バックアップの負荷を低減したい
バックアップツールはITシステムとともに進化してきました。当初、ハードディスクは大変高価で、すべてのデータを保存できるものではありませんでした。そのため、明細データを保存することができず、集約されたデータのみにして蓄積していました。それでも、データ量が大きいため、考えられたのが「圧縮技術」と「重複排除」です。
圧縮技術と重複排除により、バックアップ時間の短縮はもちろん、ファイル転送用のネットワーク帯域の混雑も防ぐことができます。企業が構築しているWANは帯域が限られていますが、これら技術により通常のビジネス回線で、遠隔地の拠点のデータもバックアップできるようになりました。
また、バックアップを瞬時に実施する「スナップショット」という手法も登場しています。
- ■圧縮技術
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元々データは「0」と「1」のシンプルな配列でできています。その配列にある同じパターンを複数個所から見つけ出し、集約するのが「圧縮」です。冗長なデータであればあるほど圧縮効果を得ることができます。
- ■重複排除
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「0」「1」の配列レベルではなく、ファイル単位や文面単位で同じあるいは極めて似通ったものが複数保存されるようになりました。重複している個所をなくして蓄積しようというのが「重複排除」です。
- ■スナップショット
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データベースファイルなどを、データイメージとして特定のタイミングで抜き出すバックアップ技術です。元データのファイル位置(リンク情報)だけを取得し保存します。元データは更新されますが、更新された箇所だけをスナップショットのディスク領域に退避させます。元データの参照と組み合わせることで、元データの10~20%程度の容量で、スナップショット取得時点のフルデータを保存することができるのです。
ファイルサーバ・ストレージの容量を確保したい
ファイルサーバやストレージの容量を確保するために、バックアップと同様のデータ圧縮や重複排除などのデータの「軽量化」は有効です。これに加えて、データの利用状況などを把握し、データの保存先を「最適化」する方法があります。
具体的には「モニタリング」と「情報ライフサイクル管理」などの機能によって、慢性的な容量不足を解消し、ファイルサーバ(ストレージ)の頻繁な増設要請から解放されるようになります。
モニタリング
日々ファイルサーバ(ストレージ)をさまざまな角度から分析し、ファイルサーバの健全な運用を維持します。ムダなファイル、リスクのあるファイル、使われていないファイルを発見し、対処します。たとえば、利用されていないファイルは、光ディスクやテープメディアなどの長期保管に適したメディアに移すことで、サーバやストレージのディスク容量を確保することができます。
情報ライフサイクル管理
ファイルの発生から保存、廃棄までモニタリングし管理します。たとえば、ファイルをモニタリングし、使用頻度や作成からの経過時間、最終更新時間などから、ファイル単位で重み付けをして、段階的に保存場所を移します。利用頻度が高いファイルは、高速なSSD(フラッシュディスク)に保存し、重み付けによって、高速ではない旧式のストレージなどに自動的に移動させます。
社内でポリシーを設定して、一定期間使われなくなったファイルを強制的に削除することもできます。このようなデータのライフサイクル管理によって、限られた高速なディスクの容量を確保し、効率的に活用することができます。
アセスメントを利用しよう!
「データ軽量化・データ最適化」ツールは単機能であることは珍しく、多くは複数の機能で構成されています。これら機能はそれぞれ魅力的に見えるものの、効果をカタログから推測することは困難です。そのために、試用をお薦めします。
また、サービス提供事業者によってはアセスメントやコンサルティングを提供しているところもあります。これらサービスを利用して、目的に合わせた最適な機能の選択と設定を行いましょう。