教育や研修を定期的に実施し、日常業務における意識の向上が必要です。
社内規程の周知や、実際に起こり得る事例を用いた教育を行えば、従業員一人ひとりの行動がセキュリティ対策につながり、組織全体のリスク低減に寄与します。
以下の記事では、企業データベースの価格や機能、サポート体制などを具体的に比較して紹介しています。製品選定の参考として、ぜひあわせてご確認ください。
まとめ
企業データベースのセキュリティ対策と運用管理は、技術的な仕組みと組織的な取り組みを両立させることが不可欠です。不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんといったリスクを正しく理解し、アクセス制御や暗号化、ログ管理などの対策を適切に実装する必要があります。
あわせて、規程の整備やセキュリティ教育を継続的に行うことで、日々の運用におけるセキュリティ意識を高められます。自社の課題に合った企業データベースを比較検討し、セキュリティと業務効率の両立を目指しましょう。
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